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焦っていたのは私のほう

わたし自身のトラウマの話をしたいと思います。
個人的なお話に過ぎませんが、もしかしたらこれを読む方の何かに役に立てればと思っています。ご自身の何かに置き換えて読んでください。

私は約4年前、結婚生活にピリオドを打ちました。と言うとかっこよく聞こえますが、要するに離婚です。

私の結婚生活は、決して順調なものではありませんでした。
地方の建築会社に勤める夫の給料は安く、私は高卒で貧しい家庭の生まれ。夫は全くイケメンでも頭が切れるわけでも冒険をするわけでも、影や秘密があるわけでもない、普通の田舎の男性です。

もちろんそういうところが良くて結婚したのです。20代の初め私は既婚男性と不倫をしていましたし、そのあとで付き合ったのは女性が放っておかないタイプのモテる男でした。
私は夫の素朴で、人間味があって、あまり器用ではないところに惹かれたのです。
私も若かったし結婚を焦っていたわけじゃないので、素直に恋愛を経て一緒にいたいと思った人と結婚したつもりです。

一緒に住んでも夫はいい人でした。妻を思いやってくれて、不器用ながらも私を労わってくれる人でした。

私はそんな夫との生活を守るために、必死で仕事をしたのですがパートで経理の仕事をするだけではたかが知れていました。自分で商売を始め、副業から本業にして会社を辞め、高卒の会社員では絶対に頂けるはずのない年収を稼げるようになりました。私自身が贅沢をしたいためではなく、夫がもし働けなくなったら私が支えようと思ったためです。

おかげで家を建てることも、いい車を二台ガレージに入れることもできました。惨めだった子供時代に復讐できた気がしましたし、夫にも喜んでもらっているつもり、でした。

もちろん、夫婦で倦怠期も長くありました。女性の特徴かもしれませんね。慣れてしまうとなぜかパートナーが嫌で仕方なくなる時があるんです。多くの女性はこれに理屈をつけようとしますけど、全部、潜在的な生理反応でしかありません。
私もいろいろ理屈つけましたよ。それは違う記事に書くとしますが、そんな時期に浮気もしていました。それがこのブログのスタートなんですけどね(笑)

そんな結婚生活も、4年前の2015年に終わりました。

この時の経緯が、私にはトラウマで、年々苦しさが膨らんでしまいました。

離婚をしたいような可能性を告げられたのは、夫の方からです。

はっきりとは言いません。なんとなくしか言わないのです。

夫が言う理由としては、どうやら二つ。

「自分より年収が高く、社会的にステイタスが高く、オレはもう自信持てない」

「子供が欲しい」

驚きました。私は自分のために働いているわけじゃなかったからです。二人のために、あまり褒められないこともしてきてお金を稼ぎました。夫に年収を威張ったこともありません。ただ、夫に車を買ってあげたり、お金を自由にさせていたことが、夫のプライドを傷つけていたのだと思います。


それ以上にショックを受けたのは、子供が欲しいということ。
不妊の原因は、まぎれもなく私の身体のせいです。そして年齢。30代後半となっていた私は現実問題として出産は期待できません。
夫が言うには、冷静に考えて、子供が欲しいと思ったそうです。そして焦っていると。私は、男性は結婚も出産も焦らないものという思い込みがありましたが、違うようでした。男性は40代半ばまでがリミットかもしれません。子供を作ることはできても、相手が見つからなくなります。ハードルが高くなる一方なんですよね。

夫には付き合っている相手がいるわけではなさそうでした。でも結婚と出産を前提として相手を見つけたいと、そう言われました。

親にも孫を見せてあげたい、身勝手なのは分かるがそれを今の2人では叶えられない、美咲はいくらでも相手が見つかる、俺は給料も低いし簡単に相手が見つからない、今の年を数年超えてしまったら俺はもう子供を持つことはできない。
そう言われたのを覚えています。

私が焦らなかったとでも思っているのでしょうか。それで悩んだこともなく、子供なんかいらないと思っていたと思うのでしょうか。

夫から、何一つ大切なところを理解されていなかったことが、話し合うたびに分かりました。こんな状態でよく結婚生活を送ってきて頑張ってきたんだと自分が情けなくなりました。


「美咲は自信を無くす必要はないよ、オレが焦っているだけだから」

信じられない言葉でした。
この人にとって、自信とはなんなのでしょう。私にとって夫婦関係の自信とは、ふたりで築くものです。だから、夫婦関係がこのように破綻すれば自信なんて地獄の底まで下がっていくのです。

こんな感受性の人だったのか、それともこの人が悩んだせいでこんな風になってしまったのか、分かりません。

最後は私から言いました。

「離婚しましょう」

がっかりしました。こういうセリフを、私に言わせるということの悲しさ。私は、離婚したくないのに、そう言ったのです。

夫はあっけなく再婚し、子供ができました。

私はそれを恨むつもりはないし、幸せを感じますよ。邪魔するつもりはありません。

でも、それ以来、あの時の情けない話し合いを思い出すのです。

私が焦らないと思ってるの?私はこのままでいいと思ってるとでも考えてるの?子供ができないことへの罪悪感がないとでも思ってるの?

それが伝わってなかったこと、それを言葉にして相談してくれなかったこと、最後は私に言わせたこと。

私は、それでも出産できるように努力していきたかったし、気持ちの問題は二人で解決していきたかった。


私の中で、いつまでも悔しさと孤独を感じ、自信を大きく欠損させてしまった出来事でした。

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