見出し画像

沖縄の野草紀行#1. ルートビアが香る沖縄の野草【コバナヒメハギ】

幼き頃、父が採取してくる野草(薬草)を食べさせられた苦い思い出は、大人になった今の私の基盤となり「良薬口に苦し」とはよく言ったものだと思います。

便利を追求してきた私達が行きつく先、それは巡り巡って元に戻り自然と共に生きる道ではないかと思うのです。多くのことを教えてくれる自然界、野草をお洒落に言えばハーブ(洒落てない言葉だと雑草ですが)。よくあるハーブも良くて生活に彩りを増してくれますが、自分が住む場所の野草を取り入れてみませんか?

ということでこれから沖縄在住の私の健忘録も兼ねて沖縄の野草紀行を書き綴っていくことにしました。

第一回目はコバナヒメハギのお話。


噂のルートビアの草とのはじめての出逢い

ルートビアの香りのする子(野草)が存在すると私が知ったのは割と最近のこと。興味津々、出逢う日はまだかまだかと思っていたところ、沖縄本島北部に位置する恩納村の林道で「根っこを嗅いでみて」と教えてもらったその時が感動の初対面となりました。

画像1

こんなに小さな白い花が咲くのね。

根っこから抜いて少し折って(植物は傷から匂いの成分を多く放つ)鼻を近づけると…ワォ湿布!まさしくルートビア!噂どおり本当にルートビアの香りなんだーーーと感激!!

ルートビアと同じ?!
外国生まれ沖縄育ちの外来種

那覇に住む私は、それまでコバナヒメハギを見たことがありませんでした。気づかなかっただけといえばそうかもしれませんが、北部ではルートビアの香りがする草の存在が割と認知されているようです。私達が「ムーチーの葉っぱ」と言って月桃の匂いを嗅ぎ楽しんでいたように、北部では「ルートビアの匂いがする草」と言って嗅いで楽しむのかな、なんて思ったのですがどなたか北部の方教えて下さい。

コバナヒメハギは南米原産の帰化植物で米兵の靴に種子がくっつきやってきて基地から拡がったと言われています。

沖縄本島といっても北から南まで土壌の性質が違うので植生も違ってくることをご存知でしょうか。北部の土壌は非石灰岩。この植物はどうやら非石灰岩地帯で育つ植物。那覇市近郊にいる私の身近にそんな話が出なかったのはそういうことかと思っていました。

沖縄本島南部の公園で出逢う

公園で植物観察をしている時、なんだかルートビアの花を思い出し、いや、北部じゃないからいるわけがないと思った数分後…これは…?!

画像2

ルートビアさんじゃないですか!(勝手に名前をルートビアさんにした)公園の道沿いに群生していて感激!!這いつくばって写真を撮りました。公園の歩道沿いに群生しているのは、誰かの靴の裏についた種子から広がったのでしょうか。いや、そこの土は北部からその場所へ運ばれてきたのかもしれません。いつ頃からここにやって来たのだろうと想像を膨らませながら、有名なあの人に出逢えたかのような大興奮の私。

画像3

可愛い小さな白い花を撮りたくて、DAISOで購入して鞄に忍ばせていたマクロレンズをiPhone12 Pro MAXにつけて撮影。撮りたい植物にいきなり出逢うので、さっと撮影出来るスマホのカメラ機能が便利!

ちなみに私がスマホを選択する際の基準はカメラ機能がどれだけ優れているかなので、もうすぐ発売されるiPhone13proのカメラが気になりAppleの策略にまんまとハマっているなと感じる今日この頃です。


野草チャイで香りを頂く至福のひととき

根っこを嗅ぐために一本抜いたコバナヒメハギはありがたく連れて帰りました。この香りをどう使おうかと考えるのも楽しくて、クラフトコーラにしようかなんて思ったけれど、気分的にチャイにしました。

画像4

コバナヒメハギ、ヤブニッケイ、ピパーチの葉、クローブ、黒糖と豆乳で煮詰めて良い香り。生姜がなかったのはしょうがない。煮詰めた後に香り付けでカプーアトゥルシーをパラパラすると甘い魅惑の香り。一口飲むと、もう幸せいっぱい。

コバナヒメハギのまとめ

コバナヒメハギ/Polygala paniculata L.

ヒメハギ科ヒメハギ属
別名:カスミヒメハギ、小花姫萩

一年草の草木で花は年中咲きかすみ草のような白い花が可愛い子です。南アフリカ原産の帰化植物で現在世界の熱帯地域に分布している。戦後沖縄本島に拡がったと書かれているものもありますが非石灰岩地域の北部に多いのかもしれません。

香り:湿布。よく言えばルートビア。

特徴ある香りを楽しめる野草です。あなたなら何に利用してみたいですか?


植物観察会のお知らせ

10月に植物観察会を開催します。野草界のプリンセスハーブ王子こと山下智道氏と、樹々の図鑑作家 林将之氏と巡る野草と樹々の観察会。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?