ずっと、嫌いだって思っていたのに
今年の10月に控えている3度目の家の更新。2014年に千葉に引っ越してきてからもうそんなに経つんだな。次の更新はきっとしないのだけれど。
三重、大阪、兵庫と、ずっと関西に住んでいた私は関東に対して敵対心があった。ごちゃごちゃしていて静けさがない、自然もない、人が冷たそう、物価が高い、なぜいつも東京から全てが始まるのか、まず標準語が無理。東京には絶対に住みたくない、住めるわけがない。東京への憧れなんてこれっぽっちもなかった。
世界一周に旅立つ前も、帰国したらまた神戸で働いて阪急沿線に住みたいな。なんてことを考えていたのだけれど、そんな考えがいとも簡単に覆されたのは旅に出てからだった。
バックパッカー初心者で東回りからスタートすることになった旅は、3ヶ国目で早くも中南米に突入するというハードルの高いものだった。そんなこともあり、世界一周中に決めていたルールがある。治安が心配だった南米では極力日本人と一緒にまわるということ。
世界には日本人が経営していたり、日本人がよく集まる日本人宿がたくさん存在していて南米ではほぼ利用していた。そこで出会った日本人は関東のメンバーが多くて、当たり前に標準語を話していた。
世界一周あるあるなのか、「帰国後は何するの?どこに住むの?」そんな会話もゲストハウスでよくしていた。20歳ほど年上のマサさんともメキシコのカンクンで知り合い、その話題で盛り上がった。
「何で東京に住まないの?」
人生経験豊富なマサさんがそういった。
住める気がしないと私は返事したけれど、それじゃもったいないよと。
何だかんだ日本の中心の東京にいたら、流行や情報が広まることもそこからだし、刺激的な出会いがたくさんある。旅で出会った仲間も多い。世界一周に出て行くぐらいなんでしょ?もっと関西以外の場所でも住んでみなよ。
頑固な私の心の中で、何かが弾けたような気がした。
確かに、帰国したら新しい生活が始まるんだ。その場所は関西じゃなくてもいいのかもしれない。胸がざわついた。
旅の最後、アジアまで来た時にようやく東京に住むと決意をして、帰国後の1ヶ月後には引越しを完了させていた。(引越し先を悩んでいる今の自分に、あの時の決断力を与えてあげたい。)
心配症な性格は基本的に変わらないんだけれど、どんなことでも大抵は「何とかなる」と、旅は教えてくれた。
結局、家賃との兼ね合いで東京ではなく千葉で暮らすことになったけれど、職場は東京だ。人の多さや、死んだ魚のような目をして電車に乗っている人を見ていると何だかな〜と思う日も多いけれど、こちらに引っ越してきて今の会社とも出会えたし、昔以上に関西のことが好きになった。
マサさんの言う通り、刺激的な毎日を送ることができてるよ。
正直、パソコンとWiFiがあれば完全リモートでできるかもしれないけれど、やっぱり社内のメンバーが好きだし会いたい。関西で仕事をする姿はもう想像できなくなってしまった。
でもこの先何が起こるのかわからない。出会いなのか、できごとなのか、タイミングなのか。
どんなことが起こるかわからないけれど、まだしばらくは関東にいるんだと思う。あれだけ拒絶していた場所だったのにね。