試される大地は北海道だけじゃない #ラトビア日記 14
2023年11月27日 伝わっているといいな
喉がいたい。痛いというか、イガイガする。
でも救いなのは、発熱していないこと。
お気に入りのカフェの一つに行って、資料作りとリーディング。青空が見えてきたから、近くの公園を少し歩く。
夜は、クラスメイトとプレゼンの準備。
彼女には、プレゼン以外で伝えたいことがあったのだけど、伝わったのかな。伝わっているといいな。
彼女の母国語も、英語ではない。
お互いの言語が違うから、どこまで本気なのか、言い回しを知らないだけなのか、発言の意図や真意が分かりにくいことがある。
たぶん今までわたしも、冗談を真剣に受け取ったり、逆のパターンだったり、意図せず誤解を招くような反応をしてしまったこともある気がする。それは、彼女に対しても、英語が母国語の人に対しても言える。
言語は筋トレと一緒だ。とにかく地道にやるしかない。
一人旅の最中、エチオピアに滞在しているとき、現地の人にブチ切れたことがあった。
日本語と英語でとにかく思いつく限りの語彙をかき集めて相手に言い分を伝えようと、怒りに任せてしゃべり散らかした。
そしたら、そのあと今までより英語がすらすら出てくるようになった経験がある。
正解でも間違っていても、声に出してたくさん失敗しよう。
マーケットで買った、ラトビア産のオーガニックはちみつを舐めて寝ます。
2023年11月28日 トラブル発生
昨日の夜、なかなか寝付けなくて、4時くらいに寝た。最近、夜すぐ眠れないことが多い。
日中の運動量が少ないせいだろうか。もしくは、交差点の明かりのせいだろうか。
正午を回ってから、お昼寝をしようか考える。
でもわずかに青空が見えるし、喉は変わらず痛いけど熱はないし、昼寝したらまた夜眠れないと思い、午後から出かけて外で課題をやった。
龍角散のど飴を舐めながら出発。薄荷の力と氷点下の乾燥した空気で、鼻の奥がスースーする。
やっぱり、少し歩くだけでも身体が軽くなる。ハイキングに行きたいなあ。もしくは、雪原を歩くクロカンがやりたい。
ひとつ提出物を終わらせ、ホッとして帰宅したら事件が起きた。
台所の水が流れない。
帰宅後、夕食を作ろうとシンクに立ったら水が流れなくて、何か詰まっているのかと確認したが特に何もなく、ルームメイトもいたから二人でシンクの下を確認したところ、もともと設置されていた水道管が古くて壊れかけているみたいだった。
そこを直そうとルームメイトが調整してくれたのだが、その1時間後くらいに、ルームメイトが再びドアをノックしてきた。
見てみると、台所が水浸し。ふたりで夜10時過ぎまで床を拭いて、げんなり。
※お食事中の方、以下注意
こんなこと起きないほうがいいけど、少なくともルームメイトがフィンランド旅行から帰ってきた後でよかった、と思った。一人だったらパニクッていたにちがいない。
壊れたところから、まだちょろちょろ水漏れしており、動画と写真を撮って大家さんへ送信。
明日の昼前に、工事の人が来てくれるとのこと。
我々は修理費を支払わなくていいらしい(おそらく水道管の経年劣化だから、そりゃそうだ)から、そのメッセージのやりとりも、念のためスクショした。
早く直ってくれ……。
2023年11月29日 トラブルの結末
水漏れが気になって、また夜よく眠れず。
朝起きてシンク下を確認したところ、いちおう水漏れは止まったみたい。というか、ちょろちょろ程度に収まっていた。
大家さんいわく、リガ市が委託しているのであろう水道業者みたいなところが修理に来てくれるという。
彼らの到着を待っていると女性が二人、突然やって来た。
突き破るかと思うほどの強さで何度もドアを叩くから、借金の取り立てか何かかと思った。
一人はお向かいさん、もう一人は下の階のお店の人だった。それぞれの家でも水漏れしているらしい。
彼女たちはロシア語話者だった。ルームメイトがロシア語を勉強していたおかげで助かった。
ウチに水漏れの原因があると考えて訪ねたみたい。怒っているように聞こえたけど、ロシア語のせいなのか本当に怒っていたのかは分からない。ドンドンとノックしていたのも、通常の力加減だったのか、怒っていたのかも不明。
うちの水浸しの台所を見て業者が来ることを理解したらしく「しょうがないわね」みたいなことを言って帰った。
というか他の家でも水漏れしているなら、いよいよ緊急事態っぽい。
その1時間後くらいに、水道業者のおじさん2名が到着。彼らもまた、ロシア語オンリーだった。
長いワイヤーをシンク下からのばして、つまりを除去していた。
彼らも、朝に来た女性2人も、靴でどかどか家に入ってくる。ちょっと外で立ち話、とか、そういう間合いは、一切なし(ちなみにフランス人のルームメイトも靴を脱がない。ヨーロッパには玄関で靴を脱ぐ人もいるけど、ルーミーは違うみたい)。
なんなんだこの遠慮のなさは。ここは、わしの家ぞ。
まったく理解できないロシア語で、あれこれ話し合っているのを見ていたら、なんか愉快になってきた。
詰まりは無事除去され、そのさらに1時間後くらいに、別の業者さんがやって来た。
彼は、大家さんが個人で契約している水道屋さんだった。
このおじさんは、先ほどの2人のおじさんたちより愛想が良く、ほんの少しの英語とラトビア語が通じた。留学生が住む家の対応に慣れているのだろうか。
とにかく、台所がもとどおりになって本当に良かった……。大家さんも即レスで助かった。
わたしは何もしてないけど、夕方からの授業で使うテキストを読むのにもあんまり集中できなかったし、なんだかドッと疲れた。おもしろかったけど。
トラブル収束のお祝い(?)に、ずっと気になっていたけど買おうか迷っていたアドベントカレンダーを、近くのスーパーで買った。
半額に値下げされていた。ラッキー。
2023年11月30日 いざプレゼンへ
リガ市内、まあまあの雪。マイナス10度近い。いいかんじ。
でも、公道の除雪があんまりされていなくて、歩きづらい。いや、除雪されてはいるのだが、おそらく北海道のきっちり除雪された道路を想定していたから「ちょ?!」と思うのだろう。
若者たちが、こういう道を躊躇いなくスニーカーで歩いている光景を目にするのもびっくり。足先の神経どうなってんの?
同じ北国でも、どこまでやるかの加減は地域によって違うのだな。
世界除雪選手権 -ママさんダンプの部- があったら、道産子は金メダルを狙えると思う。除雪車の部でも、いいところまで行けそう。
ちなみに道路が見えるくらい、きっちり除雪したい人もいる。
雪があると住人やオーナーの性格が見えるのは、北海道に住んでいたときと同じで、おもしろい。
今日は、必修の授業で、2回目のプレゼンテーションをやる日。
人前に立つのは日本語でも緊張するが、結果的に前回より落ち着いて話すことができた。
すくなくとも1回目に陥った「あれ、わたしなに喋ってるんだっけ」状態にはならず、スクリプトを用意してなくても、思い浮かんだ意見やフレーズを付け加えつつ、元のコンテクストを見失わずに発表できた。
とはいえ、可もなく不可もないプレゼンができるようになったレベル。
次は1月に別の授業でプレゼンの機会がある。
そのときは、もっとブラッシュアップできるように、がんばろう。
プレゼン後、安心したのか喉のイガイガが急に強くなって残りの授業中、周りに心配されるほど、ずっと咳き込んでいた。メンタル!
帰宅したら、落ち着いた。マスクして寝よう。
2023年12月1日 これにて決着
今日から12月なんて。
信じられない。年末? 来月はもう2024年?
時の流れの速さったら。毎年言っている気がするけど。
今日は毎週のお楽しみ(?)ラトビア語初級講座。
初級とは思えないボリュームなんだが?
しかも文法の説明がほぼ皆無だから、今日の授業は半分くらい何を話しているのか分からなかった。テキストの回答も、ほぼ記入できなかった。
授業後、ポーランドから来た学生と、途中まで一緒に帰った。
彼は、いつかの授業で「出身国はどこか」という質問にラトビア語で回答する練習をした際「ポーランド出身だと言いたくない」と言い放った学生だ。
そのときは、すごくイライラしているように見えた。
でも、おそらくいつもはおっとりしている。一週間に一度しか会わないけれど、フレンドリーで話しやすい。
ポーランドにはシュチェチンという北西部の街があるのだけれど、その街出身らしい。
わたしが「シュチェチン、行ったことある」と言うと、ものすごい喜んでくれた。たしかに、観光地ではなさそうだったもんな。
「ポーランド語はラトビア語に似ているから、なんとなく理解できる」と言っていた。
ヨーロッパの人たちは、1人で3カ国語以上できるのが、ほとんど当たりまえ。
うらやましいなと心底思うし、同時に日本語のオリジナリティを愛でたい気持ちにもなる。
帰宅後、住宅保険の人が来て、水漏れした台所をチェックしていった。
わたしの部屋は何の被害もなかったが、ルームメイトの部屋へは水が入り込んでしまったため、その写真も撮って帰った。
これにて、水漏れ事件はひと段落しそう。
これ以上おおごとにならなくて、本当に良かった。もう何も起きませんように。
2023年12月2日 環境、だいじ
カフェで勉強するのは、きらいじゃない。むしろ好き。
でも、課題をやるための勉強量を考えると毎回カフェに行くのは、財布の負担。
だから大学の図書館や施設、国立図書館を利用する。
特にラトビア国立図書館は、きれいだし広くてWi-Fiサクサクで、お気に入り。
水しか持ち込めない点と、開館時間が若干短い(わたしにとっては)ことを除けば、一番勉強がはかどる。
ということで土曜も開館している図書館へ。
午後から利用者が増え、早めに来て良かったと思った。12月は、テスト期間なのだろうか。
家に着いて鍵を開けようとしたら、見たことないおばあちゃんが上の階から降りてきて話しかけてきた。
ロシア語かラトビア語かも分からず、もしかしてこの前の水漏れのことを話しているのかも、と思って「キッチン?」と言ってみたら「外は寒いね」と伝えたかったらしいことが分かった。
「メリークリスマス」と言って、おばあちゃんは去って行った。わたしも「メリークリスマス」と返した。ふと、日本の年の瀬のあいさつを思い出した。
2023年12月3日 初・ラトビアのサウナへ
日曜日。
今日は待ちに待った、サウナの日!
大学の授業の一つで「パブリックサウナに行き、現地でどんな人がどんなふうに時間を過ごしているのか観察したレポートを提出せよ」という課題があった。
ずっとパブリックサウナを探していたのだが、なかなか見つからなかった。リガ市内にサウナはいくつかあるけれど、その多くがプライベート用だったり、旅行客向けだったりするのだ。
老舗で人気のサウナが一つあったようだが、コロナで閉店してしまったらしい。
結果、ラトビア人のクラスメイトに相談したら良いところを教えてくれた。新しめで、きれいな場所のように見える。
サウナの入り方や注意事項など、書いてあったとは思う。けれどぜんぶラトビア語とロシア語だった。
男女は分かれており、女性は週末(金土日)9:00〜15:00しか入れない。男性は、もっと長い時間、利用可能。なぜ?
到着したのは13時ごろだったが、すでにたくさんの人が出たり入ったりしていた。
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