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憧れの尾道に16日間、暮らすように旅してみて/旅と日常のグラデーション

憧れの尾道。いつか住んでみたいと思っていた尾道。いつか住むだろうなぁと思い描いていた場所。

そんな尾道に、16日間滞在した。長いようであっという間だった16日間。何を感じて何を見たのかを、1日ずつ残しておこうと思う。

「海のそばで暮らす」ということ

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私は生まれも育ちも岐阜県だ。岐阜県といえば海なし県。小さな頃から夏になると福井まで行って海水浴に行ったり、旅行で海を見たりと、海は私にとって、「旅行先で見るもの」だった。

でも、ずっとずっと「海のある暮らし」をしてみたかった。朝起きて海まで散歩したり、夕日を見にでかけたり。「海とともに暮らす」ことを夢見ていた。

尾道駅を降りてすぐに目にとびこんできたもの、それは「海がそばにある生活が根付いている地元の人」の姿だ。海をみながらベンチに座って話している高校生。海沿いのデッキで犬の散歩をしている老夫婦。目の前に広がる海の景色を目に焼き付けておこうと写真を撮る観光客。

とにかく私が真っ先に思ったのは、「海そのもの」に憧れていたのではなくて、「海がそばにある暮らしそのもの」だなあと感じた。そんな気持ちでスタートした海との暮らしを振り返ってみる。

尾道暮らしで感じたこと

実は、尾道で滞在していた16日間、ツイッターにひとことずつ写真とともにつぶやいていた。それをもとに1日ずつ振り返ってみる。

1日目夜、尾道に到着

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駅について飛び込んできたのは夕焼け空。徐々にライトがともってオレンジ色が濃くなって、海にゆらゆら揺れて。この景色を眺めて滞在先まで向かう途中、これから始める尾道暮らしにわくわくした。

2日目、海が見える暮らしに興奮気味

尾道では、日本全国、定額住み放題サービスADDressを利用。尾道には4カ所の提携拠点があり、そのうちの1つ「尾道A邸」に1週間滞在。駅からは少し離れていて、だからこそ尾道らしい港町の景色を大きな窓から眺められる場所。

仕事をしながら旅をしているので、仕事が心地よくできるかも大切な私にとって、「海を見ながら仕事ができる」環境にひたすら喜びを感じて。

仕事に疲れたら、海に視線を向ける。すると嬉しくなり、また仕事を頑張れる。このターンを1日中繰り返していた。窓を全開にして、心地良い風を感じながら。「仕事をしているだけで、幸せを感じられる」という意味の分からないシチュエーションに終始わくわくどきどきしていた2日目。

このときは10日間の滞在の予定だったけれど、結局16日まで延長。

3日目、心地よさを表現できないもどかしさ

天気がよくて、穏やかで、たまに外から聞こえてくる漁師の人たちのやりとり。ただひたすら心地よさだけが漂っていて。この感じを全然言葉にできなくって、もどかしさを感じていた日。家守さんや他の滞在している会員さんと一緒に「気持ちよすぎる~」とひなたぼっこを楽しんだ、平和すぎる1日。

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日当たりの悪い1Kのアパートの部屋に引きこもって仕事をしていたことが遠い昔のよう。1日の大半を過ごす「仕事中」、場所を選ぶことも大切なんだなぁ、って今回の尾道暮らしで初めて感じた。

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外を出て飛び込んでくる景色。朝は腰掛けてコーヒー飲んでゆっくりとこの景色を独り占めしていた。

4日目、引きこもりなのに幸福度が高い

仕事が少し立て込んでいながらも、なぜか幸福度が高かった4日目。引きこもりでずっと同じ景色を見ていたからこそ、雲の形とか風の強さとか海の青さが変わることに気づいた。太陽の当たり具合で、景色が変わっていくのをじっくり見ているのも面白いよね~という気づき。

夕方からは尾道の坂を散歩。千光寺に行ったり、路地で猫とたわむれたり。

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尾道らしさ全開の写真が撮れて嬉しい~~。

5日目、午後からオフ。自分へのご褒美を

午前中は仕事頑張って、午後からオフに。カフェ行って、美術館へ行って、公園で景色眺めながら本読んで、夜はお酒を飲んで、という私が喜ぶフルコースを。

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「HIBI COFFEE」さんでコーヒーとチーズケーキを。心地いい音楽を聴きながらぼーっとコーヒーとケーキを味わう至福のひととき。店内もかわいくて、落ち着けて、お店の方も優しくてほがらかな人柄で、素敵だった。

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「尾道市立美術館」へ。『画家とパレット 近代の巨匠たち展』が開催されていて、画家さんの実際の使い古されたパレットや、そのパレットを使って描かれた絵を鑑賞した。色の濃淡やどことなく曖昧な色合いに引き込まれて。久しぶりにじっくりと絵を見る時間を取れたのが嬉しい。

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美術館を出た後の雲がパレットで描いたように広がってて感激。時間が経つにつれて形が変わっていくのをぼーっと眺めるのも楽しかったなぁ。

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そんな空の変化をずっと眺めていようと、景色が見渡せる公園で、ぼんやりと本を読んでいた。限りなく空白の時間なんだけど、1日の中にこんな「何もしないようで満ち足りている」時間を作れるのが嬉しい。余白を愛することのできる心の余裕が嬉しい。ちなみに、読んでいたのは江國香織さんの「こうばしい日々」。

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夜は「出汁と酢」さんでお酒を。女性ひとりでも入りやすくて、移住されてる人のお話を聞けて楽しかった。おつまみも少しずつ味わえて、ほどよく酔えて幸せな気分。

6日目、海の見えるコワーキングスペースにて

朝は「パン屋航路」さんでパンを買って、海辺で朝食。ベーグルと紅茶のメロンパンをチョイス(魅力的なパンがありすぎてめちゃくちゃ悩んだ)。尾道と向島を行き交う船(と船に乗るひとたち)を眺めながら、足をぶらぶらさせながら、優雅な朝時間。

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優雅な朝を過ごしたあとは、海の見えるコワーキングスペース「ONOMICHI SHARE」で8時間がっつり仕事。全面窓ガラスで海が見えて、仕事もはかどるし景色も楽しめるしで、1日の幸福度が高まった。

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7日目、尾道暮らしも折り返し。余白たっぷり

仕事を早めに終わらせて、5日目にも訪れて気に入った公園で読書のつづき。10月半ばは寒かったけど、太陽に当たって心地よい風を浴びるとちょうどいい気温。改めて、秋の匂いや風がまるごと好きなんだと実感した1日。

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何を思ったか、心地よさを引きずって「昼吞み嘉成屋」さんへ。おでんやハムカツなど定番のおつまみで軽くビールを。実はハッピーアワーで夕方まで1杯目のビールが無料だったよう(10月末まで)。お会計時に気づいた。お得感!うれしい!

8日目、景色を綺麗だと思える心の余裕

朝日も夕日も眺められた贅沢な1日。朝は部屋のすぐ前から昇る朝日が見えて、夕方は尾道市役所の屋上(無料開放されている)から沈む夕日が見える。

個人的に、朝日と夕日を気軽に眺められる街はいいなぁと思う。「あぁきれいだな」って思える時間、朝なら「今日も頑張ろう~」って思えて、夕方なら「今日も頑張ったな~」って思える時間。単純だけど、健やかな感覚を毎日に取り入れたいなぁと感じた1日。

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夜に、他の会員さんと一緒に「洋酒喫茶ロダン」さんへ。ご夫婦がやられているバーで、店内にはマスターがフィリピンに通って集めた貝がずらり。博物館みたいでわくわくして、扉を開けた先にこんな空間が広がっているのにびっくりした。

ゆっくりお話をしながら、おふたりの関係性や奥さんの人柄にとても惹かれた。座右の銘が「根に持たない」っていう言葉だったのが素敵だったなぁ。大きな愛で優しく包み込んでくれそうな人柄、あったかい気持ちになった。

9日目、隣の家のひととお話。ほっこり

海を眺めながらコーヒーを見るのが習慣化しつつあった朝、隣の住人の方とお会いして1時間くらいお話をした。彼は船を製造する会社で働いているとのこと。尾道の漁師さんのことや11月に行われるベッチャー祭りのことを教えてくれた。

「海のある暮らし」に「飽きた」と話してくれたけれど、どこか嬉しそうな顔をしていたのが印象的。こういう飾らない穏やかな雰囲気が尾道の好きなところなんだなぁ。

10日目、雨で引きこもり

信じられないけれど、尾道に来て初めての雨の日(本当に今までずっとあきれるくらい天気が良かった)。思えば仕事をこなして終わったらひたすら街を歩いてという、フルで1日中動いている感覚が尾道に来てからずっとあって。

もちろん、楽しいし、心は穏やかだけれど、身体的に疲れがたまっていて、毎日筋肉痛な状態だった。だからちょうど1日雨でひきこもれて良かった。ちょっと立ち止まる時間も大事だなぁと雨の中ベランダでコーヒーを飲みながら思った。ちなみに、この日から滞在先を「尾道B邸」に移動。海の見える家から、坂の上の家に。

11日目、しまなみ海道を爆走

「雨の次の日の晴れだし絶対良い天気になるはず!!!」という直感のもと、しまなみ海道サイクリングへ。(結果、めちゃくちゃ完璧な晴れだった)。

ちなみに、普段は自転車に乗らないし、クロスバイクも初体験。ドキドキしながら普段と違うことにチャレンジする、って旅先だからこそできることだなぁ、と感じながら70km爆走。

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次々に絶景が現れるから、どんどん先へ進んでしまい、帰り道そのまま引き返すことも忘れて。途中辛くてめげそうになったけれど、なんとか尾道まで帰ってきたときはすごい達成感。

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途中で飲んだキレートレモンのおいしさとか、坂を駆け上がった先に広がる海とか、透明で太陽に当たってキラキラしてる海とか。疲れも辛さも筋肉痛も全部全部吹き飛んでいく、その感覚が爽やかで清々しくて、なんだか違う自分になれた気がして嬉しかった。

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12日目、筋肉痛をひきずってゆるっと。

予想していたとおり筋肉痛がひどかったので、部屋で仕事していた日。この日は載せる写真が特になかったからか、ずぼらなごはんの写真を。滞在中は基本的に自炊をしている。でも私は料理が苦手だから、滞在先で料理を楽しむ暮らしに憧れる。

13日目、尾道暮らしと仕事の両立を

この日は仕事が立て込んでいた。けれど、尾道にいるのも残りわずか・・・、天気は完璧。尾道を体感できる場所で仕事をしようと、海沿いのデッキで仕事を。まさにワーケーション。駅前でミスドのドーナツとセブンのコーヒーを買って、ピクニック気分。

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尾道には海沿いにベンチやパラソル付きのテーブルがたくさん並んでいる。海と人との距離が近づく暮らし。日常にさりげなく海を取り込める暮らし。この街の好きなところ。

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あとこの日は夕日がとても綺麗だった。尾道市役所の屋上にて。滞在中、暇さえあれば屋上にのぼって、ぼーっと景色を眺めてたなぁ。

14日目、最高の居心地のカフェへ

福山市まで足を伸ばして、「風の丘Book&Cafe」さんへ。福山駅から歩いて30分、住宅街の丘の上にあるカフェ。頑張って歩いた分、景色が最高。テラス席があったので、テラスでゆっくりと本を読みながらコーヒータイムを。

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隣から漂う金木犀の香りと、ゆらゆら揺らめく木の陰が心地よすぎて、本を読むのに夢中になれた。読んでいた本はナカムラケンタさんの「生きるように働く」。

まずはやってみることからはじめて、目の前のことに向き合う、自分の足下を大切にしていくことで、根っこを張っていく。やってみないと分からない。不安な気持ちがあるのはしょうがない。過去や未来のことをかんがえすぎずに、目の前のことに集中してみる。

いま大切にしたい言葉に出会えた。嬉しい。

15日目、大好きな金木犀の香り

金木犀が咲き始めて、歩くたびにふわっと香りが漂って、いつまでも散歩したくなる。ぬくぬくとした天気の中、つんと甘い香り。「そうそうこの感じ」と思える心地よさが10月が大好きな理由かもしれない。

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ふと、こんな空気を忘れたくないなぁ、と思った。忘れたくないからこそこうやって書いてるんだけれど。

この空気感とかあたたかさとか、歩いていると鼻をかすめる香りとか。これを「心地良い」と感じた自分の気持ちとか。こうやって残しておいて、「こんなときもあったなぁ」って感じたい。間違いなく、10月のこの空気感を五感いっぱいで味わえたことは、私にとってのなによりの幸せの象徴。

16日目、尾道最後の日。

ついに、尾道最後の日を迎えた。尾道駅を降りたときは「2週間も大好きな憧れの街にいられるんだ!!」とわくわくしていた。旅のようで、日常のようで、どこかふわふわと漂っていた16日間。

私が大切にしたい価値観である「暮らすように旅して、旅するように暮らす」、こんな理想の生活が少しずつ叶えられていく感覚が嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

旅と日常をグラデーションで彩る

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刺激たっぷりな「旅」というわけではなかった。日中は仕事をしているし、家から出ない日もあったし、観光と言ってもまわりを散歩するのがほとんどだし。

だからといってただの「日常」というわけでもなかった。素敵な景色を目に焼き付けようとしたり、いつもと違うアクティビティを楽しんでみたりもした。今までの「日常」よりも解像度高く、感情やワクワクに従って過ごせた。

この、言葉では上手く表現できないけれど、「旅」と「日常」がグラデーションのように広がっている暮らしが、私にとっては1番心地良いと感じる。

非日常の旅もいいけれど、何気ない日常の中に「旅」があればもっと嬉しい。毎日同じように続く日常の中に、旅先で感じるような刺激がほんのちょっとだけ含まれていたら、かけがえのない毎日を過ごせる。

そんな、お互いが調和し合ってちょうどよく混ざり合ってくれる、そんな旅と日常のグラデーション生活。私の「心地いい暮らし方」をこれからも大事にしたい。


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私の理想の暮らしは下記のnoteでも綴っています◎




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