From ALTER EGO〜地下室の手記〜

これは何かを拗らせそうな中学〜高校で読むと反面教師として真っ当になれると思う。

冒頭、いきなり男がくだを巻いている。
くだを巻いている以外の言葉が見つからないほどの巻きっぷりだ。いっそ気持ちがいいくらいにイキリ倒している。
SNSの嫌な客がいたぜ紹介、ないしはクソクレーマー撃退自慢。
多分これを読んだ人間の半分くらいは「誇張してるな」と呆れるんじゃなかろうかというほどの尊大さ。
ただ翻訳の亀山さんが上手いのでしょう、めちゃくちゃ面白い。
やばいおっさんが昔取った杵柄じまんしてるおもろ!!!!になる。
なるのだが。

これが全編続くと流石にきついのだ。

地下室に住むこの男、とにかく自尊心が高い。高過ぎる。それも若い頃からずっと。そして自分に降りかかる不幸やら不利益やらよくないことをほぼほぼ他者のせいにする。
よくないって…
本当によくない。
兵士や旧友に対して、マウントを取りたい、目の前の人間よりも自分が上等な人間であると示したいと常々考え行動に移しては無視されたり冷笑されたり、挙句の果てには憐れんだ娼婦にその憐れみを見抜かれて罵倒され捨てられる。

彼が周囲へ攻撃する様子を他人事として遠くから憐れむことは容易だが、それ以上に、彼が自分の行為が正当であり相手の意見を聞いたり迷惑を考えない様子があまりにも痛々しい。若者特有の全能感・万能感か、はたまた退くに退けないエベレスト級の自尊心故か。
なんて言うんだっけこういうの。共感性羞恥じゃないやつ。後で調べる。
歓迎されてない同窓会に行って邪険にされてキレるとかさ…

こんな大人になってはいけないと身の引き締まる思いです

というわけで自分に酔って暗黒微笑浮かべたり知識マウントとったりしがちな赤裸々な学生時代に読むことで自分の身の振りを省みる一助になると思う。
タイトルしか知らないような作品を学生のうちに読んでおいた方がいいのはこういうことなんだな…
これからも色んな本を読んでは自分の生き方を見直すきっかけにしていきたいです。

とりあえずまずは謝れる人間になろうと思います。

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