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ルイボスティーだって(笑)

「美咲さん、何飲んでるんですか?」

会社の昼休み。

お弁当をむしゃむしゃ食べ、飲み物を飲んでいると後輩から聞かれた。

「ルイボスティーだよ」

すると、少し離れた席からクスクス笑いが聞こえてきた。

「ルイボスティーだってwww」

若い女性社員二人。

声色が嘲笑の響きを持っていた。

そう。私はブスなのだ。

その一言は、160km/hストレートで心臓に届いた。

そしてグシャリと凹んだ。

「へぇ〜。ルイボスティーですか」

後輩が何やら喋っているが、クスクス笑いに気を取られ、会話が全く頭に入ってこない。

私は悲しくなった。

自分が笑われていると知り、恥ずかしかった。

ブスがルイボスティーを飲んで悪いのか。

そうしてお昼休みが終わった。

私の心は潰れた空き缶のようになっていた。



ルイボスティーの件があった今、私は未だに恐怖している。

いつまた誰かに傷つけられるのだろうかと。

私は人とすれ違う時、いつも緊張する。

先日も道を歩いている時、追越しざまに男性から顔を見られた。

全く嫌になる。

あぁ、美人に生まれてきたかった。

ありのまま、まるっと愛される人になりたかった。

せめてポジティブな人間であったならよかった。

そうしたらこんなことで悩みやしないだろうに。

そんなタラレバが頭の中で延々とぐるぐる流れる。

でも、現実はそうはいかない。

私は考え、ある一つの結論に至った。

外見に拘ることってある意味期待なのかも。

自分からも他人からも期待されてるんだ。

だから理想通りでないとガッカリする。

苦しんでしまう。

せめて自分に期待することを辞めたい。

ものすごく難しいけど。

私は努力することも、割り切ることも出来ないから、自分の思いを文章にすることにした。

自分に言い聞かせるために。

でもやっぱり受け入れられない。

そもそも言葉で感情を納得させることなんて土台無理な話なんだ。

それでも私は毎日コンプレックスと対峙する。

辛いけど。

時々、コンプレックスを忘れられる日もある。

勝てる日も、たま〜にある。

私は現実を受け入れる方を選んだ。

だから今日も自分と闘って、ルイボスティーを飲む。

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