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みーちゃんはヤンチャリカ
純朴な田舎の少女時代。
絵を描いたり、本を読んだり、おままごとをしたり、
外でかけっこしたり、自転車で爆走したり、ごっこ遊びしたり、落ち葉拾いしたり、
何でも楽しかった。
よく泥だらけで家に帰ってきて、母に叱られていた。
4歳くらいの時。
団地の集会所に集まっていた、女子中学生3人組の中に、勝手に混ざって遊んでもらったことがあった。
秋から冬にかけての時期。
外はもう真っ暗。
公園の時計を見たら19時半を過ぎていた。
ちっちゃい子がそんな遅くまで帰ってこなかったら、当然、親は心配する。
だから私を探して母が迎えに来たんだ。
「みーちゃんっ!!遅くまで何やってるのっ!!心配したんだよ!!」
そう、声を張り上げて、私と女子中学生たちの輪の中に入ってきた。
彼女たちはみんなバツの悪そうな顔を浮かべていた。
「だって、もっと遊んでいたかったんだもん!!」
私は悪びれずに叫んだ。
すると母が
「あんたなんか、うちの子じゃありません!!そんな言う事聞かない子は、お母さんの子供なんかじゃありません!!」
と叫び返した。
私は内心怯んだ。
顔をクシャクシャにして泣き出してしまいたかった。
けれども、私のプライドがそれを許さなかった。
「いいもん!!別にお母さんの子供じゃなくったって!!もっと優しいお母さんを見つけてくるもん!!もっと優しいお家の人に拾われて、その人ん家の子供になるもん!!」
母はポカンとしてた。
そんな母娘のやり取りを女子中学生たちはヒヤヒヤした様子で見守っていた。
まさか幼い娘がそんなことを言うだなんて、思いもしなかったといった様子だった。
観念したように母は言った。
「分かったよ、みーちゃん。お母さん、酷いこと言ってごめんね。」
私の負けん気の強さに折れたんだ。
「お母さん、ごめんなさい!!」
ようやく私も謝った。
勢いよく母の胸に飛び込み、抱きついた。
そのまま手を繋いで、二人で一緒に家まで帰った。
「あんたがあんなこと言うから、お母さんびっくりしたよ」
当時を振り返る度に、母から言われた。
昔、NHK教育テレビ「おかあさんといっしょ」で「ヤンチャリカ」という歌がよく流れていた。
とてもやんちゃで、手の焼ける「リカちゃん」という女の子のことを歌った曲。
「みーちゃんはヤンチャリカだ」
頑固で利かん坊な私に困った母が、度々そう呟いていた。