探し物はなんですか~最終話:早朝~
私がそれをカギと認識したのにそう時間はかからなかった。
しかしここで喜ぶのはまだ早い。だいたい太古の昔からカギというのはほぼ形を変えていない。違うカギの可能性も捨てきれないぞ。
またしても穀物を精白した際に出る果皮、種皮、胚芽などのえじきになってなるものか。
私はゆっくりとそれをつかんだ。表面が少し傷つきリングが歪んでいるが紛れもなくカギである。
しかしまだ浮かれてはいけない。私は家のドアの前へと静かに足をすすめた。そして・・・
「カチャリ」
子気味良い音を立ててドアのあく音がした。やった、やったんだ!
「これこそ私の落としたカギだ!!」
私は思わず栃木の中心でカギを叫んだ。
ついに発見したぞと。やはり希望を捨てないでよかった。早起きしてよかった。諦めず探してよかった。
やっぱり希望はいいものだ、たぶん最高のものだ。いいものは決して滅びない。
あまりに嬉しかった私はとりあえず一人でデニーズで豪華な朝ご飯をとることにした。
まぐろごはんと半熟たまごうどん。
これが私の胃袋を満たしていく。減量するために走っていたんじゃなかったのかという思いが頭をかすめたがもうどうでもよかった。これでもう家のドアを一人で開けることができるんだ。その当たり前のことがようやくできる自分がうれしかったのだ。
ハッと気づくともう出社の時刻が迫っていた。
豪勢な朝ご飯をとっていたからといって遅刻は許されない。
デニーズから一歩外にでると突き抜けるような青空と柔らかな朝の太陽光が私を出迎えていた。
よくある夏の朝なのだが、それは彼らなりに今朝の出来事を祝福しているかのようだった。
私は一呼吸すると自転車にまたがりペダルをこぎ始めた。
~おわりに~
夏の日に カギをなくして 見つけたよ、という17文字くらいの内容を小説風に書いてみようと挑戦したもののあまりに表現力がないのでいろんなところからパクりまくってみた。
学生時代はよくこういう日記を書いていたなと思い出しながらも、途中で断念しそうになるくらい大変だったぞと・・・
ま、暇な時にでも。
<参考文献>
金城一紀(2000)『GO』講談社
ウイリアム・アイリッシュ(1976)『幻の女』ハヤカワ・ミステリ文庫
綿矢りさ(2003)『蹴りたい背中』河出書房新社
片山恭一(2006)『世界の中心で愛をさけぶ』小学館
岡田麿里(2011)『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』メディア・ファクトリーズ
荒木飛呂彦(1987-)『ジョジョの奇妙な冒険』集英社
庵野秀明(1995)『新世紀エヴァンゲリオン』GAINAX
矢立 肇(1998)『カウボーイビバップ』サンライズ
井上武彦(1990-1996)『SLAM DUNK』集英社
三浦建太郎(1989-)『ベルセルク』白泉社
スティーブン・キング(1982)『刑務所のリタヘイワース』ヴァイキング・プレス
山崎まさよし(1997)『One more time,One more chance』ポリドール
小田和正(1991)『ラブ・ストーリーは突然に』ファンハウス
井上陽水(1973)『夢の中へ』ポリドール
SMAP(2003)『世界に一つだけの花』ビクターエンターテイメント
THE 虎舞竜(1993)『ロード』トライエム
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