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【Paradise Kiss】大人だと思っていたパラキスのジョージは普通に子供だった

矢沢あい先生作の漫画Paradise Kiss、通称パラキスをご存じですか?

主人公の紫(ゆかり)と矢澤芸術学院(通称ヤザガク)の服飾科に通うジョージ、イザベラ、実和子、嵐の4人がメインとなる、夢を目指すキラキラとした、そして複雑な感情や人間関係を描いている漫画です。

簡単に説明すると、ごくごく一般的な家庭で育ち、特に何か夢があるわけでもなく親の期待に応えるために真面目に勉強だけをしてきた紫が、夢のために頑張る4人と出会ってどう変わっていくかといったストーリーです。

子供の頃に読んだパラキス


パラキスとの出会い

私が初めてパラキスを読んだのは、中学2、3年生だったと思います。
元々、漫画「NANA」が大好きだったので、その流れで矢沢あい先生の他の作品も読みたい!と思って買いました。
絵画コンクール的な何かで賞を取った時に貰った図書カードで買ったのを覚えています。

まず、表紙がお洒落すぎるんですよね。
5巻あって、メインの5人がそれぞれ1人ずつ表紙を飾っているんです。
統一感があって、そもそも矢沢あい先生の絵が素敵すぎるというのもあって、子供心にこれは今まで読んできた漫画より確実にお洒落で大人な漫画だ!と思いました。
大判サイズだというのも特別感を感じましたね。


あまりにも大人すぎると感じた登場人物たち

当時の私には衝撃的でしたね。
みんなが大人すぎて。

嵐とか、派手な見た目とは裏腹に一番現実的だったり。
イザベラも初見だと変わった人枠かなと思ってしまうんですけど、色んなことを乗り越えた経験があって、客観的に物事を見れるんですよね。
実和子はとにかく可愛いです。
こんな女の子になれたら最高です。
ふわふわしてるけど決して馬鹿ではない、そして繊細さもあるんですよね。


小泉譲二という男

で、ジョージですよ。
こんな男が少女漫画に登場するんだという衝撃。
意地悪な男の子なんてレベルではないですよね。
紫のダメなところを確実に刺しにくる感じ。
感情論を全く許してくれない感じ。
でも普段の振る舞いは紳士で、有言実行で仕事ができる男感。

当時の私は、ジョージをめちゃくちゃ大人な男だと思いました。
現実の周りの男子と比べて大人だというのはもちろんですし、他の少女漫画に出てくる男子高校生ももっと青臭いですからね。

でも、大人になって改めてパラキスを読み返してみると、いやジョージって全然大人じゃないなと思ったのです。

大人になって読んだパラキス


確かにジョージは大人びてはいるが

女性に紳士的な振る舞いをするだとか、まぁ一般的な男子高校生にはできないですよね。
それをさらりとやってのけるジョージは確かに大人です。
思春期なんてものはとうの昔に終えました感はあります。
でも紫に対してはどうでしょうか?


大人から見るとジョージも子供だった

好きだけどどうしても性格が合わない紫に対して、なかなかにキツイことを言いますよね。
大人になって改めて読むと、こういう振る舞いをするジョージに対して、「こいつのここが気に入らないと思っても、そんな傷つくような言い方をする必要はないよ」と言いたくなります。
正論を述べることが正解だと思っているところが子供だなぁと感じました。

間違ったことを言っていなければ何を言ってもいいわけじゃないですよね。感情を持つ人間同士がうまく付き合うには、言い方であったり、ある程度感情に寄り添ってあげたりする必要があります。
そういうことができないジョージは、大人からすると子供っぽく見えます。


紫とジョージはうまくいかない運命

ジョージは家庭環境が複雑で母親が依存的な性格ですので、しっかりと自立していない女が許せないんでしょうね。
だから紫の他責的な部分が出るとキツく言ってしまう。
ジョージも大人びてはいるけど決して大人ではなかったので、そんな2人がうまくいかないのは仕方がないです。
紫がもっと精神的に自立した人間であればうまく付き合えてたかもしれませんが、高校生にそんなことを求めるのは酷ですよ。

もし2人が大人になってから出会っていたらうまくいっていたのかな?
なんて考えたこともありますが、高校3年生で出会ったからこそなんだよなぁ・・・
若い時だからこそ、あんな強烈な極彩色の経験になったんだよなぁ・・・
紫とジョージがうまくいかないからこそパラキスはこんなにも魅力的なんだろうなと思います。


子供の頃読んだことあるなぁ・・・
という方には、大人になってからの目線で改めて読んでもらいたい1冊です。


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