見上げればいつも四角い青空#22 雷さまが棲むといふ
もう9月に入り、暦の上では鈴虫も鳴こうかという季節だというのに、まだまだ夏は終わらない!そんな宣言とも思える日々が続く。
そんなまだ続く夏の空と言えば、やはり雷雲とも呼ばれる入道雲だろうか。夏特有の暑さの中、青空の中に“もくもくもくもくっ“と雲が沸き立つ音が聞こえてきそうなほど、上に横にと広がっていく様は壮観だ。
ボクが子供のころは、今よりもぜんぜん暑くはなかったから、夏休みと言えば外で遊ぶのが当たり前で、野球だ!、かくれんぼだ!、鬼ごっこだ!、と駆け回っていた。そしてボクたちの頭の上に広がっていたのは、青空と一つとして同じ形をしていないさまざまな入道雲だったように思う。
今では命の危険もある暑さに、子どもたちはそんな空を見上げながら遊ぶなんてことは減ったのだろうか。
日本気象協会によれば、通称“入道雲”とは、正式には“積乱雲”といい、十種形とされる雲の種類のうちの一つだといい、雲によっては10,000mを超える高さにまで達するという。空が灰色の雲で埋まりはじめると、力を貯めるようにして静かだった入道雲は、突然に雷鳴を轟かせ、激しい雨を呼ぶ。雷さまが棲むといわれる所以だ。
ときに入道雲は、物語では舞台を転回するのに登場する。例えば『天空の城ラピュタ』(1986年 監督・脚本 宮崎駿)では、敵から追われる主人公たちが巨大な積乱雲の中に逃げ込み、そしてラピュタに辿り着いた。
主人公の乗る飛行機も豆粒に見えそうなほどの大きさと高さを目の当たりにして、子どものころ広場から見上げているのとまったく違う景色なのだと思ったのを覚えている。
最近は、雷鳴とともに子どものころとは比べ物にならないほどの大雨をもたらす。
先日は、外出する前に空を眺めると、夏の空にまさに入道雲があったあと、東京は、突然の大雨に襲われ、交通機関も、そして普通に歩いているにしても大変なこととなった。
入道雲に棲むという雷さまの力をあなどってはいけない。