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見上げればいつも四角い青空#33 鎌倉天園ハイキングコースで初秋を味わう(1)

15時32分、視界には遠くみなとみらいに立つランドマークタワーと高層ビル群、そして東京湾がわずかに捉えられる。今、ボクは鎌倉市の最高峰大平山(海抜159.2m)の山頂に立つ。

空はよく晴れ、日差しはまだまだ強いけれど、少し涼気を纏う清々しい風が抜けていく。秋は「もうすぐそこまで来ているぞ!」とその足音を聞かせているようだった。

横浜市と鎌倉市の境に程近い知人宅を訪問したついでに、鎌倉ハイキングを企画したボクたちは、ハイキングの玄関口の一つである北鎌倉駅を目指して車の行き交う車道に沿って伸びる歩道を歩いた。

歩いている人などほとんどいない。
唯一、外国人の親子連れとすれ違ったくらいのもので、北鎌倉駅まで歩くことに懐疑的なうちのおくさまの頭の中は???だらけで、歩きたがりのボクでさえも少しおくさまに申し訳ないという気持ちになるほどだった。

いくつかの上りと下りを経て、横須賀線の線路を渡り、北鎌倉駅に到着する。

駅前に設置された鎌倉周辺の観光地を示す大きな地図を見ながら、これから向かう天園ハイキングコースの入り口が、美しい紫陽花で知られる明月院の近くからスタートしていることを確認する。

ハイキング前の腹ごしらえに駅前の小さなお蕎麦屋さんに立ち寄った。
お蕎麦を待つ間、持ってきたiPadで再び地図を見ながら明月院に入って歩くのか、それとも明月院に入らなくても行けるのか、「あーだ」「こーだ」と掛け合っていると、北鎌倉で生まれ育ったというお蕎麦屋さんのご主人が、「私が育ったころから変わっていなければ」と前置きしながら、明月院の入り口を過ぎて住宅街を登って行った先に、天園ハイキングコースの入り口があると教えてくださった。

ボクはその話を聞きながら、ボク自身も田舎の山で育ったけれど、日本でも有数の観光地に育つというのはどんな子ども時代になるのだろうなどと、追体験できるわけもないのに想像しようとしてみる。(つづく)

最後まで読んでいただきありがとうございます。同じようでいて同じではない日々の生活の中で、感じたことや考えたことをスケッチしています。よかったらまた立ち寄ってください。

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