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紺碧の月

恋や運命、いつか夢見た甘酸っぱい景色
匂いも温度も、感触さえあったのに
いつの日にか色褪せて
今はただ色のない寝ぼけた景色のよう
紺碧の月を見上げた、あの日の風
溌剌とした女の子
ペダルを蹴って歌ってた

至らなさを理由に自分を傷つけ
大人の仲間入りを目指したの
少しだけたどり着いた時、あのこの歌は聞こえなかった
何も怖くなかった女の子
何にでもなれた女の子
ねえ、あなたは今なにを歌ってる?

本をめくれば本当があったの
心に描いたものがたり
鮮やかな色をした憧れの未来
捨ててしまったのかしら
そんな記憶はないけれど
仕舞い込んだ記憶もないの
心の日記を探さなきゃ
あの日のあの子ともう一度

走り出したときに子供ではなくなって
大人の形になっていた
「大丈夫だよ。私はあなた。
何も怖くないし
何にでもなれる」
紺碧の月の下
制服のスカートを翻し私は笑ってた