9 手術当日
目を真っ赤に腫らせて向かった病院。
初めて来た時は期待で胸がいっぱいだったのに。
今はこんなにも苦しくて悲しくて。
せっかく宿ってくれた命なのに。私は何もしてあげられなかった。
初めての妊娠で初めての流産。
絶望しかなかった。
手術の流れを説明され、手術室へと向かった。
手術台に上がり、最後に何を考える間もなく、全身麻酔で私は意識を失った。
あっという間に目が覚めて、しばらくボーっとしていた。
先生が来て、赤ちゃんの袋を見せてくれた。
中には小さな小さな、まだ形にもなっていない赤ちゃん。小さすぎて抱きしめてあげることもできない。
我に帰り、先生の前で堪えきれず涙をながしてしまった。
そして手渡された手術内容の用紙を見て、胸が締め付けられた。
そこに書かれていたのは「人工中絶手術」の文字。
稽留流産の手術は、中絶と同じ手術らしく、そう書かれるようです。
それでも自ら望んだ訳ではないのに、産んであげられるなら産んであげたかったのに、中絶と書かれていることで悲しみに追い討ちをかけられた気持ちでした。