カミナシから学ぶスタートアップのバックオフィス事情
登壇者紹介
野崎 未来(のざき みく)さん
新卒で大手金融機関勤務を経たのち、会計事務所で会計や税務など経理に関する業務を経験。株式会社クラウドワークスではIRや開示資料の作成などを担当。その後、LAPRAS株式会社に5人目の社員としてジョインし、執行役員CFOを経験。株式会社カミナシには1人目の専任コーポレート担当として入社。現在は、コーポレートチームのマネージャーとCEO室を兼任し、企業の長期認知施策やMVVの策定等幅広くコーポレート業務に携わる。
野崎さんは見た!
スタートアップのバックオフィスあるある
ノンデスクワーカーの抱える課題を解決するプロダクトとして、ピッチイベントで優勝したり、2021年3月には資金調達11億円が決まったりと右肩上がりで急成長を続けている株式会社カミナシ。事業成長が急加速する真っ只中に入社した野崎さんですが、入社当初は管理体制がまだ整備されておらず、社長自らがお金周りの処理を担っていたそうです。
「私が入社するまではバックオフィスの専任がいなかったため、気付くとカード上限いっぱいで社長が立て替えて繋いだり、領収書や請求書のファイリングがされておらず、振込忘れなどが発生しやすい状況になってしまったりしていました。当時は外部の税理士や社労士に委託しており、会計や労務に関する社内での管理体制が整っていない一方で、ビジネスはどんどん拡大し採用も加速していたので、とにかく早急に対応する必要がありました。」
入ってすぐにやったこと、今後の方針
まずは月次決算の内製化と整備をしました。具体的には、
freee会計の導入とネットバンキング・クレジットカードの連携
経費精算効率化・カード上限ケアのためにpaildの導入
請求書管理のために、バクラク請求書の導入
freee人事労務の導入と勤怠システムの連携
給与計算の内製化
を行い、このようなクラウドツールに強い税理士や社労士との契約の見直しをしました。
入社当初私がバックオフィスのツールを選定した頃は、全体最適になるよう極力シンプルを意識して、多くのツールに手を出しすぎないようにしていました。しかし、現在は組織拡大に伴って局所最適になり得るようなツールも検討できるフェーズに入ってきているので、今後はバックオフィスメンバーも増員しながらリデザインしていきたいと考えています。
バックオフィス対談
~先駆者の組織マネジメント~
バックオフィス立ち上げと組織マネジメント
和田 「入社当時は、野崎さん1人ですべてのバックオフィス業務に対応していたということですよね、、?」
野崎 『はい、そうです。以前は、社長とCSメンバー2人が合間を縫って対応するという状況だったので、専任としてその立ち上げから担当しました!』
「当時バックオフィスツールの選定で意識したことは何ですか?」
『まずは最速でパフォーマンスを出すことを意識し、初期的には主に前職で使い慣れていたツールを導入しました。』
「今はどのようにツール選定をされていますか?」
『ルールはたくさん設けずに、まずは一度使ってみるようにしています。
カミナシのバリューの1つである「β版マインド」を意識し、うまくいかなければ変えればよいという気持ちで新しいツールも積極的に試しています。』
「専門性の異なる部門が集まるコーポレート部門ですが、マネジメントで意識していることはありますか?」
『あえて自分の中だけで頑張ろうとしないことを意識しています。
私のメインのバックグラウンドが経理や財務寄りなので、それ以外の分野については、経験者や向いていると思うメンバーを中心にアサインして任せるようにしています。』
どうやって人数は増えた??採用のお話
「採用についての質問です。採用活動をする上で工夫されていることはありますか?」
『入社後しばらく採用人事専任のメンバーがいなかったので、Twitterで拡散したりリファラルで直接声をかけたりと、全員で採用活動をしていました。
その中で「採用ウィッシュリスト」というものを公開するという取り組みもしました。
カミナシのバリューの1つに「全開オープン」があります。ここには、「弱さを見せる強さを持とう」という意味が込められています。自分たちに足りないものは人に求めるしかないという思いでウィッシュリストを公開したところ、それを見て話を聞きにきてくれるかたも増えました。』
「採用に対して全社を巻き込むことは難しいと感じているのですが、メンバーにコミットしてもらう為に工夫したことを教えてください」
『社外への発信強化を目的として「カミナシ秋のnote祭り」というものを企画したことがあります。チームを分け、noteのいいね数上位チームに景品を設けて、ゲーム感覚で発信に協力してもらえる形にしました。チーム制にすることで、団結意識も生まれ、一人ひとりが一生懸命書いてくれました。ちなみに、この4月に「カミナシ春のnote祭り」も開催予定だったりします!』
リモートワーク下で風通しをよくする工夫とは!?
「リモート下でメンバーが急増すると、コミュニケーションの課題が生まれることもあるかと思うのですが、どのように対応されていますか?」
『リモート下かつ全社で毎月3〜5名のメンバーが入社しているので、新しいメンバーを全員把握することが難しくなってきたという課題がありました。そこで、毎朝10時からの朝会で、以前は全社周知のみの時間だったのですが、少人数のブレイクアウトルームで簡単なお題について雑談する時間を設けました。完全ランダムでブレイクアウトルームが作成されるため、業務で関わりのない社員同士交流を深められるきっかけになっています。』
「毎朝全社会って負担になったりしないのでしょうか。あまり多すぎると忙しいと言われてしまったりとか...」
『もちろん、今日は朝から仕事に集中したいという意見が出ることもあるので、そこはメリハリをつけています。朝会は10分程度にとどめ、開始時間と終了時間をちゃんと意識するようにしています。また、全員参加の全社定例は、オンラインで隔週1時間、オフラインで月に1日開催しています。特にオフラインの全社出社日に関しては、月に一度とはいえ全員の時間をもらうので、みんなが参加したくなるよう経営陣とコーポレートチームが全力を注いで企画しています。』
バックオフィスツールのひとつ、paildについて思うこと
「paildについて、カードの配布範囲と用途を教えてください!」
『カミナシでは、従業員全員にリアルカードを配っています。それに加えて、チーム毎のカードも作っています。個人のカードは福利厚生関連や旅費交通費に使うことをルールとし、経費精算を効率化するために配っています。チーム毎のカードには、特にルールはなくチームで使うものについての決済に利用してもらっています。paildを活用することで、経理側の会計処理の効率化にも繋がっています。』
「一人ひとりにカードを渡すことに関して抵抗はありましたか?」
『個人的に、抵抗はそこまでありませんでした。どちらかというと経営陣から抵抗されるのではないかな?という懸念もありましたが、特に問題はなかったですね。実際、利用状況も管理画面からすぐに確認できますし、仮に紛失してしまったとしてもすぐに停止することができるので、性善説で信頼して渡しています。管理画面上でカードの一時停止が容易な点や利用明細が確認できる点は、一般的なクレジットカードと異なるpaildの機能として素晴らしい部分だと思います。(いまだ、紙で利用明細がくるところもありますしね。)』
「paildを使っていて特によかった点はありますか?」
『2つあります。1つは上限がない点です。以前は、複数枚のクレジットカードを利用していたものの、カード決済が逼迫して上限オーバーすることがよくあったのですが、それが一切なくなりました。止まると困るツールが多くあるので、この不安が解消されたことは本当に大きいですね。もう1つは従業員一人ひとりに配ることができる点です。先ほども申し上げた通り、従業員の経費精算が少なくなったことで経理処理が効率化され、月次決算の工数もかなり削減できました。本当に助かっています。』
まとめ
代表による現場での実体験から生まれ、ノンデスクワーカーの課題を解決するプロダクトとして急成長してきたカミナシ。その真っ最中に入社し、0からバックオフィスを立ち上げた野崎さんから学ぶスタートアップのバックオフィス事情、いかがでしたでしょうか。
バックオフィスといえば会社の成長になくてはならないものでありながら、焦点を当てて取り上げられる機会の少ない領域だと感じていましたが、こうしてその形成をたどることで、いかにして会社の成長に寄与できるのか学ぶことができたかと思います。
そんな急成長し続けるカミナシさんのバックオフィスツールの1つとして、paildが立替や経理業務という側面からサポートさせていただけていることは大変嬉しいお話です。現場DXプラットフォーム『カミナシ』も、企業が抱える決済の課題を解決する新しい法人カード『paild』も、業務が増えてしまいがちな領域から非効率をなくすという点で似ているものを感じました。両者ともに今後の成長に期待できるプロダクトであることは間違いなさそうです!
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