スウェーデンが“ホーム“と感じられるのは、きっとここの居場所があったから
約半年弱働いたSukkineを卒業した。
最後の出勤日の日、わたしは出勤がおわっても、友達と食べに来たり、帰国の前には改めて挨拶にこようと思っていたから、あまりいつもと変わらない感じで働いていた。
でもふたりは、この日をすっごくスペシャルな日にしてくれた。
いつも3人で囲んでいた、お昼休みの休憩時間、いつもは、「ミリョン〜何食べたい?」と聞かれるところが、なんとほぼすべてのメニューが食卓に並んだ。
食べ始めようと箸に手を伸ばした瞬間と同時に、突然ふたりがひとつずつプレゼントを差し出した。とってもかわいいスウェーデンの美容品グッズだった。
日本でさえ、こんなに勤務先を暖かく感がたことはなかった。わたしはもはや、お金を稼ぐためではなくて、本当にお店のことが大好きすぎて、ふたりのことが大好きすぎて、ふたりと一緒にいれることが嬉しくて、本当にスキップしそうなくらいの気持ちで毎回出勤していた。
基本週一回、たまに二回くらいと、そこまでたくさんは働いていなかったけど、もっとお店に通いたいと思うぐらい、とても心地の良い場所だった。
自分には過剰なくらいの愛を、毎回毎回たっぷり頂いた。
勤務後に友達と飲みに行く約束があった時は、夜道が危ないからと、ふたりしてお店の前までわざわざ送りにきてくれた。
私がはじめて、アルバイトについてのメールを送った際、Sukkine では過去に一度もバイトを雇ったことがなくて、家族の中だけで回していたらしい。新しい試みみたいのも、そこまで好まれていなくて、家族だけで回っているところに、学生バイトはいかがなものかと、最初はそんな感じだったと教えてくれた。
「でも、はじめてミリョンと会ったときに、一目惚れしたのよ♡」
こんなことまで言ってくれた。
私だって、あなたたちに一目惚れしたんです!!!
帰国も半年後に迫っている中、バイトを始めるかどうか迷っていて、書類とかの手続きも面倒だったらやめようと、そんな半々の気持ちで面接に行った私は、初対面でも十分に感じすぎるぐらい、ふたりの暖かくて、とっても優しい人柄を感じ取って、一瞬で大好きになって、このふたりと一緒に過ごしたい!
そう思った。
これは今度渡す手紙で伝えようかな。
「ミリョンが辞めたあとの人員を探してるけど、ミリョンみたいにわたしたちとすごく合って、よく働いてくれる子は見つからないよ。」
こんな恥ずかしくて照れてしまうような言葉を、たくさん貰った。
夏の始まり、恋愛のことでとっても悩んでいた頃も、すっごく悲しくてネガティブになった頃も、Sukkine に行けばすべて吹き飛んだ。
楽しいときも悩んでいるときも、ここのご飯を食べたらとっても満たされた。
いろんな場所へ旅行しているときも、ふたりに見てほしくていつもメールで写真を送った。
ここで働く前は、特に旅行にいっても必ずお土産を買う訳ではなかったけど、働き始めてから、必ずお土産コーナーを見るとふたりの顔が思い浮かぶようになった。
お客さんにSukkineについて良いレビューを書いてもらえると、とても嬉しくなった。
ふたりにふと会いたくて、シフトがない時にもスイーツを持って遊びに行った。
海外に移住するなんて考えたことの無かった私が、仲睦まじいふたりの夫婦姿を見ていると、わたしもスウェーデンで好きな人と結婚して、移住して、なにか自分のビジネスを始めてみる人生もありかもな〜とか、嘘みたいで考えてもみなかったことを、ふんわりした理想として抱くようになった。
お客さんたちだって、本当に本当に優しかった。
スウェーデンでバイトしてる癖に、スウェーデン語は話せず、こちらから
Sorry, English please
とか。笑
たまに自分でコントみたいだなぁと思って笑いそうになりながら、でもやっぱりスウェーデン語を話せないことが申し訳なくなった。
でも、その分、すっごく接客を丁寧に頑張って、笑顔を大切にして、思いやりを忘れないようにした。
せっかく来てくれているお客さんに満足して帰ってもらえるように、精一杯接客した。最初はそもそも、英語での接客だって不安が仕方なくて、トラブルでも起こってしまったらどうしようとか心配になったりもしたけど、いまは英語で働くっていうことに対して、ほとんど抵抗がなくなった。
すべての瞬間が、本当に幸せだった。
溢れてしまうくらいの愛を、贅沢にもひとりでぜんぶ受け取って、どんどんここがホームになって、いつでも戻ってきたい場所になった。
誰と出会って、どう過ごすかによって、同じ国の中で留学していても、留学生活の捉え方、感じ方は全く異なると思う。
私にとっての留学生活は、特に後半は異国での刺激のある生活、というよりも、どちらかというとアットホームで安心できる、ほのぼのとした時間が多かった。
そんな暖かいホームになってくれたのは、間違いなくSukkine だった。
スウェーデンが“ホーム“と感じられるのは、きっとここの居場所があったから。