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海を眺めた日

バイトに明け暮れたGWのとある日、唯一1日だけあった空白の日を大好きな親友と過ごした。
家でゴロゴロしてホットケーキを焼いて、のんびり過ごしていたら、

「海見に行きたい」

とか突然言い出すんです。

(うみ!?もう15時になりそうだけど)
ここからだと2時間はかかる。
ほ??

いや、だめだ。

うん、その日の朝から彼女の様子はおかしくて、元気もないし、笑っていても中身がないし、おお、これは病んでいるぞという予感。
このまま海に行かなかったらもっとやばいぞ。
よく分からんがとりあえず海と言われたら海!行くぞ!!

って感じで晴れて江の島に行ったんですね~
(実はその日の前日の深夜も江の島行ってたんだけどね)

海に到着して、彼女の大好きなビールを買って(私はファンタ)、お菓子を買って、波打ち際の間近まで行って、Super Beaverを流しながらただただ海を眺めて。


特別に話を聞いたりはしなかった。
ただただ広い海を眺めて、透明な空気を吸って、それだけで全然違う世界に来た気がした。


そしたら、なんと不思議。

どんどんどんどん笑顔になっていく。
浜辺を回ってぐるぐるしている。

よく分からないけどなんか元気になってるぞ、これはよかった。


私は自分でいうのもあれだけど、困っている人がいたら放っておけないタイプだ。
悪い意味でお節介だし、悩んでいる感じがしたら深掘って聞こうとしてしまうことが多い。

でもなんだかこの日は、

何で悩んでいるのか全く理解できなくて、なんにも解決方法も思い浮かばないし、ろくなフィードバックもしてあげられないしで、
自分でも不思議なくらい心が読み取れなかった。

何て言ってあげたら正解なんだろう。

ほんとに、こんなにぽっかり穴が空いたような彼女を見たことがなくて、
なのにろくなアドバイスもできず、全然わかってあげられないのがもどかしくて、自分最低だと思った。

でも、海に着いて、先が見えないくらいどこまでも広がっている海を見て、
あぁ、無理に聞かなくてもいい。
こういう幸せな空間に一緒にいるだけで、楽しいなって思って、
普段通りになんにも気にせず接した。

結局夜まで江の島にいて、夜の海もちょこっと眺めて、
わたしたちのプチ旅は幕を閉じた。


何を悩んでいるのか完璧には分かってあげられなかったけど、
帰りの電車で彼女がエネルギーをはちゃめちゃに取り戻していることは一目見ただけでわかった。

いつも結構頻繁に連絡を取り合っているけど、
帰ってからも、
本当に元気が出た、
本当に良かったっていう
連絡がずーっときて、本当に心底海が楽しかったんだなって感じた。

相手の悩みが完璧に理解できなくても、なにか素晴らしい解決方法やフィードバックをしてあげられなくても、ただ隣にいること、一緒に美味しいもの食べて綺麗な景色を見て笑って時間を過ごすことが、その人にとってなにか力になれるんだってことを感じた。


なにかしてあげたわけじゃない。

ほんとに、申し訳ないくらい全然悩みを分かってあげられなくて、何て言ったら正解なのかとか全然分かんなかったけど、でも、笑顔を見たら、ほっとした。こちらこそありがとう。

海、本当にきれいだったね。
悩んだ時も、楽しい時も、また海に行きましょう。


(番外編)

この日の前の夜も江ノ島に行ったんです。

車で着いたのはもう深夜で、
誰もいなくて、

でも夜に眺める海は本当に綺麗で。

江ノ島のことよく知らなかったけど、本当に観光地らしく、階段はいつまでも続いてるし、お店もたくさんあるし(深夜だからぜんぶ閉まってるけど)
昼に来ても楽しそうだなって。

ゼーハーになりながら登り続けて、
江ノ島の果てまで来たとき、

信じられない気持ちになった。
こんなに未知みたいな空間があるのか。

うまく言葉で表せないけど、島のでっぱりの果てまできて、そこから海を眺めていたら、海の真ん中に浮いてる気分になった。
真っ暗で、誰もいなくて、波の音しかしなくて、星が真上に散りばめられていて、

あんな景色もう二度と見れないかもしれない。

でも本当に本当にあのとき幸せだったんだ。
心の中の思い出になった。

言うタイミング失っちゃったけど、心が満たされて、宝物みたいな時間だった。
ありがとう。



おわり。

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