改めて、今。『アルスラーン戦記』を語る。その3〜「ナルサス」編。荒川版アニメが「理想的」なキャラ造形だった〜
怒涛のようにアウトプット熱が高まっているので、アルスラーン戦記を語ってます。
さて、荒川版のコミック&アニメで「これこそ、最上キャラだよ!」て思った御仁がいます。
それが、、
ナルサス
アルスラーン戦記を彩る人物としてなくてはならない存在です。
軍師とながつく人は、アルスラーン物語の中でナルサスだけです。
>これぞナルサスだわー!って感嘆したのが荒川版アニメ
ナルサスはアルスラーン物語の中でも、とてつもなく人気が高いキャラです。かつてアニメ雑誌がこぞって「キャラ投票」を企画したら、いっつも1位を掻っ攫ってました。
主君であるアルスラーン差し置いて、いっつもトップ&ブッチぎりの人気。
そんなナルサスは、神村キャラデザ版でも、圧倒的な「知恵者美男子ぶり」を発揮しておりまして、、
何これ、、綺麗すぎなんですけど!
という具合に耽美を感じさせる男に仕上がってます。
声をあてた方も
「塩沢兼人」
さん・・・という最強の美男子声がついてしまったので、、
特に女性ファンの間では圧倒的にナルサス人気が高いです。
(カセット文庫では大塚芳忠さんですが)
ただ、、
ダリューンの時と同じように、神村幸子&浜津守バージョンの映像化では、ナルサスはあんまりイキイキしてません。
結論から断じれば・・
単にカッコいいだけを演出している男。
でしかない。
だから肝心の「策士」「軍略家」としてのナルサスの魅力は全くと言っていいほど出てませんでした。
しかし!
これもダリューンと同じく荒川版では、非常に「これぞナルサスよ!」と思える「動き」をしてくれていて、ナルサスも良き御仁だな!と思える私としては堪能できました。
ナルサスはね、、
ちょっと「意地悪い」感がないといけないでしょ、って思えるキャラなんです。私にとっては。
決して、清廉潔白ではない。
人を陥れていきますからね。
はっきり言って「いい人」タイプじゃないのです。知恵者という人たちは。
ある意味「ゲーマー」だとも思ってる。
戦も「ゲーム感覚」ってイメージでやってる感ありありです。
これも「オス」としての潜在感覚でして。争ったり陥れたり、俺の方が強いと見せたり・・・
軍師できる人って、こざかしいし、賢いけど胡散臭いし、なんか裏はあるんだよね、って思わせられてしまうし、わがままでまた別の意味の「強欲さ」みたいなものがあるように思えてならないのですよね。
その意味でナルサスは「貴族」であり「お坊ちゃん」であり、麗しく、彼もいわゆる美男子です。
でもとにかく頭はよく回るし、賢さがずば抜け、本質を見抜きまくるので、本当に「人を食った」雰囲気は纏っているし、人も世の中もどっか「ナナメ」に見ています。
単なる優等生ではないし、ある種の発達障害的な素質さえ持っているはずなんですよ、こういうタイプは。
でもナルサスは・・・闇には落ちませんでした。捻くれているけど「素直さ」と「純粋さ」は純粋培養されており、「奴隷制度って実はあんまり益ないんじゃね?」ってことをはじめとして、世を根底からひっくり返すあらゆる考え・・というか「哲学」を持ってます。
そう、ナルサスはナルサスとしての哲学を彼の中で持っている人なので、、
やっぱり「クセのある」「クセの多い」御仁です。
でもね。
そこが荒川版のナルサスは「浪川大輔」さんの動きのある声と相まって、実に人間味のあるナルサスとしての表現ができていて。
私の中では「ああ、これがナルサスなんだよね。実にナルサスらしいのよね!」って感じで「完璧」です。
「あの人、頭めっちゃいいけどねー。すごい変人なのよね〜。とはいえ貴族で気品もあって育ちもよくて、、、わりに優しいから憎めないのよね〜」
・・・これがナルサスなんじゃないかしら、、って勝手に思ってます。
ナルサスの優しさが垣間見えるのは「アルフリード」とのシーンにあるかもしれません。
荒川版のアニメでは、ナルサスは非常に優しいです。
本質的な優しさです。
アルフリードが父をヒルメスに殺され、そこをナルサスが偶然に助けていくんですけど、、
アルフリードは父を仲間を失った悲しみをちゃんと表に出します、
「泣いてちゃいけないよね」
と言いながらも、涙を噛み締める。
そんなアルフリードにナルサスは、そばに座って話を聞いてあげるだけに徹します。
でもこれがすごい「モテ」行動なんですよね。。
とにかくそばにいて、話を聞いてあげる・・・。なんとも素晴らしいカウンセラーのような手法です。
アルフリードも惚れますわ。
そして24話の聖マヌエル城攻略戦においても、、
アルフリードを気かけていますし。。
アルフリードが屋根裏から出てきて、食糧庫に落ちてくるんですが、それを見たナルサスが
「よかった」
って万感の思いを込めて伝えます。
アルフリードはかおを真っ赤にするんだけど、、、
あれもああなるよね、って感じです。
優しいんだよ。ナルサスは!
>ナルサスの絵は”マインドフルネス”の象徴
ナルサスについての「弱点」と「愛嬌」は「絵」です。
これは原作者の田中芳樹先生も、近年youtubeでナルサスの弱点をどう決めていったか・・などをご自身から赤裸々に話してくれているので、見られるのをお勧めします。
すごく貴重な映像だと思いますよ!
なのになぜ再生回数が伸びてないのよーーー!!
小説で魅力的なキャラクターを造形したい人は必見ですよ。
ナルサスの絵については、荒川版ではコミックでもアニメでも「露骨」に(笑)描かれています。
まず、アルスラーンがメンタル上気を失います(笑。
ジャスワントが凍り付きますw。
ナルサスの「愛嬌」が見られる「ナルサスの絵」。巷ではこんなセル画もあるようですね。
ダリューンがすごい怒ってるw。多分殿下の肖像画がひどいので、忠告しているのでしょう。
アニメ放映時にグッズとして作られたクリアファイルらしいです。
ともかく、ナルサスの絵は「ひどい」んですよ。
絵になってないのでしょうね。
とはいえ「絵」にこだわるナルサス。
軍師&戦略家としての能力を使っていると・・きっと疲れるのでしょう。
ストレスフルな仕事なのです。
ヤン・ウェンリーと一緒です。ヤンほど表現はされてないけど、ナルサスだって「勝利は彼をいつも疲れさせる」のかもしれません。
でも「絵」は下手でも、何も考えず純粋に体を動かすことだけに集中できるから「心地よい」のでしょう。
例えば個性的な役を演じることで定評のある俳優の高橋一生さんは、料理が好きらしいんですが、
「料理しているときは、何も考えなくてこれだけに集中してられるからとても心地よくなる(気が楽になる)」
みたいなことをインタビューで語ってた記憶があります。
ナルサスも同じなのかも。
その意味で、ナルサスの絵は「マインドフルネス」ともいえますね。
だから「絵」にこだわり、そこを見抜いたアルスラーンもすごい才能の持ち主。
宮廷画家の地位を授ける!と断言したアルスラーンの機転に降参したナルサスですが、そうやって「本質を見抜く」点が二人とも似ていることもあり、「わ。自分のことマジわかってくれる人いたー!」って感激しちゃって、ナルサスも一緒にいこう!と決めたのでしょう。
>とにかくナルサスも「動の人」として描かれるので、見ていて小気味よい
原作のイメージでも私にとっては「ナルサスは動く人」でした。
コロコロ動いて、作戦立てて、実践していく。
自分でもいざというときは剣を抜いて戦う・・・そんな「戦う人」です。
怒る時は怒るし、笑う時は笑うし、悲しい時は悲しみを表情に出す普通の人間。
コミック20巻でボダンを仕留めようとするナルサスのこの顔はもう怖い。こういう人怒らせたらダリューン以上に容赦ないのでしょうね。
軽快でやんちゃさも溢れる「動の人」ナルサス。
一番好きではないけど、今でも「気になるお兄ちゃん」です。
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