朝に生まれて、夜に死ぬ
毎日、珈琲を淹れる
ミルで挽いた豆を盛ったドリッパーに
沸き立ての湯を少しづつ注ぐ
全ての湯が吸い込まれる
粉に浮かんだ細かい泡が
生まれたての雲母のように
きらきらと、光る
都合3回の入院と手術を繰り返し
退院して帰ってきた日
まるで針金に紙粘土で肉付けしたように
すっかり痩せ細った身体を見て
僕も必ず死ぬ生き物なのだと
そうはっきりと自覚した
「そう遠くない未来に」
2月生まれで
この間、53歳になった
僕は100年も生きたくないし
朝に、生まれて
夜に、死にたい だけ
だから、心のこりがないように
今日の珈琲もゆっくりと
時間をかけて、淹れているのだ
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