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『響け!ユーフォニアム3』 第九回 ちぐはぐチューニング 視聴者ノート #ユーフォ3期

原作未読勢です。今回はそれぞれのキャラクターが全国金賞や部活に持っている理想・現実・想いがズレまくった「ちぐはぐチューニング」で幹部が崩壊寸前のところまで進んでしましました。

問題解決は次回以降になりそうなので、ひとまず幹部を筆頭に主要キャラクターについて整理して自分の感想も貼り付けておこうと思います。

黄前久美子

麗奈から「部長失格」の烙印を押されてしまった久美子ですが、その後のカットには多くの希望が描かれていると感じました。

ついに腕時計の針が描かれる

本noteでしつこく書いてきた時計の針が描かれない問題に進展が!ついに描かれました!「部長失格」の烙印を押された事で自分の本音に向き合って時間を進める事ができるようになったのでしょう。

飼い犬の脱走

1話の冒頭でも犬が出てきますが、脱走した犬が信号を渡っている = 久美子は「部長として飼い慣らされた犬」状態から解き放たれたという事でしょうか。

結果論ですが麗奈の「部長失格」は久美子を解放したのかもしれません。

父や母でなく、お姉ちゃん

自分に嘘をついて大学進学していたけれど色々あって、本当に好きな美容師という道を見つけられたお姉さん。実力主義で全国金賞と建前を言ってきた久美子にとって人生の道標といったところでしょうか。血は争えないですね(笑)

2と3の間に立たされる黄前久美子

このカットは麗奈の自転車を探しているんですが、続いて久美子が何か自分を奮い立たせてやってみようと決意しているようなカットが挟まれます。2と3の間 = 2学年と3学年の間だとすれば、部長就任のタイミングからリセットしているように感じました。


今回繰り返し出てきた何かを受け取る手のモチーフ

最後のカットは滝先生から鍵を受け取らずに質問をしました。幹部や部員がすれ違った原因である滝先生のコンクールメンバー選定について、真意や目的を聞き出し両手で丁寧に受け取ろうという意図でしょうか。

希望に満ち溢れた黄前久美子に関しては心配ないなと思います。とはいえ全国金賞 = 実力主義を否定する訳ではなさそうなので、久美子自身がどこかで「上手くなりたい」を発動させて全国大会のソリを獲る必要はありますね。

高坂麗奈

麗奈は「滝先生の神格化、実力主義で全国金賞」と「久美子とソリを吹きたい」という2つの目標があります。8話のオーディションの結果により「久美子とソリ」が関西大会では叶わなくなってしまいました。

こちらを立てればあちらが立たずとデッドロック、認知的不協和に陥っており、その不満を原因の一旦である久美子に「部長失格」とぶつけてしまいました。麗奈には一旦宇治川に入水して落ち着いて欲しいと思います。

「神格化」はやはり客観的な状態ではなく盲目ですよね。「Like じゃなくて Love」と前に滝先生について言っていたと思いますが、私からすれば 彼女の今の状態は「Like」 恋は盲目に陥っているのが一番まずいと思います。

部員全体に不安や不満が貯まれば関西大会ですら突破するのは難しくなるでしょう。滝先生の意図や目的を確認する事や選択に疑問をつ事、マネージメント力や言語化能力が低い、彼に弱みもある事を認めるのも愛なんじゃないかと自分は思います。

滝先生へ本当の愛、更には意見の異なる部員への愛を見つけられたら「全国金賞」や「全国で久美子とソリ」という筋だってまだまだ残っています。まずは関西大会金賞に向けて、どうやって人を愛するのか?が課題でしょう。

塚本秀一

以前から「同じ実力なら長くやっている方を選んで欲しい」といっていた秀一。ソリに黒江が選ばれてしまい不機嫌になっています。仮に今の久美子が黒江と同じ実力ではなく下手だったとしたら?塚本くんも恋する久美子の実力を客観的に見る事ができなくなっているようです。

黒江真由のほうがオーディションは上手かったんだと思いますが、久美子は部長もやりながら演奏技術を高めるのはハードル高いですよね。

では塚本はどうしたら良いのかと考えると、いまいち何をしているか分からない副部長ではなく久美子の代わりに部長として人前に立つ覚悟を持って、久美子のうちに秘めたユーフォが好きだったり「上手くなりたい」という本音を助けてやる事なんじゃないでしょうか。部長をやるのは荷が重いとしても久美子の部長業務をサポートしてあげられるのはお前だぞと言いたい。

黒江真由

前回黒江の事は集中してとりあげましたが、「ソリ変わろうか」の病は治らず・・・。呆れてきました。

つばめ「これから これから」

実力勝負の結果、部内に不穏な空気が流れ久美子からも遠ざけられてしまい、黒江も萎えてる感じでしたが、つばめちゃんが線香花火に誘ってくれて「これから」と希望を見せてくれています。

落ち着いて考えれば、関西大会を突破しなければ「北宇治高校吹奏楽部の全国金賞」も「久美子と麗奈のソリ」も実現しない訳ですから黒江が本気を出す事でみんなが「黒江さんにソリを吹いてもらってよかった!」となる可能性は十分にあります。つばめちゃんは先を見据えていますね・・・。

滝先生

滝は敢えての説明不足で生徒の力を限界まで引き出したいと考えていて、言われたらやるじゃなく自ら行動する主体的な生徒をつくりたいんでしょうね。実際に1回目のオーディションで波乱があった"すずめ"と"さっちゃん"は仲良く合宿所でご飯を食べたり早朝練習をしたりと効果が出たことになっている。

滝先生は説明しなさすぎだけど、色々と検討した結果ユーフォ2名に絞り空いた枠を他のパートに割り振る。そして、久美子の「上手くなりたい」を引き出して全国金賞に手を掛けたいんだろうと予想します。1年次の圧倒的な成長も見てるしね。

感想

この物語の感想を書くのは早急な気もしますが、毎週noteを書いているダイナミクな気持ちを書き記しておく事に価値もあろうかと今思っている事を書いきます。

個人的にユーフォ3期の一番のポイントだった"山田尚子シリーズ演出"が抜けた影響が出ている印象を持ちました。何かというと各キャラクターへの優しさや手心というのが薄れている事です。特に黒江真由は舞台装置としての機能性と論理的には理解させない事を目標に描かれているような印象でキャラクターとして整合性(= 人が頭で考えて理解してあげられる優しさ)を余り感じません。

原作未読ならが武田綾乃先生が本来持ってるだろう現実から濃縮した「負のパワー」みたいな感情が包み隠されず、むしろクリエーター陣によって論理的に限界まで描いてみようと出力されている印象を持ちました。(明確な根拠はなくてすまんです)

改めて自分は山田尚子監督作品の「キャラクターへの優しい眼差し」が好きだったんだなという事が気がつきました。もちろん私の現実社会の認識は性悪説的黒江みたいな人は沢山いると思っています。行動原理がハッキリして論理的に考えられる人の方が圧倒的に少ない認識です。自分も少なからずマネージメント経験があるので断言したいと思います。

なのでリアリティで言えばユーフォ3期の黒江真由よりなんです、だからこそ架空のアニメーションで希望やキャラクターへの優しさ、論理的に理解できる人間を描いて欲しいと思っていたという事が発覚しましたね。

例えばユーフォ3期よりもアニメ「平家物語」の方が人々への眼差しに優しさを感じませんか?実際は人が大量に亡くなる平家物語のほうが絶望的で苦しいはずなのに・・・。

引用

「響け!ユーフォニアム3」 より引用させて頂きました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

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