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「経営戦略が変化していく波の中で主体的に意思決定できるおもしろさ」――コーポレート部門座談
ミラティブはスマホ1台でゲーム配信ができるプラットフォーム「Mirrativ」のサービスを提供し、2018年に創業して以来、成長を続けてきました。2024年10月にはM&Aを実施し、子会社を保有したことで、事業部門だけでなく、コーポレート部門にも体制の整備や変革が求められています。今回は取締役CFOの須山敏彦と、経営管理部長の藤井希世、経営企画部の髙野栄治郎が、ミラティブのコーポレート部門における現状や魅力、課題、求める人材などについて座談しました。
取締役CFO 須山 敏彦
東京大学経済学部卒業後、ローランド・ベルガー・DeNAを経て起業。その後複数のスタートアップ取締役(コーポレート管掌取締役だった株式会社サイトビジットはfreee株式会社にM&A)を経て、2021年ミラティブに参画。取締役CFOとして、コーポレート機能を幅広く管掌。
経営管理部部長 藤井 希世
海外で会計を学びUSCPAを取得。会計業務委託として、外資系や日系上場企業のマネージャーを担当。2019年5月にミラティブへ参画し、経営管理部長を勤める。プライベートでは双子のママ。
経営企画部部長 髙野 栄治郎
新卒でSMBC日興証券株式会社に入社。公開引受部にてIPOを目指す企業に対する上場準備コンサル業務に従事し、複数企業の上場を実現。2022年10月ミラティブに参画し、経営企画部部長を務める。猫が好き。
スタートアップが取り組むM&Aという新たな挑戦
ミラティブにおけるこれまでの事業拡大のストーリーをお聞かせください。
須山:「Mirrativ」は、2015年に株式会社ディー・エヌ・エーにおいて、現ミラティブ代表の赤川隼一が新規事業としてスタートさせたサービスです。2018年2月にはMBOを行い、株式会社ミラティブが創業されました。
その後いくつかの新規事業の展開はあったものの、基本的には「Mirrativ」というサービス1本でここまで成長してきています。同サービスは創業当初はシンプルなゲーム配信機能を強みとしていましたが、やがてバーチャル配信ができるアバター機能「エモモ」や、ライブ配信とゲームを融合した「ライブゲーム」などの提供を開始し、配信者にとってのコミュニティ要素の強い唯一無二のサービスとして成長してきたのも特徴です。
2024年10月、ミラティブはM&Aを行いました。それ以降もM&Aがソーシングから実行まで続いています。現在はMirrativで培ったアセットを新規事業に生かしていくように動いており、今後も積極的にM&Aを行っていきたいと考えています。
その変化に対し、コーポレート部門は対応していますか。
須山:ミラティブは創業期よりVC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けていることもあり、IPOをひとつのマイルストーンとしてコーポレート部門の組織拡大を目指してきました。今回は、内部管理体制の整備がひと段落したタイミングでM&Aを行った形となるため、まさにこれから連結やグループ化に対応できる体制を強化していきたいと考えています。
また、現在のマーケットにおいては、M&Aなどを実施しながら幅広く事業成長していく経営力の高さが求められると思っています。したがって、今後は現メンバーを中心として、より積極的にコーポレート組織を強化していくことを方針として掲げています。
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現在のコーポレート部門について教えてください。
藤井:コーポレート部門は人事等を担うHRBP部の他に、経営管理部、経営企画部に分かれています。私が責任者を務める経営管理部は、労務や財務、経理、法務、情報システムなど一般的な経営管理のオペレーションを担う部署で、各専門性に特化した10名のメンバーが活躍しています。現在は私を中心として、子会社の内部管理体制の構築に尽力しているところです。
髙野:経営企画部は市場分析や動向分析に加え、取締役会や株主総会等の重要会議体運営や事業計画の策定、予実管理、株主対策など攻め寄りの業務を中心としながら、IPO審査対応など守りの業務も担っています。
今後求められるのはグループ経営管理のキャパシティやケイパビリティ
どのような課題があるのでしょうか。
須山:今後は買収した会社を含む「ミラティブグループ」となることから、コーポレート部門全体でこれまでと異なる視点が求められます。グループ経営を管理するキャパシティやケイパビリティを得るため、より構造的にチーム作りを考えていく必要がありそうです。また、先々を見据えるなら、グローバル市場への進出に向けたケイパビリティも確保しておきたいところですね。
髙野:上場後のことを見据えると、コーポレート部門全体においてマンパワーが足りていないという点が大きな課題です。現状においてもM&Aによってグループ会社が増えていく分、ゼロから作り上げなければならないところに対応する人材を求めています。
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今後はグループ経営へと移行していく点も踏まえて、コーポレートという立場だからこそ味わえるおもしろさや得られる経験を教えてください。
須山:おもしろさというのは、大きな変化が起こるときに主体的に考えることで感じられるものだと思います。IPOや事業の複数化など、経営戦略が進化していく大きな変化の波を迎えるミラティブは、まさにそういったおもしろさがあふれています。とはいえすべてが混沌としているわけではなく、確立されたセオリーもあるので、変化を楽しみながら腕を試すには最適な環境だと思います。
髙野:コーポレート部門のメンバーはふだんから経営層と密に連携することが多く、M&AやIPOなどの重要なコーポレートアクションにおける会社全体の重要な意思決定に深く関わることができます。また、ダイナミックな変革の中で多様な業務に関与できるのも、この仕事ならではのおもしろさです。
藤井:組織拡大に伴って、未経験の業務でもやる気があればチャレンジできるのが魅力です。例えば、経理担当者は今後、連結決算に携わることができます。本来であれば大企業の中でしか得られないチャンスなので、未経験で連結決算に挑戦できることはなかなかありません。また、労務担当として子会社の管理について考えたり、法務担当としてM&A関連業務に携わったりすることも可能ですから、どのポジションでも豊かな経験が積めると思います。
業務に取り組む上での難しさはどういったところにありますか。
須山:先ほどの話の裏返しとなりますが、変革期だからこそ、これまでのフローの延長線上にはない難題が次々と降りかかってくるでしょう。グループ経営に取り組んでいく上では、これから負の遺産も出てくるはずですから、それを乗り越えていく覚悟もしなければなりません。
過酷さを強調してしまいましたが、ライフステージの変化に応じて従業員を支援する新たな福利厚生制度「MiLife(ミライフ)」を導入したこともあり、働きやすい環境は整っています。働きやすさを担保しながら、変革期を通じて自分を成長させる環境だと捉えてもらえたら嬉しいです。
髙野:優先課題が日々変わっていく中で、何から対応していくべきかという判断を迫られるのが業務上で感じる難しいところです。今後チャレンジすることが増えれば増えるほど、その判断の難易度は一層高まっていくと思っています。
藤井:スピード感が優先されつつも、質も求められる点が難しいです。大企業では比較的長い期間をかけて行われる連結決算体制構築も、当社では短期間で、しかも少人数で精度の高いものを作り上げる必要があります。また、コーポレート人材が一般的に苦手だと言われるゼロから物事を作り上げる機会も多いことから、そこに難しさを感じる方もいるかもしれません。
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「1粒で2度おいしい」豊かでユニークな経験がもたらす成長機会
ミラティブのコーポレート部門では、どのようなスキルを得られますか。
須山:いかにユニークな経験ができるかが、スキルの押し上げや視座、胆力の獲得につながります。その観点で、圧倒的な経験値を積めるのが現在のミラティブです。
ミラティブはレイターステージに位置づけられるように、創業期のスタートアップと比較すると、得られる経験値に大きな差があると言えるでしょう。また、IPO準備と並行してM&Aやグループ経営を行っているということは、非常にユニークなポイントです。一般的な企業ではこれらを同時並行で進行することは珍しいですから、いわば「1粒で2度おいしい」経験ができます。
髙野:須山さんの言うように、さまざまなコーポレートアクションを経験し、関与していくことで、全社的な視点が培われると思います。また、重要度の高い複数プロジェクトを同時並行することで、スケジュール管理や調整の能力も磨かれていくはずです。
藤井:公認会計士のメンバーや顧問弁護士など、プロフェッショナルな人材との関わりが多いことから、専門的な知識をどんどん吸収し、成長していけます。また、経営層とも近しいことから、メンタルや論理的思考力が鍛えられることも、スキルアップにつながります。
コーポレート部門におけるチームの雰囲気やカルチャーを教えてください。
藤井:縦割りではないフラットな組織で、お互い意見が言いやすい環境です。その中で良い意見はすぐに採用されますし、オンライン・オフライン問わず気軽に雑談ができる雰囲気があります。
髙野:働き方については、リモートワークを中心としながら週1回の出社日を設定しています。直接顔を合わせる機会があることで横のつながりが深まり、何でも話しやすい空気感が醸成されている気がしますね。
須山:30〜40代が中心のチームで、子どもがいるメンバーも多いのが特徴です。そのため、フレックスタイムなど制度面の配慮があるだけでなく、メンバー同士の理解もある、働きやすい環境だと感じています。私自身も子育てをしていて、子どもが風邪をひいたときは、遠慮なく安心して休むことができています。
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そのほかに、コーポレート部門内で行われている活動や取り組みはありますか。
須山:業務に関連する本を読み合い、その内容についてゆるやかに議論する勉強会を2年ほど続けています。部門内には職種が異なるメンバーが集まっているので、目線や考え方にどうしてもズレが生じてしまうと感じたことが、勉強会を始めたきっかけです。
扱うテーマや書籍は「スキル」と「マインド」、「他社事例」というジャンルから、バランスよく選んでいます。M&Aのフローやコーポレートガバナンス、ダイバーシティについてまとめられた書籍や、第三者委員会の報告書などがその一例です。この勉強会を通して、業務を通じて伸ばす専門性だけでなく、包括的なスキルを高めていくことができていると思います。
より強いコーポレート部門をつくるために求める人材とは
求める人物像を教えてください。
藤井:経営管理部としては、経理や労務、法務などのプロフェッショナル人材であることを前提として、向上心やチャレンジ精神のある方に来ていただきたいです。難しい課題に向き合うフェーズだからこそ、「最終的には何とかなる!」とポジティブに考えられる方が向いていると思います。
髙野:経営企画部では幅広く、複雑性の高い物事を取り扱います。それらを解決していくための素地として、さまざまなステークホルダーと折衝できるコミュニケーション力と、ミラティブのビジョンやプロダクトへの共感があってほしいです。また、不確定要素が大きいため、柔軟な対応力も求められます。
須山:グループ会社のマネジメントを行ううえで、経理や法務といった足元を強化する必要があることから、これらのスキルを持つ方に来ていただきたいです。とはいえ、過去の経験があるだけでは変化の激しい環境に適応できません。アンラーンできる方や、課題を自ら構造的に考えて解決まで導ける方に来ていただけると心強いです。
もちろん、私たちはサポートを惜しみません。先ほど話した条件をすべて満たしていなくても、困難な状況を積極的に楽しめる方に来ていただければ、共に歩んでいけると思います。
過去にどんな経験があるとチームにフィットしやすいでしょうか。
須山:何らかの努力を継続している人でしょうか。異業界の大企業からミラティブへ転職してきたコーポレート部門のあるメンバーは、転職以前からAIやディープラーニングなどに対して個人的に学習を続けてきたと話していました。これはほんの一例ですが、与えられた業務以外の分野に対して興味を持ち、継続して学ぶ姿勢がある人だと、チームにフィットしやすいような気がします。
最後に、ミラティブのコーポレート部門に興味がある方へ向けてメッセージをお願いします。
須山:現在、ミラティブは単体で黒字化しており、そこに新たなチャレンジも始まるという、まさに一番おもしろいフェーズです。環境がここまで充実し、かつ人が足りていないという会社は、他ではなかなか見つけられないのではないでしょうか。今回の記事の内容に共感し、チャレンジを共に楽しみたいと感じた方のご応募をお待ちしています。