長崎の名月
9月は台風シーズン。油断なく、ぬかりなく、いま一度、避難所や防災グッズの確認をしておきたいものです。
先週の台風一過。澄んだ空気の中、雲の表情も次第に秋めいてきましたね。その週末には旧暦8月15日(十五夜)を迎え、中秋の名月を愛でた方も多いのではないでしょうか。この日、関東地方の夜空は晴天に恵まれたようですが、九州・長崎は、雲の多い夜空となりました。それでも雲の切れ間から、ときおり満月が顔をのぞかせ、日をまたいでからは雲の少ない時間帯もあり、十分に満月を眺めることができました。しかも今年は、月に薄雲がかかった状態が多かったことで、光が反射して起きる月光環(月の周りに虹のような輪が見られる現象)も見られました。
『名月をとってくれろと泣く子かな』小林一茶の有名な句ですね。月は、古来から日本人にとって神聖かつ親しみのある存在です。いにしえの人々は、月を詠んだ歌や句をたくさん残しています。江戸時代、中秋の月見は秋の訪れを告げる大切な行事で、宮中はもちろん、武家も庶民の家でも、縁側にススキやハギなどを飾り、秋の収穫物や団子を供えてお月見をしたそうです。宇宙飛行士が月に降り立つ現代にあっても、地球に潮の満ち引きをもたらす月には、人々の心をとらえて離さない不思議な魅力があります。見上げた月の美しさに、思わず手を合わせたり、願い事をしたりしてしまうのは、いまも昔も変わらないのかもしれません。
『彦山の上から出る月はよか こげん月は えつとなかばい』。長崎で、よく知られているこの歌は、江戸時代の狂歌師・蜀山人(しょくさんじん)こと太田南畝(直次郎)によるものと伝えられています。文化元年(1804)9月、長崎奉行所勘定役として江戸から長崎に来て、1年余り滞在しました。歌碑は、彦山からのぼる月がよく見える諏訪神社(諏訪神社斉館「諏訪荘」の前)に建立されています。
諏訪神社には、もうひとつ名月を詠んだ句碑があります。『尊さを京でかたるも諏訪の月』。 長崎ゆかりの俳人、向井去来の句です。蕉門十哲の一人として知られる去来は、長崎生まれ(生誕地は、長崎市興善町の長崎市立図書館あたり)。8歳のとき、両親とともに京都へ移りました。去来は、松尾芭蕉の門弟になってからも、母方の親戚がいる長崎に、たびたび帰郷しています。この句から、長崎が懐かしくてたまらない、そんな心情が伝わってきます。句碑は、諏訪神社の参道の一角にある祓戸神社のそばにあります。
さて、長崎でお月見の時期の定番行事といえば、長崎新地中華街を中心に行われている中国の伝統的な祭り「中秋節」です。今年は、9/9〜9/25まで。今年は、龍踊りや中国獅子舞などの催しはないものの、月に見立てた黄色い提灯がたくさん飾られています。虫の声が涼やかに響く秋の夜、黄色い提灯を見上げながら歩けば、心もまあるく、明るくなるよう。ぜひ、お出かけください。
株式会社みろく屋
みろくやは長崎のソウルフードであるちゃんぽん・皿うどんを代表商品として、長崎の「おいしい」を全国に向けて発信している企業です。
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