投資の正解が知りたければ、『JUST KEEP BUYING』を読んでみよう!
お金本の超ロングセラー『金持ち父さん貧乏父さん』や『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』に続く書、それが『JUST KEEP BUYING』です。
著者は全米屈指のデータサイエンティストで、パーソナルファイナンスの人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆するニック・マジューリ氏。彼はパーソナルファイナンスの常識を覆し、データをもとに新たな視点を提示しています。
「所得に対して一律に『何パーセント貯蓄するべき』というアドバイスがなぜ間違いなのか」「節約よりも収入を増やす重要性」「収入が増えた際、どこまで生活レベルを上げるべきか」など、読者が気になるテーマに明快な答えを出しており、賢い人生設計を考える方には必読の一冊です。
タイトルの『JUST KEEP BUYING』は、つまりコツコツ買い進めるドルコスト平均法を指していますが、なぜこれが投資の正解なのか、個別株を避けるべき理由についても詳しく解説されています。投資手法自体に目新しさはないものの、これまでの常識を覆す新しい考え方を提示する本書は、一読の価値があります。
ここでいくつか注目すべき主張を紹介します。
まず、「所得に対して一律に『何パーセント貯蓄するべき』というアドバイスがなぜ間違いか」の部分。要するに、所得が低い場合はまず収入を増やすことが重要ということです。
個人の貯蓄率を最も左右するのは所得水準であることは、複数の研究で実証されています。例えば、連邦準備制度理事会(FRB)と全米経済研究所(NBER)の研究では、下位20%の所得者は収入の1%を貯金し、上位20%の所得者は24%を貯金していることが示されています。さらに、上位5%の所得者は35%、上位1%の所得者は50%を貯金しています。
また、収入が増えた際に「どれくらいまで使っていいのか」についても言及しています。贅沢を楽しむ際は、必ずその金額と同額を投資することが推奨されており、ほとんどの人に当てはまる答えとして「約50%」が妥当だと示されています。
さらに、「賃貸派」対「持ち家派」の議論にも新しい視点を提供しています。短期的には持ち家派の方がリスクが高いとしながらも、長期的には賃貸派の住宅費リスクが増大する可能性があると述べています。
400ページを超える大著ながら、その内容の面白さから一気に読了できることでしょう。そして、金銭的成功を収めた後、「お金をどう使うべきか」に関する考え方も記されています。お金持ちになること自体がゴールではなく、得た資産をどう社会に還元するか、その選択が重要だと説かれています。