理想の夫婦像
NHKの『ドキュメント72hours』という番組がある。
一つの場所にカメラを仕掛けて、その場所を訪れた人間を72時間定点観測する番組だ。
その番組で理想の夫婦像をみつけた。
北海道にあるコンビニを舞台にした回だ。
お葬式の参列かなにかの用があって、遠くから車で来た90歳くらいのおじいちゃん。
助手席には奥様の遺影。
しかも、遺影にはカーディガンが着せられていた。
スタッフさんに指摘されると、「寒いと思って」と答えた。
まるで、小さな子どもがぬいぐるみの世話をするように、
オタクが推しの写真を大事にするように、
物体を「その人」として大事にする行為って尊いと思う。
急に愛している人がいなくなったからと言って、急に愛が消えるわけではない。
いなくなったからって全てが0になるわけじゃなくて、地続きに愛を注いでいる。
常々、わたしは夫に「わたしより長生きしてほしい」と言っている。
夫は多趣味で、性格的にもわたしがいなくても楽しくやっていけるだろう。
(多少は寂しさを感じてくれるかもしれないけど。)
一方、わたしは、無理だと思う。
誰とも話さず、食べものにも気を使わず、身なりにも気を使わず。
だから、夫にはわたしより長く生きてほしいと思っていたけれど、
自分が先に死んで、その後の理想の夫婦像はこれだと思った。
夫が遠出するときには助手席に乗せてもらって。
「今日は寒いね。」とか「夕日がきれいだね。」とは話しかけてもらいたい。そういうのが理想。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?