そのお出掛けを旅と呼ぶ~群馬県館林市~
Threadsでとあるスレッドが目に付いた。
群馬県立館林美術館で行われている、写真家・佐藤健寿さんの展示を見てきたというものだった。
佐藤健寿さんを有名にしたのは、TBS「クレイジージャーニー」だろうか。
私もその番組で彼を知った。
佐藤健寿さんは、日本も含む世界の廃墟や奇習を撮影している。
迫力があり見入ってしまうが、目を逸らしたくなるものもある。
番組が終わり、しばらく佐藤健寿さんのことは忘れてたが、そのツイートを見た時、クレイジージャーニーで見た写真を思い出し、素直に「佐藤さんの写真が見たい」と思った。
群馬県館林市、私の実家からだとより近く、子供の頃は市民プール連れてってもらったり、買い物や外食で出かけたりと、馴染みのある場所である。
調べたら、ちょっとした観光ができそうだ。
旅にしよう。
車で行くにしても、暑いので、予定ギチギチにはしたくない。
おひるごはん食べて、そこから動けばいいかとのんびり出発。
国道122号線を走り、館林市に入ると「茂林寺」の案内看板が目に付いた。
茂林寺は分福茶釜のお寺として有名。1回行ったことあるけど、せっかくなので案内看板に従いながら向かってみる。
ささやかな参道を歩き、門をくぐると、現れるのはたぬき。
たぬき詣でしたところで、ランチに決めてたお店に向かう。
館林と言えばうどん。
桐生・ひもかわうどん、渋川・水沢うどんと並ぶ、群馬三大うどんの地である。
ランチでうどんも考えたのだが、好きなうどんはと聞かれたら館林うどんと答えるぐらいに館林うどんの美味しさは知ってるので、あえての外し。
(あと、群馬には「おきりこみ」という、きしめんのような麺を野菜などと煮込みにした家庭料理があります。母の実家が群馬の下仁田地方で、祖母がよく作ってくれました。おいしかったなー。)
館林市役所の敷地内にあるレストランに行ってみる。
城町食堂。
メニューを絞ってるからか、昼時でもさほど混んでおらず、座敷席やカウンター席もあり、お子さん連れの方や市役所の職員さんが気軽に利用してる模様。
早速、オムハヤシ……にカツ乗せたやつ注文!
ついでに入口の冷蔵庫に並んでた固そうなプリン注文!
オムカツハヤシ食べて、プリンとコーヒー届くまでの間、ちょっと暑くて扇子でパタパタしてたら、店員さんが「暑いですか?カウンター席あまり冷房効かなくて…」って声掛けてくれたけど、いえいえ、このぐらいの暑さは大丈夫よ、それに外の素敵な景色見れるしね。
綺麗な景色見ながら、オムカツハヤシと固いプリン食べてすっかり満足。予定では市役所で観光パンフもらって行き先見つけるつもりだったけど、もう行っちゃおう、群馬県立館林美術館。
ナビ設定したけど、街中にも看板出てるから迷わず着きそうだな……
と、だんだん緑の中に吸い込まれていく。
公園らしきもの、グラウンドらしきもの……まあでも美術館だから、こんなところにあってもおかしくないね、むしろいい感じじゃん!
しかし、行き止まりになり、ナビも「目的地付近に到着しました」と言う。右手には美術館の駐車場はある。左手にはのどかな景色が広がる。不安。
正面側に「美術館↑」と看板は出てるけど、何も見えない。不安。
まずは駐車しよう。
ちょうど女性2人組が歩いてたので、その後をついてったら、なにか見えた。
緑に隠れるように館林美術館はあった。
美しい。
と、見とれてる場合ではない。
暑いからササッと入館830円。
奇界/世界、というタイトルが示すように、まず「奇界」の写真が並び、最後に「世界」の写真と、館林美術館限定展示となる富岡製糸場の写真が並ぶ。
感想としては……
ひたすら奇界の写真を見てると頭がグラグラする
正常と異常の差がわからなくなる
ゾクゾク、ソワソワ、そして不快感
富岡製糸場の写真、「世界」の写真からも「奇」を感じてしまう
佐藤健寿さんの目線は私と全然違う
怖いもの見たさ、な感覚かもしれない
と言ったところでしょうか……
とにかく、圧倒されました。
ミュージアムショップで、奇界/世界クリアファイルと館林美術館クリアファイル、そして図録。
図録(3300円)は買いでしょ。
佐藤健寿20年の活動がこの価格で手元に置いておけるなんて……
そもそも830円でこれだけの作品見せていただけるなんて……
感動と感謝。
昂った心を落ち着けたくて、ミュージアムカフェでコーヒーでも飲みたかったけど、やや混みだったので、退館。
街中車を走らせて、コーヒーショップでもないかと探したけど見つからず、諦めて帰ることに。
帰りはルートを変えて国道354号線を走る。
この先の交差点で左折すれば354に入るのね、と赤信号。
左折ウインカー出して止まり、目の前に見えるスーパーの看板を見る。群馬によくあるスーパーフレッセイ、そこに無印良品とJINSと…茶房?正田茶房?これは喫茶店系でしょ。ウインカーを消し、直進、フレッセイに入る。
正田茶房・欒(まどか)
館林で「正田」を名乗るということは、そういうことだろう。
館林と言えば正田醤油。
後に調べたらやはり正田醤油系列・正田フーズのお店でした。
窓際の席に陣取り、生どら食べて、コーヒー飲みながら図録広げてたら、店員さんが「暑くないですか?ブラインド下ろしましょうか?」と声掛けてくれた。
さすが暑い街常連・館林、みなさん気を使ってくださる。ほっこり。
心も落ち着いたので、帰りましょうか。
ひたすら国道354号線を走ります。
こんな道だったっけなー?ああ!ここでこうなるのね!この焼肉屋名前変わったのかー。このパチンコ屋懐かしいなー潰れちゃったかー。このまま行くと実家の近くに出るはずだけど、ん?ここどこ?地元のはずなんだけどな、随分とキレイな道だけど354で合ってるよね?あの橋につながってるなら合ってるか。っていつ群馬と埼玉の県境超えた???
最近は国道パイパスがどんどんできて、看板やナビに案内されるがまま走ってると、いつしか知らない道を走ってることがある。
25年前の記憶と現実のズレ。
そんな動揺も楽しみながら、館林旅は終了となりました。
今度はカルピス工場の見学に行こうかな。
茂林寺
城町食堂
群馬県立館林美術館
正田茶房・欒(まどか)
正田醤油