きれいな思い出ではないかもしれないけれど(2)

それから3ヶ月後にまた廊下ですれ違った。
自身のことをいつもオープンに話してくれる彼。
(私だけでなく、色々な方にそうなのだけれど)

立ち話だったので、もっと話しがしたいと思った。
そして彼の穏やかな話し方と表情、品のあるふるまいは、どのような経験、生い立ちから来るものなのだろうと、強い興味が沸いた。

別れ際にまた、よかったら連絡くださいとさらっと言われ、LINE交換くらいなら問題ないかなと思い、(実はその頃から彼にときめいていたのだが)その週末に名刺に書いてある電話番号から検索しLINEを送った。
すぐにやりとりを終えるつもりの文面を送ったが、彼の方がLINEを続けてくれた。

気がつけば毎日LINEをするようになっていた。
とにかく、話しが続く。
趣味の読書、お互いの仕事の話…
波長が合って、心地よく、とても楽しくやりとりができた。
最初は私が盛り上がっていて、彼は落ち着いた返事。ひとつ彼が年下だが、とても大人びている。
徐々に彼の方がハイテンションな文面に変わり始め、かわいいなと感じる場面もあった。

LINEをし始めた次の週末、仕事の合間に少し会って話そうという事になり、待ち合わせ。
助手席に乗せてもらい、一緒に買い物し、いつか食べさせてあげますと話してくれたお店で早速お昼ごはんをご馳走になった。
急な階段のお店では笑顔でさらっと手を差し出してエスコートしてくれたり、車の乗り降りの時もスマートにドアを開け閉めしてくれた。
(エスコートしてもらいなれていない私は大丈夫、と一度断ってしまった。そのあとはお礼を言って受けることができた。)
とにかく笑顔。嬉しそうにしてくれる彼。
彼の真顔は、お別れしたあと仕事中に見ることがあるくらいで、2人でいる時は記憶にないほどだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?