きれいな思い出ではないかもしれないけれど(3)

彼とのLINEのやりとりは結局2ヶ月足らずで終わった。ふたりで会ったのは計4回だった。

私が夫と子どもに内緒で連絡を取り合ったり会ったりすることに耐えられなくなった。
もし知られてしまったら、夫を傷つける、家族がバラバラになる、そんな事は考えられなかった。

会う約束を前日にキャンセルし、翌日そんな内容のLINEを送った最低な私。
彼はすぐに承知してくれた。
そんな気持ちにさせてごめんなさい、あなたへの想いは自分の心の中へ閉まっておきます、あなたがとても素敵な人だということは伝えたい、という内容の文章が珍しく長々と綴られていた。

彼は、以前に、私を離婚させたいとも思っていないし、家族優先でいてほしいというようなことを言ってくれた。
あなたをもてあそぼうとも全く思っていないと。

その決定的な別れ話の前に、何度も弱音を吐いた私を優しい言葉で包んでくれた。言葉で伝えるのが上手な彼だったけれど、自分の気持ちを強引に押し通すことはしなかった。

あなたが離婚することは、あってはならないことだと思うけど、もし、離婚するような事か後に出てきたら、あなたの子どもも面倒をみたいと言ってくれた。
彼の気持ちから本気が伝わってきて嬉しかったが、言われた直後はゾッとしてしまった。
自分が離婚…夫と離れて暮らす…??想像がつかなかった。

私は何がしたいのだろう。
彼と一緒にいて、抱擁、キス…
身体の癒し。好きだと言ってたくさん褒めてもらえ、愛をたっぷり与えてもらえることへの喜び…(でもその反面、満たされることはなかった)
抱擁やキスはあったが、その先は私が求めていないことを分かってくれていて身体の性的なパーツには触れなかった彼。

もてあそんだのは彼ではなく私の方だったのではないか。
別れた後、長らく悩み、苦しんだ。
(ひと月弱経った今でも)
私はいつも自分のことばかりで、彼のためと言いつつ、本当は彼の事を全く考えていなかったのではないか。
彼はどんな気持ちだっただろう。
もうやめたいと、苦しんでいたのは彼も一緒だったのではと。ごめんね。ごめんね。そればかり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?