拝啓 さようならのあなたへ

どうしようもない私の吐瀉物を処理するだけです。
そう、これは汚物である。

「いくら払えば一生そばにいてくれますか。」

冗談を言うことが多い人だった。

どうしようもない私は、どうしようもない方法でお金を稼いでいた。だけど、死活問題だから、どうしようもなかった。
暮らすため、遊ぶため、手っ取り早くて、それていて嫌いじゃないこと……
考えたらすぐ辿り着くこと。

そんな私に対して放たれたのが冒頭の言葉である。

この言葉を言った相手は、私の稼ぎ方に嫌悪、と言っていいかは分からないが、とにかく否定的な意見を持っていた。
そんなことして欲しくない。
そんな人たちを相手にして欲しくない。
俺以外の誰かとは嫌だ。
俺がいればしなくて済むでしょう。
俺がいるんだから。

その思考回路の末にたどり着いたのがその言葉だったのかは分からないけれど、とにかく嫌がっていたことだけは確かだった。

私とその人は、ただの人と人だった。

関係性に名前をつけることは怖くて出来なかった。
それ以前に付けていい名前なんて無かった。
認められないこと。
ルールの外での関係。
気まぐれの末に辿り着いたのが私。
そんなものである。

断っておくが、この関係は脆かった。
一瞬にして崩れ、刃は私に向けられた。
今でも私は思い出す度に心臓が強く打たれ、吐き気を催し、死の先を願う。
薬を飲んで発作を落ち着けても、1度呼び戻された記憶は、そう簡単に脳から剥がせない。

相手だっておそらく同じだ。
私が持っていたものもまた刃だった。
裏切り行為。その関係性を壊したのは……。

でも、私は今でも刃物を持っている。
自分に向けて握っている。
そして、いつか目の前にその人が来たら。
思い切り刺して、何度も何度も、原型をとどめないぐらいにして、私自身もそこで終われることを願っている。

幸せになって欲しくないから。

その人も、私も。

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