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感傷の顛末(硬質アルマイト)

【あらすじ】
 数十年前のパンデミックによるロックダウンを経て、いかに外出をせずに生活を豊かにするかへと意識をシフトしていった人類。その結果、食事から薬まで、レシピさえ分かっていればそれに類する成分をクラウド内から引き出し、プリンター精製できるようになった。喜怒哀楽、感情をコントロールするサプリすらも。
 ある日、コトノのメールアドレス宛に、アヤノという人物から一通のメールが届いた––
【カテゴリ】#小説
【読了時間】20分
【著者プロフィール】
硬質アルマイト。同人サークル「パスタなら作れます」にて活動中の小説書き。透明感のある文体と、日常にちょっとした非日常を添えた物語を好んで書いている。この名前を使うようになって10年近く経つけれど、「どうやら塗装の類の名称らしい」ということしか知らない。

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【開封済】
 ヒキタ様

 いよいよ秋も深まってまいりましたが、いかがお過ごしてしょうか。
 気が付けばすっかり日も過ぎ、こうしてやり取りをするようになってからもう三ヶ月ほど経ちました。こうして文通を始めた頃、私の一方的な好意から始まった中、こうして快くご返信をいただけて本当に嬉しく思っています。
 最近、ようやくあれほど嫌だった仕事にも慣れ始めました。おかしいですよね、あれだけ泣いていたのに。会社も私の扱いにはひどく困ったものと思いますが、それでも情剤を使わず、こうして心を今の環境に慣れさせることができました。きっと、ヒキタさんとのこの文通によるものもあるのだと思っています。感謝してもしきれません。
 ヒキタさんの仕事は順調でしょうか。調剤師といえば、今最もお忙しい仕事ですから、何か私が聞けることがあれば遠慮せず仰ってください。
 長くなりました。またお返事を待ちながら、日々の生活を耐え忍びたいと思います。
 まだまだ残暑が続きます。くれぐれも体調にはお気をつけて。

   ●

「最近足りていなかった「喜」が安定しましたね。新しくお出しした情剤が良かったのかもしれません」
 モバイル端末越しに担当医はそう言って微笑むと、俺のエモーション・リザルトを開示する。昨月対比で百四十パーセント。成人男性の平均域を示している。他の感情も総じてほぼ平均値だ。
「コトノさんの感情値の中でも、喜は特に不安定でしたからね。他は平均を行き来している分喜びを感じにくい体質なのでしょう」
「これで検査数、減らせそうですか」
 俺の問いかけに、担当医は少し渋い顔をした。いや、渋い顔をしてみせたと言った方が正しいだろう。奴は僕の言葉に何も感じちゃいないのだから。彼は人差し指でトン、トンと二度デスクをノックすると、「非常に申し上げにくいですが」と前口上を挟んで言った。
「これまでの不安定さから見て、まだしばらくは通院いただいた方がいいでしょう。勿論通信費も、レシピからサプリメントをプリントするのも保険適用が可能とはいえ馬鹿にならないことは知っていますが、それでも常時安定するまでは引き続き検査なさった方が良いかと思います」
「仕方がないですね。分かりました。では、また次回お願いします」
 担当医との通話が切れた。ため息をつく間もなく俺の共有スケジュールと相手のスケジュールから割り出された日程が三箇所提示された。俺はその中から二つ目の日程を選択し、情剤のプリントを選択する。
 ワンルームの片隅に置かれた小型のプリンターが稼働を始める。
 人というものは便利なもので、不便を感じれば感じるほどその不便を取り除きたがる生き物だ。数十年前のパンデミックによるロックダウンを経て、人々はいかに外出をせずに生活を豊かにするかへと意識をシフトしていった。その結果生まれたのがプリンターだ。食事から薬まで、レシピさえ分かっていればそれに類する成分をクラウド内から引き出し、精製できるようになった。薬を受け取るために老人たちに囲まれる時代はもう終わったのだ。不必要な時間を削減できるようになったことを考えれば、便利には違いない。ただデメリットがあるとすれば、いよいよ人と人の繋がりが希薄になったことだろう。
 知人が先月、四歳になった子供を連れて外出した時、パーキングエリアの景色を見てこう言ったという。
「ねえ見て、人がいる」
 勿論この話は単なるジョークだ。魚とは切り身の状態で泳いでいるものだと揶揄された時代を今に置き換えただけの極端なジョーク。ただ、いずれそんな時代が来てもおかしくはないのだろう。
 セレクト・ベイビー制度(注・認証制による婚姻関係にない男女が子孫を作る制度のこと)により単親家庭が増えたことに加え、生まれた子供たちもVRやARによる通学や保育が増え、家族以外とのフィジカル面での交流が減ってしまったこともこのジョークを生み出す起因になっている。
 外見認知による個人特定を恐れてそれぞれが独自のアバターを着ぐるみのように着てやりとりをして、個人としての顔すらパーソナルへと変遷しつつある。以前は「バ美肉(注・バーチャル美少女受肉の略)」なんてスラングされた技術も今では立派な自身のドレスアップの一つだ。足で稼ぐ時代の営業が真夏でもスーツとネクタイを辞めないように、少し良い相手と会う時にルージュを引くように、質の良いアバターはそれだけでその人を測る物差しになる。
 ワンルームないしは2LDK〜3LDKの地球が幾つもあるようなものだ。やろうと思えば産まれてから死ぬまでをたった一部屋で完結させることも容易ではないだろう。
 ただ、人にせよ他の動物にせよ、結局のところ触れ合いはあるべきで、それは別に恋愛に問わず、心の栄養の一つとして必要な要素である。何気ない挨拶から会話から、深くなればセックスに至るまで、その行為には総じて快楽や安心といったプラスの感情に繋がる、またはその行為がアブノーマルであればあるほど刺激的な感情を得られる。
 人は退屈を嫌う。だからこそ押し込められた部屋の片隅を地球儀にするべく科学者たちは奮起し、そこを楽園とすべく人々はテクノロジーに頼った。要するに人は何かをしていないとひどく不安になる生き物なのだ。永遠の暇を欲しがるくせに。
 ただ、もしその不安を簡単に取り除けるものがあったとしたら、どうだろう。
 プリンターがタブレットの生成を完了する。僕は蓋を開けて十錠ほどの小さな「感情のカタマリ」を掴み、手のひらに広げる。
 この色とりどりのタブレットの中に、人が必要とする感情が含まれている。悲しむこと、喜ぶこと、怒り、不安、欲求不満。噛み砕いて言えば喜怒哀楽から寂しさまでの全てを補填できる代物だ。発明者は認可されて数年後に自殺したが、今では一般的なサプリメントとして「情剤(海外ではemotion picturesで販売されているが、大衆からはboringと呼ばれているらしい)」なんて言葉でやり取りされている。最近では人の感情指数をデータ化して処方する医師も生まれているのだから、ここ数年でも類を見ないほどの発明だったのだろう。ただ面白いことに、誰もが重宝しているのに取ったのはイグノーベル賞だけ。変な薬だ。
 ともかく、これが生まれたことで人は他人に対する興味を失った。各々の時間を重要視する社会の誕生だ。ハッピーバースデイ。
 ただそれでも人は増えなくてはいけない。恐ろしいスピードで減少し始めた出生率を抑えるべく世界が打ち出したのが「セレクト・ベイビー制度」だった。
 俺は元々恋愛や感情に対して大きく左右されることのない性質だったから、情剤をあまり必要としていない。強いて言えばポジティブな感情が不足しがちなところがある。ただこれも特別かといえばそうではない。近年の若年層によくある「平衡性感情症候群」というものらしい。感情の平穏を突き詰めた結果、子供たちは無意識に「感情は必要ないものである」という結論を導き出してしまうという。近年では結構問題になっている。最近子供向け番組で「よろこび体操」や「なきじゃくりごっこ」といったものがバズっているのもその症候群ホルダーの数が顕著になってきたからだろう。元も子もないことだ。
 まあ、だから、何が言いたいのか。俺はあまり情剤を飲む必要がない。そればかりか意識的に不足している感情をコントロールできるせいか(このことは誰にも告げていない)、欲しい情剤を欲しいタイミングで手に入れられる。つまり、これらを俺は流すことができるのだ。
 どんな時代でも規則正しさより刺激を求める人が生まれる。それは刺激自体をサプリで抑制できたとしても決してなくなることはない。退屈を嫌うように、安定を恐れるように、穏やかな感情を手に入れれば入れるほど、人はその先を求める。
 俺は手にした情剤をデクスの上のプロセッサに放り込んでスイッチを押した。騒々しい音とともに砕けてゆく情剤はやがて粉末に代わる。カップ部分を取り出し、測りに乗せ、必要なレシピを確認する。履歴を残せないのは面倒だが、クラウド上に残したレシピが誤って引っかかるよりはマシだ。結局、後ろめたいことはアナログに限る。
 要するに、俺はとびきりハイな感情を秘密裏に売っている。最近ウケたのは「爆笑できる薬」だ。

   ●

 【送信済】
 アヤノ様

 このお手紙のやり取りが始まってもう三ヶ月、初めこそは突然頂いた連絡に戸惑いましたが、以降このやり取りを楽しみにしている自分がいます。
 今は特に人の心を扱う仕事となり、責任の重さも強く感じています。日々不安定な方々と接するので、自分自身も飲み込まれてしまわないよう気をつけています。
 多忙な時期が続き、アヤノさんとは未だお会いできる時期が作れないことがもどかしく思います。文面からその繊細さ、自分自身でやり遂げようとする意志の強さを感じ、その折れそうな中でも強い心を持とうとする姿に感銘を受けている自分がいます。
 ただ一目見ただけの私にここまで好意を頂けて本当に嬉しいです。できればこの冬を越えて、お互い落ち着いた時期に一緒に食事でもしたいものです。
 まだまだ残暑は続きそうです。どうかご自愛のほど。

   ●

「最近も続いてるんですか、あの間違いメール」
 俺の作った非合法情剤「R3」の質と効果を紙面で確認しながらサイトウは言った。特に興味がなさそうな様子だが、彼は感情を嫌う分、言葉に徹底した信頼を持っている。あのやり取りが始まってから彼は商談の度に進捗を聞いてくるので、相当興味があるのだろう。
「最近は会いたそうな文面が増えてきましたね。なんとなく忙殺されているような内容で先延ばししていますが」
「相手も驚くでしょうね。自分が三ヶ月も違う人物とメールでやりとりしているなんて」
 他者であれば皮肉と受け取っただろうが、彼の場合は単純に哀情と憐憫から来るものだろう。懸命に探し回って手に入れたメールアドレスが違う人物のもので、しかもその間違いメールを受け取った男は、彼女が求める人物を演じて返信を続けている。
 彼女が精一杯伝えようとした好意を裏切るようなことを俺はしている。そんなことは十分に承知している。だが逆に、相手が偽物であることも気がつかないでチャンスが繋がったと喜ぶ相手も相手なのではないだろうか。
「一体どこがコトノさんの癪にさわったんです?」
「癪、ですか?」
 サイトウが差し出したプリペイドカードの残高を確認し、俺は残りの納品物を渡す。彼は部下を使ってバンの床下にそれを目一杯詰め込み、取手をカムフラージュすると更に私物のカバンを置いた。当たり前のものを置いておくのがコツなんだそうだ。同時にジンクスでもあるらしい。
 癪、という言葉を使われて俺は悩んだ。俺は彼女に対して何かしらの感情を抱いているのということだろうか。
 彼女は常に綺麗事を喋る。情緒不安定な自分が嫌い。でも情剤は使いたくない。自分の力で感情をうまくコントロールしたい。笑うときは笑って、怒るときは怒りたい。手軽に心の平穏を手にしたとしても、寂しいだけだと。
 だが、それは今となってはマイノリティの意見だ。感情もオーガニックであるべきだという意見は今でもあるが、それでも人々は簡単に感情のバランスを保てる情剤を常用品として選んだ。隣人トラブル、傷害事件、交通事故、様々な問題の発生は過去最低に落ち込んだ。レビューは何よりも信頼に繋がる。彼らは不安材料に安全のラベルを貼れるコレを選んだのだ。
 なのに、彼女は以前の世界の方が幸せだったという。アナログな考え方だ。
 俺は彼女のそういう考え方に何かしら感じているのかもしれない。だからこそ、彼女が必死に連絡を取った男のふりをしてやりとりをしているのだろう。人の本質を知るには手紙から。そんなアナログな考え方を提唱する彼女に、いずれ突きつけてやるのだ。お前が恋をした男とメールをしていた男は全くの別人で、何よりも情剤で人々を弄んでいる人物だぞ、と。
「コトノさん、今回の取引から、しばらくうちは潜ろうと思ってるんです」
 荷物を詰め終えたサイトウは唐突にそう切り出した。
「最近、R3のファンが増えたせいですかね、少しばかり目に余る使い方が目立つようになって警察も本格的に動き出してるみたいなんですよ。コトノさんも少し取引を控えた方がいいかもしれませんよ」
 なんてことない、ただの冷却期に入っただけだ。ヤバい時期になったら身を潜めて新しい薬の研究に使えばいい。どうせほとぼりが覚めた後もコレを求める奴は多分にいるのだから。
「今回はどれくらい潜るんです」
「さあ、今回のはかなり当たりでしたから、一年くらいはなんとかなるかと思ってますよ。まああくまで薬のほうは潜るだけ、ですけれどね」
 表情のないサイトウから、気味の悪い笑顔が感じられた。俺は連絡を取るときの流れを再度彼と打ち合わせし、走り去る彼らを見送った後、俺もその場を後にした。
 表通りに出て、自分が付けられていることに気がついた。どちらかは分からないが、自分に不利であることに間違いはない。俺は気がついていないような振る舞いのまま近くの喫茶店に入ると、窓際の席に腰を下ろした。
 がらんとした店内に覇気のない店員が数名。今となっては店頭スタッフほど面白味のない仕事もないだろう。調理人とデリバリーが花形となった今の飲食業界で最も衰退した存在だ。上層ともなれば一流のもてなしを続けるべく徹底した接客姿勢を叩き込まれるが、下層の一般飲食業のスタッフのレベルは下がる一方だ。賃金も安い、安定した感情によってトラブルこそ減ったが、客も減った為に毎日を暇にすり潰すだけの日々。イートインスペースを極端に減らす店も増えてきている。
 俺の入った喫茶店は今もアナログスタイルを続けているらしい。奥の店主を見る限りかなりの高齢だ。今更繁盛を目指すわけでもなく、生活習慣として続けているのだろう。
 出てきたコーヒーもナポリタンも大した味ではなかった。食事中もスタッフたちはモバイル端末でゲームを楽しんでいたし、店主もテレビに夢中だった。
 窓際から外を見る。オートドライブレーンとセルフドライブレーンで区分けされた車道を車が行き交っている。眠っている人、無表情でハンドルを握る人、様々見える。
「コトノさん、ですね」
 突然声をかけられて、俺は少し動揺した。いつの間にか向かいの席に男が座っていた。男はハットにジャケット、サングラスを身につけて全身を黒く染めていた。その身なりから、恐らく普通ではない理由で俺を探していたことが分かる。恐らくさっきまでつけていたのも彼だろう。
「ええ、そうです」
 いざという時の対策はしているが、できるだけ平穏にいくべきだろう。彼の出方を伺うべく、俺は極力正直な返答をした。彼は俺の言葉を受けて頷くと、一枚の写真を取り出した。
「この女性に会ってもらえませんでしょうか」
 黒髪の幼い顔立ちの少女の写真だった。年齢は恐らく二十もいっていないだろう。学生だろうか。
「アヤノという人物をご存知ではありませんか」
 その一言で、写真の少女の存在について大体のことを理解した。俺の反応で目の前の彼も察したのだろう。彼はホッとした様子で話を続けた。
「申し遅れました。私は私立探偵のカヤバと言います。とある人物からアヤノという人物と連絡を取り合っている人物を探して欲しいと依頼を受けて、これまで調査をしていました。いや、一月ほどで見つかって良かった」
「どうして」
 俺を、なのか。理由を、なのか。俺が口にした言葉には様々な理由が含まれていた。とにかく思考がまとまらなかった。サイトウにも告げていない相手の名前を言ってのけた彼は一体何者なのか、それだけが気になって仕方がなかったのだ。
「まず先にご安心いただきたいこととして、アヤノという送り主は実在します。何かのテストというわけでもなく、ちゃんと。ただ、ヒキタという人物は実在しません。ここまでお伝えすれば大体のことは飲み込めるのではないでしょうか」
 それは、つまり……。
「スパムのようなものだったということですか」
 理解が早いようで、とでもいうように彼は頷いた。
「誰でも良かったようです。とにかくランダムに連絡を行いたくて彼女は適当な連絡アドレスを適当に作り、送っていた。大量の送信エラーを吐き出しながら、どこか知らない誰かに向けてずっと。その無差別送信で偶然送付された何通かのうち一つがあなたのアドレスなんですよ」
 気の遠くなる話だ。何十億、いやそれ以上もある羅列をランダムに組み立てあるかどうかも分からないアドレスに向けてメールを送っていた女がいる。狂っていないとできない所業だ。
「で、どうして俺がその女性と会う必要が?」
「彼女の問いかけに対して、返答したのがあなた一人だからですよ」
「随分と調べたんですね」
 カヤバは肩を竦めて笑った。
「ええ、前もって言いますが、私は調査内容以外のことは何も口外しません。私は依頼人の犬であって、報酬以上は何も得に繋がりませんから。私に必要な仕事は、ヒキタを演じる人物にインヴィテーション・カードを持たせることのみです」
 裏を返せば、この仕事を失敗させるなら公表するということだろう。つまり声をかけられた時点で彼はある程度の勝算を持ってきていたわけだ。別に俺一人の被害で済むならいいが、サイトウにまで問題が露出すると面倒だ。目の前の私立探偵一人が消されるならともかく、漏洩元の俺は良くて殺されるか、アーカイブ行きだろう。生きた屍として開発に没頭するのは勘弁願いたい。
「それで、俺はどうすればいいんです」
 俺の言葉を受けて彼は柔和な笑みを浮かべて満足そうに頷いた。カヤバの処遇はこの後ルートを通して決めればいい。三流のくせして上澄み程度で勝算があると情報をチラつかせたそちらが悪い。一流は必要以上の情報は晒さない。
 まあ、同時にそれは俺も三流ということになるのか。カヤバはサプリメントを一つピルケースから取り出すとその場で飲み下し、咳払いをするとあのべったりと張り付くような柔和な笑みを再び浮かべた。自分のネガティブな面を自覚している。その点も加味して二流くらいにはしておいてやっても良いのかもしれない。
「話が早い方で助かります。こういう仕事をしていると、お互い良い関係で事が進むほうがレアですから」
「コモンばっかり引いててもおたくもやりがいはないでしょう。たまにはこういうレアなペイがあってもいいのでは」
 彼は乾いた笑いを浮かべていた。

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