「Tech for the vulnerable」 VISIONGRAPHが読み解くSXSW2020の8つのトレンド その5
新型コロナウイルスの影響で開催直前に中止となった幻のSXSW2020。
2012年よりSXSWに参加し、現在ではSXSW Japan Officeとしても活動するVISIONGRAPH Inc.では、未来の兆しが感じ取れる場所として毎年SXSWでのトレンドを分析してきました。もしSXSW2020が実現されていたとしたら、どんなトピックが話題になったのでしょうか?
既に発表されていたセッションプログラムや、アワードのファイナリストのサービスから、私たちが独自の目線で分析した8つのトレンドと、それぞれ象徴的な事例を紹介します。
⑤Tech for the vulnerable
社会的弱者を強制的に救うテクノロジー
ソーシャルグッド(社会をより良い方向に導く)な事業を展開する技術を持ったスタートアップが多く登場してきました。
人種、性差、障がい、経歴などなど...様々な偏見や差別を是正するサービスから、当事者たちを勇気付ける素晴らしいプロジェクトが毎年沢山生まれてきています。
一方、声をあげたくてもあげられない状況にある人をダイレクトに救うテクノロジーは今まで多くありませんでした。助けを求めることができる人たちの活動を支援するサービスが多かったように思います。
今年は「助けを求められない」状況に置かれた人の状況を察知して「自動的」に救う新たなテクノロジーが取り上げられたのが印象的です。これからテクノロジーの倫理的に正しい活用方法の萌芽となるのではないでしょうか。
Syndio
SXSW 2020 Pitch | Enterprise and Smart Data
(画像は企業ウェブサイトから引用)
従業員に対し適切な評価を行い、公平な評価基準に基づいた給料を支払うためのデータ管理・分析システム。個人の能力により給与に差が出るのは当然だが、ジェンダーや人種に起因する給与格差がないかを診断し、企業のコンプライスを維持します。
FairFrame
SXSW 2020 Pitch | Social and Culture
(画像は企業ウェブサイトから引用)
無意識なバイアスに気付くための教育プラットフォーム。DiversityやInclusionといった言葉が重要視されるこれからの企業運営では、コンプライスを遵守できるようマネージャーや採用担当者の教育が重要となります。
AIKYOU Protegé
SXSW 2020 IIA | Speculative Design
(画像は企業ウェブサイトから引用)
https://www.award-site.de/protege/
女性の下着が破られると、レイプとして自動的に警察へ通報される仕組み。下着の繊維にマイクロチップが埋め込まれ、bluetoothでスマホのアプリと接続。酔わされて正常な判断が行えない状態で性被害を受けるケースが多いために開発されたそうです。
Safe ID
SXSW 2020 IIA | Student Innovation
家庭内暴力や虐待を防ぐためのシステム。スマホカメラの顔認識機能を利用して、毎日の顔写真を記録し、アザや傷がある場合は自動的に警察に通報がいく。被害者は自分で通報できないような状態にあることが多いため、生活の中で自動的に異変を察知するようなシステムが開発されました。
Visiongraph Inc.では、SXSWをはじめとする様々な海外イノベーション事例に基づくリサーチやコンセプトデザイン等を行っております。勉強会の開催など、ご興味のある方はこちらからお気軽にお問い合わせください。