”大人の学び”と聞いたらどんなことを思い浮かべますか?~デイサービスでの学びプログラムから考えたこと~
▶大人の学びときいたら何を思い浮かべますか?
こんにちは。
みなさん、「大人の学び」と聞いたら、どんな年代の人が、どんな目的で学ぶことを想像しますか?
私は、人事組織関連のコンサルタントなので、勤労世代のリスキリング、リカレント教育などがぱっと浮かんできます。
具体的なイメージでは、30代以上の中堅以降の会社員が、VUCAの時代に対応すべく、必要なデジタルスキルやビジネススキルを、自律的に学びなおしキャリアを形成していく姿を思い浮かべます。
▶介護サービスのデイサービスで提供される「大人の学び」が面白い!
ところが、こんな「大人の学び」もあったか!確かに!!と面白く感じた記事が、よく聞いているVoicyパーソナリティのはるさんの番組で紹介されていました。
それは介護サービスの1つである「デイサービス」で、大学の講義並みにハイレベルな内容の古典や文学を学ぶ、という大人の学びです。生涯学習のようなイメージが近いでしょうか。
元の記事はこちら
はるさんの番組はこちら
私が前職で高齢化社会の課題解決型サービスを検討していたときに、デイサービスの現場を見学させていただいたことがありました。そこでは確かに、折り紙やお遊戯、お歌の時間など保育園で実施されているようなプログラムが主であり、楽しそうに参加する方と、まったく参加されない方が二極化していたことを思い出します。特に今デイサービスを使っている男性陣は、その昔はモーレツサラリーマンとして働いていた世代であり、戦前生まれの方もたくさんいらっしゃいますので、現役を引退して身体認知能力が衰えたからと言って、いくら脳の活性化に良くても、子ども向けのように感じるプログラムに参加するのはプライドが許さない!という表情の方がいらっしゃいました。女性ももやもやを抱えている方がいらっしゃると思いますが、ある程度妥協して介護施設の職員さんに気を使って楽し気にしてくれる方もいる様子でした。
けれど、どれだけ大人になっても、自分の知的好奇心が刺激される学びを進んで取り入れたい、という方はいらっしゃいますよね。多分私もそのタイプだと思います。
▶デイサービスで提供される「大人の学び」の効用
はるさんはVoicyの番組の中で、デイサービスでの大人の学びについて、「サービス利用者同士が教えあうというコミュニティ形成の可能性を感じる」をお話されていました。確かに、ラーニングピラミッドでも自己成長に繋がる一番深い学びの定着は他人に教えることだ、とされていますし、それはすなわち認知機能の維持向上にとても効果的ということだと思います。
加えて、私はここに別の観点から2つの可能性を感じました。
①多世代の交流と理解促進の場になる
②介護保険の範囲を超えて保険外サービス利用のきっかけになる
①については、私も含め介護職ではない方は、デイサービスに出かける為にバンのような車に乗り込む高齢の方の姿を見ることはあっても、実際にどんな時間を過ごしているのか全く知らない方も多いと思います。
若い世代が持つ知識やツールを高齢者に学びとして提供し、逆に高齢者の方が体験してきた歴史を教えて頂く、このような交流を通じて他世代への理解が深まったり、若者の方に超高齢社会への課題認識が生まれるきっかけになるのでは、と思いました。
②についてですが、記事のように介護保険内のサービスでも良いのですが、やりようによっては、それを超えてビジネスが拡大できるのでは、と考えています。介護保険外のサービスとして成り立てば、経済が回りますし、超高齢社会の先頭を行く日本がビジネスモデルを示すこともできると思います。現金持ってる高齢者にお金を使ってもらおう!的な発想ではなく、高齢者のペースや提供スタイルもニーズに合わせて緻密に検討する必要はあると思いますが、デイサービスという場所で提供するのは、外に出るきっかけになりますし、仲間との対話も生まれますし、良いですね。
大人の学び、目先の10年20年だけではなくその先を見通してどんな風に生活をおくっていたいのか、この記事をきっかけに考えたいなと思いましたし、やはりこの分野でのビジネスの可能性を考えるのは個人的にとても楽しいな、と再認識しました。