パワーバランス――第50回衆院選を経た各政党の「新集票力」
ぼくは今、第50回衆院選(2024年)の全体像を把握しようと試みているところです。そのための一助として、維新とれいわ、国民と共産、参政と保守、そして自公と野党など、任意の2つのグループを定めて対比したときに、どちらの票が多くなるのかを市区町村別に概観してみました。
一例をお見せします。次の図は、3年前に行われた第49回衆院選(2021年)の比例代表について、日本維新の会とれいわ新選組のどちらの票が上回るのかを、市区町村別に評価したものです。
「維新」対「れいわ」
第49回衆院選(2021年)の結果
まずは3年前の衆院選から見ていきます。下の枠で囲われた数字は、市区町村ごとに維新とれいわを比較したとき、維新がリードしたものが全国で1804あったことを示します。対してれいわがリードしていたのは86にとどまっていました。
なお市区町村の数え方ですが、政令指定都市を除く市、町、村、特別区(東京23区)はそのまま該当する個数を数え、政令指定都市ではかわりに行政区(政令指定都市に設置された区)を数えることとしています。カウントが二重になってしまうので、政令指定都市そのものは1つに数えません。
次に示す地図は、維新とれいわ、それぞれのリードの大きさによって市区町村を塗り分けたものです。
2つの勢力のどちらの票が多いかということは、得票数、相対得票率、絶対得票率のいずれで見ても構わないものですが、ここでは最も明快な絶対得票率を用いました(得票数だと人口によるので塗り分けは適さず、棒グラフなどで示す必要があります。相対得票率だと、前回と今回を比較する際に、注目した2勢力以外の影響による「歪み」が入ります)。
なお相対得票率とは、有効票全体に占める、獲得した票の割合です。他方で絶対得票率とは、有権者全体に占める、獲得した票の割合です。細かな違いはありますが、どちらも値が大きいほど集票力が高いことを意味します。
先の地図からは、維新が東北や沖縄の一部を除く極めて広い範囲でリードしていたことが明らかです。それが今回の選挙では次のように変わりました。
第50回衆院選(2024年)の結果
維新が明確にリードする地域は近畿ブロックと徳島県に限られ、全国の3分の2の市区町村ではれいわがリードするようになっています。
今回はこうした変化を一望していきます。
ここからは以下の結果を収録しています。
・「自民」対「立憲」
・「国民」対「共産」
・「自民」対「維新」
・「立憲」対「国民」
・「維新」対「立憲」
・「維新」対「国民」
・「維新」対「公明」
・「維新」対「共産」
・「参政」対「保守」
・「自公」対「立憲+社民」
・「自公」対「立憲+共産」
・「自公」対「立憲+国民」
・「自公」対「立憲+共産+社民」
・「自公」対「立憲+共産+社民+れいわ」
・「自公」対「立憲+国民+共産+社民+れいわ」
みちしるべでは様々なデータの検討を通じて、今の社会はどのように見えるのか、何をすれば変わるのかといったことを模索していきます。特にこれからしばらくは衆院選の分析と、来年の参院選への備えに取り組みます。今後も様々な成果をお見せできるように頑張っていくので、参加してもらえたらとてもうれしいです。