リアルタイム得票数推定の掲載について
「いま選挙があったら各政党はどれほどの票を得るのか」を推定できるようになったので、結果を簡単にまとめます。ここでいう「票」とは、衆院選や参院選の際に全国で得る比例票をさしています。
まずは最近の世論調査を簡単に振り返ってみましょう。なお、以下のグラフは全て2023年7月30日時点の情報を反映し、更新を行っています。
最近の世論調査
はじめに内閣支持率と不支持率です。
各社の世論調査は、調査の手法や質問のかけ方によって、高めの数字が出やすかったり低めの数字が出やすかったりする固有の偏りをもっています。そこで、図1ではそうした偏りを打ち消す補正を行ったうえで1日ごとの平均をとりました。〇、△、◇などの一つ一つの点が世論調査を補正した結果で、赤と青の曲線が平均です。
現在、岸田内閣の支持率は平均31.6%まで低下し、倒閣危険水域が迫りつつあります。もっとも、内閣支持率は昨年10月から今年の2月までこの程度の水準にあったので、政権発足以来で最低というわけではありません。
しかし、今はその頃とは違う面があります。自民党の支持率の低さです。
そこで以下に、各政党の支持率を見てみましょう。全政党が載るものと、10%未満を拡大したものを、図2と図3に示します。
直近の平均値も数字で示しました。
自民党の支持率が31.0%というのは、2012年12月16日の政権交代以降で最も低い水準にあたります。この背景にはここ数年間の維新の支持率の上昇や、参政党の誕生などによる慢性的な圧迫を受けていることがありそうです。6月ごろから直近までの下落は、無党派層の増加と対照的な動きとなっています。
維新と立憲の支持率は、今年4月の統一地方選挙の時点で逆転がおきており、現在は平均で3.4ポイントの差があります他の政党では、れいわが増加傾向です。国民がこれから代表選に入るので、増加するかどうかに注目です。
それでは比例代表の投票先です。このグラフは今年7月から掲載をはじめました(比例投票先の掲載開始について)。全政党が載るものと、10%未満を拡大したものを、図4と図5に示します。
こちらでも、自民党の低下がうかがえます。公明党も落ちていますが、この党は選挙前になると支持層を引き締めて伸びるため、いずれ上昇に転じるように思われます。現時点で伸びている政党としては、維新とれいわが挙げられます。
ところで、比例投票先の調査は大きな弱点を持っています。選挙が近そうな雰囲気にならないと各社がなかなか調査項目に含めないため、極端に情報が不足する期間が存在してしまうのです。図4や図5の点線部分がそれにあたります。また、そもそも比例投票先の調査をかけない新聞社やテレビ局もあるため、多くの調査を総合して高い精度を得ることが困難です。
そこで、ここでは比例投票先を用いずに、得票数を推定してしまうことを考えます。
リアルタイム得票数の推定
まず、概要としては次のことを行いました。
以下ではしばしば「絶対得票率」という言葉が出てきますが、これは棄権者も含めた全有権者のうち、何%の票を得たかということを意味します。日本の有権者はおよそ1億人なので、1%はおよそ100万票に相当します。
推定の結果を図6と図7に示します。図6が全政党を掲載したもので、図7は1000万票未満の拡大版です。なおこれは試作段階のものなので、内閣支持率・不支持率・政党支持率・比例投票先などの完成したグラフと一目で区別できるよう、背景を黒色としています。
いま選挙が行われた場合、自民党の得る票は1696万票で、2012年の政権交代以降で最も少ない水準となる可能性があります。
維新はすでに前回衆院選を121万票ほど上回っていますが、これまでの選挙から維新は大きな選挙ブーストを持つことが予見されるので、さらに伸びる可能性がありそうです。
立憲は前回衆院選と比べると518万票少なくなっています。選挙ブーストで伸びる可能性もありますが、維新に追いつくのは難しいとみられます。
公明は前回衆院選を97万票下回っています。しかし公明も、選挙が近づくと引き締めによって伸びる傾向があることに留意が必要になりそうです。
共産は前回衆院選より47万票多く、れいわは103万票多くなっています。
以上で現在の状況の概観はおしまいですが、以下では政党支持率と絶対得票率、得票数の関係のより詳細な考察を行います。また、2013年から現在までの10年間にわたる得票数推定の結果を示すとともに、実際の選挙結果を重ねて表示し、推定の妥当性を確認します。