出版によせて

「武器としての世論調査――社会をとらえ、未来を変える」 (ちくま新書)出版によせて

6月上旬に、ちくま新書から「武器としての世論調査――社会をとらえ、未来を変える」が出版されます。みらい選挙プロジェクトの1年間の成果をつめこみました。

タイトルには「世論調査」とありますが、この本は世論調査以外にも、選挙のデータや歴史、地理など、様々な分野を縦横にかけめぐりながら社会の姿に迫る内容となっています。

世論や選挙の分析に関心がある人たちだけでなく、多くの人に読んでもらえたら嬉しいです。

政治に対する問題意識があるけれども展望が開けない人たち、支持政党を持たない無党派層の人たち、政治や選挙に失望している人たち――。

こうした人たちと一緒に今の社会の姿を見つめ、何か手ごたえのある変化を作り出すことができたら。そんなことを思いながら書き上げた本です。

①世論調査

これまで世論調査の本といえば、世論調査そのものの手法を解説するものや、「世論調査は信用できるのか」といった妥当性を疑うものが主流でした。しかし本書は世論調査を「利用する」ということに重点をおいています。

読売、朝日、毎日、日経など、それぞれの世論調査がどのような特徴を持っているのかを知れば、それらを統一的に利用して細かい世論の動きを知ることができます。そうした検討の背景や、それによって見えてきたことをはじめに考えます。

②地域分析

みらい選挙プロジェクトの最初期から行ってきた地域分析の最新版です。ここでは地理情報システムを用いて各政党の地盤を精密に描き出し、その地盤が形成されてきた経緯と原因を探求していきます。そこから見えてきたのは、「東西」と「都市と地方」の対立軸でした。世論調査も併用しつつ、その秘密に迫ります。

地域分析は、アニメーションを公開しています!

③時代と投票率

国政選挙の投票率は、戦後一貫して低下してきたわけではありません。実はある時期に、決定的に落ちています。その原因は何なのでしょうか? ある時期を境に有権者は選挙への関心を無くしてしまったのでしょうか?

投票率がなぜ下がったのかを知ることは、裏を返せば、投票率を上げるためにどうしたらいいかを考えるための第一歩になるはずです。

本の後半では各所で世論調査を利用しつつ、こうした様々なテーマに踏み込んでいきます。

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④選挙と世論調査

これまで小選挙区制の批判は多くされてきましたが、少なくとも次の衆院選が現行の制度で行われるであろう中で、「小選挙区制のもとで何ができるか」を考えることも大切です。世論調査や選挙時の情勢報道とともに、世論を政治に反映させる手段としての選挙を考えます。

ちくま新書では異例の巻頭カラー16ページ、本文2色刷りの構成となっています。1年1か月の間、全力を投入して書きました。手に取っていただければうれしいです。*(๑˘o˘๑)*

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note: みらい選挙プロジェクト情勢分析ノート