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【スタッフひとみん卒業インタビュー🌸】人の可能性をまるごと信じる 予測不可能な時代にこそ必要な考え方

みなさんこんにちは!学生インターンの今泉です。

今回は、スタッフインタビュー企画第2弾!
みらいずworksの理事 角野仁美さんです。

以前、みらいずworksは、公式YouTubeチャンネルでライブ配信をしていたのをご存知ですか? その中のファシリテーション回で、ひとみさんの『人の可能性をまるごと信じる』というフレーズが個人的にすごく印象に残っています。今回はそのフレーズを皮切りにインタビューをさせていただきました🎤ファシリテーションに対する姿勢が、仕事や生き方とこんなに通ずることがあるんだ!と驚きと発見でいっぱいでした。
また、ひとみさんは8月末をもちまして、フルタイム職員を卒業することになります😢 ひとみさんが大学時代からの12年間で得た学び・思いをぜひご覧ください。

角野仁美
1994年生まれ。岐阜県立可児高等学校卒、新潟大学教育学部社会教育専攻卒。 高校時代に自らの志を確立するキャリア教育の機会に恵まれる。「子どもを取り巻く環境を良くしていくことで、社会に恩返しをしたい」と志した高校3年生の夏にみらいずworksと出会い、新潟への進学を決意。大学4年間、みらいずworksでインターンや学生スタッフとして活動しながら、地元である岐阜県可児市の地域課題解決型キャリア教育の企画・運営に携わる。 現在は、中学生×地元企業を繋ぐ「課題解決型職場体験」のコーディネートや、県内高校の「総合的な探究の時間」カリキュラム設計やプログラム開発、高校と地域の協働体制確立の支援等を担当している。

ファシリテーションでジャッジしないために人の内側を探究する


―――ライブ配信でも出てきた「人の可能性をまるごと信じる」という言葉が凄く好きなのですが、この言葉の具体的な意味や、大事にするきっかけとなるエピソードがあったら教えてください。

みらいずworksの活動の理念となるキーワードなのですが、それを象徴的に実感したのは、みらいずの立ち上げメンバーである、まいこさんとりえさんと一緒に、SCH(スーパー・コミュニティ・ハイスクール)シンポジウムという、地域と連携した高校のあり方を考える教育イベントに参加したときのことです。当時、私は大学2年生でした。そのイベントには、全国各地から高校関係者や行政、大学生など、多様な立場の人々が参加していました。

イベント最終日には、都道府県ごとのチームになって今後のアクションプランを考えることになり、私は新潟チームとしてグループワークに参加しました。そのとき、全然違う地域の大学生の子が新潟チームに参加することになったのです。

その子に対して、私は最初に「ここは新潟チームなのにな。」と反射的に思っちゃったけれど、まいこさんとりえさんは「全然いいよ。一緒に考えよう。普段いる地域と比べて見えることとか、思うことなんでも言ってね。」というように受け入れていました。立場関係なく、その子自身を受け入れて一緒に考えようというスタンスでグループワークを進めていきました。結果、その子の視点があったことによってワークが活発になり、新しいアイデアに繋がりました。

このとき、自分は無意識で人をジャッジしている部分があると肌で感じました。そして、ジャッジからは新しいことは生まれないこと、壁を乗り越えて、どんな立場の人とも、どんな状況でも、一緒に新たなものをつくり出せることを学びました。

私たちみらいずworksは、ファシリテーションを大切に対話の場づくりをしていますが、どんな人がそこに集ったとしても、その人から出てくる言葉から生まれることや、気付けることが必ずある。その一人ひとりの存在を大事にし、かつ、その場の人が関わり合うことで生まれるものがあるという可能性を尊重し、探究する姿勢を持ち続けています。

二十歳、山形でのSCHシンポジウムにて

―――ジャッジという言葉が出てきましたが、ひとみさんがジャッジしないために心がけていることはありますか。

いつも思っていることは、「そこに集う人は集うべくして集ったんだ。ここで起こっていることは起こるべくして起こったんだ」という必然性です。全員が必要不可欠な存在であるという前提のもと、ファシリテーターとして、起こる全ての出来事を受け入れる姿勢を持つことを大事にしています。なので、想定外の人がいたり、予想外の流れが生まれたとしても、それはオールオッケーだし、そうなるべくしてなったんだなという流れを受け入れます。

それでも、ジャッジしそうになったり、自分の心が揺らぐことはあります。揺らいだときに、なぜ揺らいでしまうのか、揺らぎの元となったその人の発言や行動の背景を見ようと、そこに探究心を持つようにしています。表面だけを見てジャッジし、拒否をすれば、それはそれで終わりなんだけれども、原因や裏側にある理由とか、起こってることを見るようにすることが、流れを受け入れるために必要なことかなと思います。

あとは、ファシリテーターとしてであれば、ジャッジしたり、揺らぎが起こっている自分自身の内側も受け入れること、それはそれでジャッジしないことを大事にしています。「今ちょっと自分、動揺しているな」「今ジャッジしているな」というところを俯瞰して捉えて、その揺らぎを自分の気づきに繋げる姿勢を意識しています。

ーーー 一歩引いた視点で見ることが大事ですか?

色々な視点を行き来しているかもしれません。「自分の考えや感じていることはなんだろう」「ジャッジしているかも」といった自分の内側を見る視点と、「この人はこう考えているのかな」といった外側で何が起こっているか見る視点です。常に自分や他者の内側を見ていくことを意識しています。

特に、自分自身の内側の見方はずっと探究しています。NVC(非暴力的コミュニケーション)やU理論のような複合的な知識も活用しながら、自分自身の内側をこう捉えてるんだなみたいなことを解像度を上げています。

NVCとはNonviolent Communicationの略で、「非暴力コミュニケーション」や「共感的コミュニケーション」と訳されます。1970年代に、米国の臨床心理学者であるマーシャル・B・ローゼンバーグ氏によって体系化されたコミュニケーション手法です。自らの内面に意識を向けることで、支配や対立、緊張といった関係性から、互いを尊重し、つながりを深める関係性への変容を目指します。具体的には「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」という四つのフェーズをもとにコミュニケーションを図ります。(出典:https://jinjibu.jp/keyword/detl/1657

U理論とは、マサチューセッツ工科大学 スローン校 経営学部上級講師であるC・オットー・シャーマー博士によって生み出された、「過去の延長線上ではない変容やイノベーションを個人、ペア(1対1の関係)、チーム、組織、コミュニティ、社会のレベルで起こすための原理と実践の手法を明示した理論」です。(出典:https://www.authentic-a.com/theory-u

NVCでは感情を注意深く見て、「ニーズ」と呼ばれる感情の奥にある本当に大切なもの、願い、重要視しているものを考えます。ニーズが満たされないとネガティブな感情が引き起こされ、満たされるとポジティブな感情が芽生えます。例えば、「この考えを大事にしたかったのに、満たされなかったから、今ざわざわしていたんだな」と捉えることができます。

あとはメンタルモデルも、自分の内側をみるのに大事な概念だと思います。一人ひとりのこれまでの経験でつくられた、自分の中の奥底に守りたいものがあるからこそ「恐れ」という感情が出現しやすいと思うんですけど、今の自分の中にその恐れが反応しているな、メンタルモデルからつくられる自分のものの見方が作用しているなと気付くようにしています。

―――ファシリテーションを学ぶことで、自分や他者の内側も見るようになったんですね。

ファシリテーションを学べば学ぶほど、自分の内側をることができない限りは、場に起こっていることがわからないと思うんです。多分、人間って、言葉に出さなくても思っていることいっぱいあったりとか、そこをどう見立てたり、感じ取るかって結構難しいことだと思うんですけど、そこを見て感じとれるようになりたいと学生の頃から思っていたかもしれないです。

―――最近私が内省するときに気づいたことは、自分自身に対して否定的なジャッジをしていることです。

正直そこが一番難しいと思います。幼い頃からつくられてきた、ものの見方の癖がついているなと思う時もあり、そこを新しくとらえ直したり、手放したりするのは簡単なことではありません。そこも自分の可能性も信じることが大事だと思います。

―――なるほど。「人の可能性をまるごと信じる」を他者に対してばかり考えていましたが、自分に対しても同じことが言えるんですね。

キャリア教育養成講座の様子

どんな状況でも、どんな人たちとでも、最後までやり切ること


ーーー自分の内側を見るようになったとお聞きしましたが、その他にみらいずworksで活動してからの変化、身に付いた力はなんですか。


「何があってもやってやるぜ!」という一人でなんでもやり切る力は付きました。

みらいずworksは多種多様なプロジェクトや事業をやっていて、決まりきった仕事をルーティーンでやることはなく、むしろ決まっていることは1個もないような組織です。そのような状況の中で常に働かせてもらって、プロジェクトの関係者は誰か、ゴールは何か、期間はどこまでか、どんな支援があって、どう進めていくかみたいなことを組み立てながら、それをやり切った経験を何度もさせてもらいました。

他のスタッフが産休に入ったり、辞めることになって一人で回していた時期も半年ぐらいありました。普通に考えたら絶対無理だと思うような窮地に立たされた時も何回か乗り越えて来られたから、「この先も大丈夫でしょう!」「どんな種類のプロジェクトでもどんとこい!」と自信につながりました。

また、これまでみらいずworksはスタッフやインターンが何度も変わってきましたが、チームを新しくしても、そのチームだからこそできることや、やり切れることがあることを、メンバーが変わってきた組織にいたからこそ体感を持って分かります。どんな状況でも、意思があれば、一人でもいいし、周囲の人との協力でもいいし、色々やり切れるんだってことは学ばせてもらったなと思います。

―――仕事でもファシリテーションでも、どんと構える姿勢や、そこに集う人だからこそつくり出せるものを大事にしていることが伝わりました。

今振り返ると、意識的にも無意識的にもそれを学んできた(社会人としての)8年間だったのかもしれません。

人と関わり、一緒につくり上げることの面白さ


―――最後に、今までの経験から言える、ひとみさんが学生や若者に伝えたいことはありますか。

一歩踏み出して、人と関わることの面白さと、そこから開ける色々な可能性をすごく大事にしてほしいです。自分が今後どこで何をしていくかを明確には描きづらい時代かもしれないけれども、どこにいても周囲の人と一緒に何かやっていくぞって気持ちがあればなんでも生み出せると思います。学生に伝えたいことというか、私も常に持ち続けたいことですし、人と共にあることの面白さや喜びを大事にしていきたいです。

―――私は過去に人と関わることが億劫になる時期があったとき、最初は少し怖いかもしれないけど、関わってみたら意外と面白いと感じることが増えました。なので、一歩踏み出して人と関わってみることにすごく共感します。

嬉しいです。ちょっとでも関わってみようという、小さな勇気と好奇心を大事にしてほしいですね。


ひとみさん卒業前の最後のイベント🌷

編集後記

いかがでしたでしょうか。
ファシリテーションや仕事、さらに言えば生き方までも、決まった答えや流れがある訳ではありません。それに対して、どんと来い!と起こること全てを受け入れる、楽しむ姿勢がこれからの予測不可能な時代に大切なのではないかとワクワクした気持ちになりました。

ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。
次の記事もお楽しみに☆彡


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執筆担当:今泉理子/学生インターン
新潟県新潟市出身 通信制大学経営学部在学中。高校時代に不登校を経験し、不登校支援に携わりたいと考える。また、大学で問題解決思考を学び、重要性を実感してから、小中高の探究学習に関心を持ち、みらいずworkにインターン生として従事。主に「総合的な探究の時間」の支援をしている。不登校×探究学習の可能性や、学校がつらい子どもたちのための居場所とは何かなど、自分がしたい不登校支援を探究中。


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