【前編】社会教育に育てられた子ども時代 そこから開けたキャリアとは
みらいずworksには、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが集まっています。
そこで始まったスタッフインタビュー企画🎤
第3弾はみらいずworks代表理事 小見まいこさんです!!
前編は
・大学で社会教育を専攻した理由と大学での学び
・みらいずworks設立前に一般企業に就職して…
・みらいずworks設立後の挑戦
この3つを中心にお話を聞きました。
ぜひご覧ください!
社会教育に育てられた子ども時代
ーーー大学時代のお話から聞かせてください。みらいずworkのホームページにある設立の想いに「大学で社会教育を専攻して、まちづくりの世界に飛び込んだ」とありますが、社会教育を専攻した理由は何でしたか。
高校生の進路の考える時、小学生の自分は社会教育に育てられていたなと気がついたことがきっかけかな。
高校生のときに、足の怪我で部活を途中でやめてしまってから、家とバイトと高校の往復で視野も狭くなっていたからか、他県に出て、あちこちで活躍している自分をイメージできずにいました。
当時の自分は特にビジョンもなかったのですが、教育学部を調べていた時に、教師の道はどうなのかなと思い始めました。当時の先生に、教師を目指す人はどんな人がいいのかと聞いたら、「まずは子どもが大好きであることだ。」と。私はあまり子どもと接したことがないから大好きだとは言えず、「そっか、じゃあ教師は無理かも」となったときに、社会教育という学問領域があることを知りました。
社会教育は公民館とか子どもに限らない人たちの学びをつくっているところで、「これはいいかも」と思っていたら、小学生のとき県民少年団に所属し、野外活動をしていたことを思い出しました。みんなで寄付金を集めたり、 登山に行ったり、キャンプして火起こししたりとか、社会の体験みたいな活動をしていたから、公民館はすごく身近でそこで多様な大人に触れていました。
そのときに、ボランティアで社会教育に関わってくれていた団長さんが重い病気を患ってしまい、点滴を引っ張りながら命が危ない状況でも、私たちの活動に参加しようとしてくださっていました。そのとき、いろいろな大人が私たちのために時間や命をかけてくださってことに胸を打たれました。
この経験を思い出し、自分は社会教育の中で育んでもらえたなと感じたため、自分も社会教育の一端を担えたらいいなと思い、専攻することにしました。
―――社会教育という文字を見たときに、高校生だったら教育=教師になりがちだと感じていて、なぜ社会教育なのかなとずっと思っていました。私も教師になりたい時もあったのですが、 教師は尋常じゃなく大変そうだなと子どもながらに思って、じゃあ教育は無理かとすぐ諦めたことがありました。 今はみらいずworksのように教師ではなくても学校の外からでも教育に関われるやり方があることを知りました。
なるほど。そうだね。教員だけではない選択肢をもっと作ってかなきゃだよね。
―――私もそう思います。
みらいずworksを設立する前に、一般の会社に就職したり、さまざまな活動をしていたんですよね。
そうなんです。子どもたちの放課後の居場所、フリースクールのようなものを仲間と立ち上げ、地域の人や保護者の皆さんとも力を合わせてつくり上げたことは、自分の中での成功体験でもあり、すごく楽しい経験でした。
大学時代は教育行政や社会教育のゼミにいて、卒業論文のテーマを、子どもたちのまちづくり、子どもの社会参画にしました。
子どもたちは総合学習で地域に目を向け、地域の川をテーマにした取り組みを調査しました。この地域は水運によって発展してきましたが、最近は川が身近ではないと感じていました。子どもたちは水辺にもっと親しみを感じたいと行政に提案した結果、水辺空間が大きく整備されたんです。子どもたちの純粋な思いが大人を動かし、まちの美しい景観と触れ合う空間を作り出すことに可能性を感じて、こういう機会をもっと子どもたちの段階でつくっていけたらいいなと学生の時に思いました。
学校教育、社会教育、家庭教育を受けた経験があるけど、企業における社員教育はよくわかりませんでした。だから、ゆくゆくは学校教育の分野に帰っていきたいと考えつつ、社員教育が盛んな新潟の印刷会社に入社しました。大学1年の時からインターンとしても活動して、その時に社内に「まちづくり共育編集室」という部門がありました。そこでは、まちづくりを通じて共に育む機会をつくり、それを印刷物としてまとめる活動をしていて、私は約3年間、そこでカバン持ちをしていました。
まちづくりも共育も編集もすごく好きだなと思い、インターンのとき、特に採用もしていないのに入れてくださいと言って周りの大人を動かしました。
会社のお客様に当たる人が「小見まいこさんをぜひ採用してください。」とハガキを書いてくれたり、「まいこちゃんが入社したいって言っているよ。」と伝えてくれたりといろいろ動いてくれて、新卒採用の予定もないけど面接することになりました。でも枠はないと分かり、私がカバン持ちをしていた室長が、「まいこちゃんが入りたいって言っているし、会社は入れる予定も枠もないって言うから俺が辞めるわ。ちょうど俺もいい歳だし、背中を押されたわ。」と言って独立したんです。その結果、私が採用され、責任を感じる出来事になりました。
ファシリテーションの普及と拡大
―――貴重なお話ありがとうございます。
ここからみらいずworksについて聞いていきたいのですが、まずみらいずworksの名前の由来を教えてください。
キャリア教育というところで、未来の仕事をつくろうという意味と、これからの未来の地図、「未来図」をつくっていこうという2つの意味を込めました。
―――キャリア教育に繋がる由来ですね。
以前事務所でまいこさんは、みらいずworksの分岐点は法人化したときだとおっしゃっていました。法人化以前と以後に分けてお聞きしたいのですか、法人化以前の大きな挑戦は何でしたか?
設立時は3つの事業が同時に走り始めていました。
一つは復興教育。仙台で、復興学習を通して、子どもたちが自ら復興の担い手になっていく意識を育んでいくカリキュラムでした。大学の論文の内容のようにその子どもたちの力を引き出しながら、地域の人や先生たちとつくっていきました。
二つ目は新潟市立二葉中学校でのキャリア教育。多様な大人に出会って、自分の未来を描いていくという授業を実施していました。
三つ目はファシリテーションをベースにした子どもが主役の授業作り。
この三つが法人化するまでの4年間の事業です。
実は設立前の2009年に、ファシリテーションとファシリテーショングラフィックを学校に導入するプロジェクトを立ち上げました。
人材育成に携わっていた際、企業のリーダー向けにファシリテーター型のリーダーシップを育成する研修を、いろいろなところで実施していたんです。
そのとき、大人になってからではなくもっと早い段階で、いろいろな人と協働し、対話をしながら物事を生み出していく体験ができればもっとスムーズになると思いました。そこで、ファシリテーションを学校に導入することを考え、知り合いの先生やNPOの仲間に声を掛けて、プロジェクトを立ち上げました。
2カ月に1回ぐらいずつ取り組んでいたら、岩﨑保之教授(前新潟青陵大学 現関西大学)から「このプロジェクト活動をどうしていくの?」と質問され、「今は言語活動の充実が言われ始めているから、いい波に乗っていると思うよ。」とアドバイスを受けました。
それを受け、研究会を設立し、初代代表に就任しました。自分が立ち上げたというよりも、そのとき一緒に関わっていた先生たちと思いをすり合わせて、子どもが主役の学びづくりや学校づくりに取り組もうと雰囲気が高まり、2011年に「にいがたファシリテーション授業研究会」が立ち上げられました。立ち上げてから、毎月開催する勉強会に毎回30~50人ぐらいの先生がやって来てくれました。
―――すごい人数です。それだけ関心があったのですね。
そこで先生たちと普通の学び手として出会う場で、先生をあだ名で呼んだり、「今学校でこれに困っているから来てよ。」と声をかけられて現場に行く感じでした。
設立当初はキャリア教育もファシリテーション授業もものすごい勢いで取り組み、3~4年後にそれが落ち着いてからは、みらいずworksは新たな挑戦が必要だと感じていました。
そのとき、北海道浦幌町の近江正隆さんから声がかかりました。大学時代から興味のあった、学校だけではなく地域、家庭、企業の人々が一緒になって子どもたちを育んでいく場づくりやキャリア教育、仕組みづくりができたらいいなと思っていたときに、近江さんと一緒に「地域のみんなで子供たちの未来を考えるワークショップのすすめ」をつくりました。
このワークショップだけで終わらせず、教育課程に落とし込んでいくことが必要だなと考え、みらいずworksが中心となり助成金を頂き、この続きになるプログラムを浦幌町に通って開発しました。この取り組みを文部科学省が評価してくれて、CSマイスター(コミュニティ・スクール推進員)を2018年に拝命しました。
「地域のみんなで子供たちの未来を考えるワークショップのすすめ」をつくったことが分岐点になったと思います。全国のコーディネーターの人たちも関わっていて、視野も広がった経験でもあり、これがコミュニティ・スクールの今の事業の展開のきっかけになっています。
今回はここまで。
読んでくださったみなさんありがとうございます。
後編では、大学院での学び、みらいずworksのパーパス「自分から自分らしく みんなとともに、社会をつくる人を育てる。」の語源、理想のキャリア教育・社会教育について語っていただきました。
どうぞお楽しみに😉
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