梅雨による湿害・日照不足対策を –葉面散布- (農業)
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
前回は梅雨の長雨による根の酸欠対策について記載いたしました。今回は梅雨の長雨による湿害・日照不足のなかでも安定して作物の収穫を得るための対策として葉面散布について記載いたします。
① 葉面散布とは
植物は養分を根から吸収するだけでなく,葉面からも吸収できます(葉面吸収)。肥料成分を水溶液にして展着剤を加えて葉面に噴霧し,葉から養分を補給させることを葉面散布といい,追肥の一種です。
② 葉面散布のメリット
葉に直接養分を液肥で施肥するため、栄養吸収に即効性があります。また、根や株元が弱っている状態でも葉から栄養補給を行うことが可能です。植物が必要としている栄養分を最適なタイミングで与えることができます。栄養周期にあったタイミングで養分の散布が可能なため作物の品質向上に期待ができます。
③ 葉面散布の方法と時間
葉面散布する際には濃度に気を付ける必要があります。散布液が適正濃度でない場合や、強い日射や乾燥により日中に急速に乾燥する場合は、高濃度になりやすく葉焼けなどの障害が発生する可能性があります。散布液の濃度は、規定値より薄めたほうが安全と言われています。
葉面散布を行う時間帯は、潅水と同様に植物の活動が活発になる朝が効果的と言われています。ただし、夏場は乾燥を防ぐために植物が気孔を閉じており、活動が弱くなりがちです。そのため朝に散布すると葉面の散布液が吸収されず、気温上昇にともない水分が蒸発することで、濃度障害が発生する可能性が高くなります。
夕方はハウス内の湿度が高くなっているため、葉面散布すると乾かずにカビ系の病気になる可能性がありますので要注意です。
ハウスの温度が30度を超えている場合、植物の葉が弱っている可能性が高く、また散布液が高濃度になるため、薬害が発生する危険性が高くなります。高温時には散布をしないように気を付けてください。
④ 葉面散布が必要な場面
□根が弱っているとき
肥料やけや過湿で根が弱っているときは土中に栄養があっても根からの栄養補給ができません。葉面散布を行い、樹勢を維持させる必要があります。ただし、あくまでも一時的な措置になりますので、根を改善させない限り、長期的な樹勢の回復(草勢維持や収量確保)にはつながりませんので注意が必要です。
□冬場の気温が低い時
冬場に気温が低い時は、低地温になり根の活動がにぶくなります。根からの肥料分の吸収が期待できないため、葉面散布は効果的と言われています。
□曇天が続いているとき
曇天が続いていると、作物の活動が鈍くなり土壌の肥料成分を吸い上げていない場合があり、栄養を補うために葉面散布を行うことが良いと言われています。曇天に鈍る樹勢を回復させるために行うことがあるようです。
⑤ 葉面散布剤の特徴と種類
〇亜リン酸系
日照不足のときは作物は炭酸同化作用が低下し、チッソが優先的に吸われて体内のC/N率が低下します。結果として品質(食味・日持ち)も低下します亜リン酸は葉面からの吸収が速いため、体内のチッソ・リン酸・カリのバランスが急速に改善され、品質低下を食い止めることができます。
・ホストップ
リン酸とカリウムに特化した液体肥料。N・P・Kのバランスを保ちます
・ホスカル
リン酸とカルシウムに特化した液体肥料です。
・ホスプラス
・IB亜リン酸カリ液
〇アミノ酸・微量要素系
・ネイチャーエイド
総合栄養剤としてアミノ酸や微量要素をバランスよく供給します。
・マルチ・ケーミン
6種の微量要素を補給できるので微量要素欠乏症の対策に効果的です。
・アミノメリット
アミノ酸が、植物の生理作用を助け生育を促進します。
肥効の高いポリリン酸、アミノ酸が、天候不良時や低温などでも活力を高めます。
・サンスィート
〇効果発現促進系(代謝促進)
・ペンタキープ
植物の光合成活性を高めるALA(5―アミノレブリン酸)を配合
・鉄力あくあF10
植物が吸収しやすい二価鉄を低分子のままキレート化。
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