トマトの高温障害 ~暑いにも限度ってもんがある!~
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。もう梅雨明け間近かな? 本格的に暑くなってきました。日の照り付け方も夏ソノモノですよね。昨日(7/18)は気象庁の発表によると大阪で最高気温35.8℃。そりゃ暑いですよね。
年々暑くなっているとよく言われるので、30年前の1993年7月の最高気温と比べてみました。
確かに暑くなってそうですね。オレンジ色のライン(2023年)が青いライン(1993年)をずっと上回っています。(単年のデータ比較なので正しい考察ではないですが・・・)
とにかく体感的にも暑くなっているのは間違いないです。
農業でも“暑さ“は課題になっています。特にハウス栽培では暑さはたいへんです。そりゃ外気でも十分に暑いのにビニールのハウスの中ですからね。
そこでトマト栽培の高温障害について見てみたいと思います。
●高温障害とは・・・・・
高温障害とは、農作物の生育に適した気温(生育適温)より高温の環境下に長時間置くことによって、農作物に生理障害をひきおこすことをいいます。
生育適温を超えると、光合成が阻害される、水分吸収しにくくなる、植物ホルモンのバランスが崩れる、などの状態がひきおこされ、結果として生理障害が起きると考えられています。特に開花や着果への影響が大きく、収量を大きく左右します。
●トマトの高温障害の発生原因
トマトの高温障害の発生原因は3つあります。
第一に、生育適温を超える高温の日が続くこと。トマトの生育適温は一般には昼間25℃~30℃、夜間10℃~15℃です。昼夜間の平均気温が25℃以上の日が連続すると高温障害が起きやすくなります。
第二は、気温の急上昇。36℃以上の高温にさらされると花粉の機能が低下し稔性がなくなるため着果率が低くなり、40℃以上では生育自体が止まります。
第三は果実に強い日光があたること。前述の高温の日の連続や気温の急上昇によって、果実の日よけとして機能していた葉がしおれたり丸まったりし、果実がむきだしになり直射日光があたります。果実が日焼けすると果皮が固くなり裂果が発生しやすくなります。
またトマト自体の高温による生理障害ではないですが、35℃以上の高温になると受粉のためのハチが飛ばなくなります。トマト栽培でよく使われるクロマルハナバチは35℃以上になると巣箱から出てこなくなり、大事な仕事である受粉活動をしてくれなくなります。
ハウスの中では換気窓を全開していてもすぐに35℃以上になってしまいますので、特によくある高温障害の課題としては花粉の稔性低下による着果不良に加えてハチが飛ばないという状態です。
どちらもトマトの受粉に影響するもので、ハチが飛ばないから受粉しないですし、それに加えて、花粉自体の稔性が落ちているため受粉しないというダブルパンチになります。
そうなると農家は人為的にトマトの樹を振動させて受粉を促すか、それでもダメならトマトトーン(ホルモン剤)を吹きかけて着果させるしかなくなります。
暑くてハチすら巣箱から出てこない状態なのに、その環境下で人間が1つ1つの花にホルモン剤を吹きかけるのですからこの作業は本当に大変です。
そういったことから最近ではこういった高温下でも栽培できる高温に強いトマト品種も出てきております。それが単為結果性品種です。この品種は受粉しなくても実をつけます。
興味のある方は「単為結果性品種」で検索してみてください。いろいろ出てきますので。
ともあれ、これから夏本番。どのような暑さになるのやら・・・。
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