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有機栽培をサイエンスとして考える! (農業)


こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。昔々 、理科や生物の授業で植物が、直接、根から吸収できるのは「無機物」だけと教わったことはないでしょうか?昭和の中期生まれの私はそのように学校で習いました。

ところが現在では これが間違いで植物はアミノ酸のような分子の大きい有機物も吸収できることがわかっています。2002年に農業環境技術研究所の研究で公表されたのですがそのときは衝撃的だったことと思います。20年ほど前になりますのでそれ以前に義務教育などで学んだ人は根から吸収できるのは「無機物」だけと習ってるはずですね。最近はアミノ酸入りを謳った肥料もよく見かけるから多くの人は理解していると思いますが、当時は教科書に書いていることが覆ったわけですからホント衝撃的だったと思います。

植物体はタンパク質からできています。そのタンパク質の原料はアミノ酸です。根から窒素(N)を硝酸で吸収した場合、野菜は硝酸(NO3)→亜硝酸(HNO2)→アンモニア(NH3)に変え、それを光合成で作られた炭水化物(糖:C6H12O6)と結合させることで、アミノ酸を作ります。

しかしアミノ酸を根から直接的に吸収できれば、そうした工程の一切を省略でき、エネルギーの大幅な節約になります。つまりアミノ酸を直接吸収することで野菜は効率よくタンパク質を作って成長でき、さらに余ったエネルギーを他のことに使うことができるわけです。

アミノ酸は炭水化物部分(CとHとO)を持つ物質なので、アミノ酸を根から直接に吸収した野菜の体の中では、光合成によって作られた炭水化物に加えて根から吸収したアミノ酸の炭水化物部分が加わって、炭水化物の総量が大きくなります。
炭水化物はアミノ酸とともに植物の体作りの材料であり、また植物体内で起こる様々な合成活動のエネルギーとなる物質でもあります。
野菜は成長に使って余った炭水化物を、悪天候により光合成できる 炭水化物が減った時にそれを補うのに使ったり、細胞壁を厚くしたりするのに使って病気や害虫に負けない体づくりをしたりするのに役立つことができます。炭水化物を十分に吸収している植物の葉がつやつやしているのは余剰炭水化物によるワックス効果です。
できた炭水化物は糖やでんぷんとして果実や芋などに貯蔵され、果実では 糖度アップに、イモ類では増収につながります。
ビタミンなども 炭水化物が元になって作られているので(例えばビタミンCの化学式はC6H8O6)、ビタミンや機能性物質の多い高品質な野菜ができます。 余ったアミノ酸は旨味成分となって野菜の味を決める重要な要素となります。例えばうま味成分として有名なグルタミン酸の化学式はC5H9NO4であり、見てわかるとおり炭水化物(CとHとO)をたくさん含んでいます。

単に糖度が高いだけでなく うまみ成分のバランスが良い野菜にすることが可能です。このように アミノ酸肥料は 化成肥料などの化学肥料では得られない メリットをたくさん持っています。

有機栽培は安全な野菜を作ることが目的で収穫量は目的ではない、、と思っている方も多いと思いますが、しっかりと正しくアミノ酸肥料を使えば収穫量も落とさずにしっかりとした高品質の野菜を作ることができます。

有機栽培を経験や勘ではなくこのようにサイエンスとして考えていくことが非常に大事ですね!


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