知っておきたい『社員のSNS利用のトラブル#10』
最近多くみかける社員のSNS利用トラブルについてお伝えします。
以下の事例を基に、社員のSNS利用に伴う不祥事の対応について考えてみます。SNS利用により炎上事案が発生した場合の事後対応には限界があるため、事前の研修およびルール作りが重要になります。
【事例】
おにぎりチェーンN社の広報担当者のXさんは、N社のSNSアカウントを使って、新商品を宣伝する業務を行っています。
また、Xさんは自身のプライベートな投稿を行うためにSNSの匿名アカウントを持っていて普段のランチ写真等を投稿しています。
今回は、そんなXさんのSNSでの投稿が炎上した場合の会社への波及効果・会社が取るべき対応について考えてみます。
1. プライベートでのSNS利用で炎上した場合、会社はどうする?
Xさんは、自身がN社の所属であることをプライベートアカウントでは表示していませんでしたが、
①「ハンバーガーは社会に挟まれた情けない奴が食うものだ」
といった投稿をしていたところ、これらの投稿が炎上しました。
また、Officeの写真や普段のランチの写真、写真の位置情報などからN社の所属であることが明らかになり、
➁「CM撮影の時のタレントのBは、愛人を連れてきていた」
「うちの会社のおにぎりには〇〇を入れているから美味しいのだ」等
の業務に関連する投稿も発掘された結果、N社にも炎上の効果が及びお客様問い合わせフォームには多数の苦情電話やメールが来るようになりました。
⇒ 個人のSNS投稿炎上をきっかけに、会社へのクレームも来るようになった
《対応策》
①の投稿について
ライバル企業の顧客を貶めるような投稿であり不適切な投稿ではあるものの、純然たるプライベートなSNS投稿なので、事後的に企業が対応できることはありません。懲戒処分もこの投稿だけだと適法には行えないため、研修においてプライベートな投稿であっても会社にダメージを与える可能性があるため注意が必要であるといった指導を事前に行うことが大切です。
➁の投稿について
プライベートな投稿とはいえず、業務上で知り得た情報をもとにした投稿といえます。
そのため、N社はこれらの投稿がされたことにより、タレントBから損害賠償請求を受けたり、企業秘密が漏洩したりすることによる不利益を被ることになります。
したがって、このような投稿に対しては、事後的に就業規則にもとづき懲戒処分を行うという対処を取ることができますが、一度失った信用の回復には高いハードルがあります。
2. 業務としてのSNS利用で炎上した場合、会社はどうする?
Xさんは、N社の公式アカウントの担当者として、N社商品のユーザーが行う感想の投稿にコメントをする等して交流を図っていました。
N社商品について、
ユーザー:「子供っぽい味」とネガティブ投稿
Xさん:「お子さんと一緒ならこの味が良いと分かるのに残念です」とコメント
⇒「子どもの居ない人への配慮が無く問題だ」として、N社公式アカウントが炎上しました。
《対応策》
Xさんとしては、N社のターゲット層が親子連れであるとの認識からコメント投稿をしていたとしても、投稿を見た人(必ずしもユーザーとは限らない)の感じ方が『子どもを持てない人を排除する投稿だ!』という方向性だと炎上してしまいます。
企業アカウントの投稿にあたっては、投稿前に複数人(多様な年代、性別の担当者)が目を通して違和感がない場合にのみ投稿を行うようルールを定めておくべきです。
一度失った信頼を回復することには困難が伴い、一度炎上してしまうとネット社会にはずっと記録が残ってしまうため、細心の注意を図るべきです。
なお、定めたルールに違反する内容を投稿した担当者については、就業規則に伴い懲戒処分を行うことが可能です。
3.企業アカウントの炎上への対策とは?
炎上については、
・事前のルール設定
・担当者研修
が重要となります。
その上で、万が一予期せぬ炎上が発生した場合に、迅速に沈静化を図る必要があります。
過去には不慣れな担当者が沈静化を図ろうとして火に油を注ぐ状況になった事例もあれば、適切な対応により早期に沈静化した事例もあります。
事前および事後の対応においても私どもでご対応可能ですので、SNS対応についてご相談ください。
【未来創造弁護士法人】 www.mirai-law.jp
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