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【弁護士野村の3分読むだけ法解説】知っておきたい『SNS規程およびSNS研修について~過去の炎上事例の紹介と取るべき対応策~』#14

前回のメルマガでは、『SNS規程およびSNS研修について~人事労務と広告規制の観点から』についてお伝えしましたが、今回は、『SNS規程およびSNS研修について~過去の炎上事例の紹介ととるべき対応策~』についてお伝えいたします。


SNS規程およびSNS研修について~過去の炎上事例の紹介ととるべき対応策~



1.過去の炎上事例

(1)商品プロモーションに関する炎上

紳士服販売A社は、シャツなどが透けることを表す「透けハラ」という造語を使用した商品プロモーションを行いました。
当該プロモーションに対し「ハラスメント」というネガティブな言葉をマーケティングに利用したこと、逆に「透けハラ」をあおっているような表現を使っていることが非難され、炎上しました。
A社は当該ツイートを削除し、謝罪コメントを投稿しました。

(2)人事担当者の投稿に関する炎上

IT企業B社の人事担当者が、公式Twitterアカウントに「新卒採用担当を採用したいと思い、沢山の方にご応募いただいているのですが、給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくないのです。。。私は、会社の顏となる人事だからこそ、待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない」(原文ママ)と投稿しました。
当該投稿に対して、「やりがい搾取」、「(こうした待遇が)日本の低成長と低賃金を招いている」と否定的な意見が多く集まり炎上しました。
当該投稿は担当者個人の見解であり、会社としての意見ではない旨を投稿者本人が釈明する投稿を行いましたが、B社としてコメントすることはありませんでした。

(3)新サービスの開始に関する炎上

スープ専門店C社が、全店舗で顧客に対して離乳食の無償提供を開始することを発表したところSNSでは肯定的な意見だけでなく、「子連れが大挙するとゆっくり食事ができない」と言った否定的な意見も出て炎上しました。
C社は炎上を静観し、しばらくした後に、C社の理念を説明するとともに新サービスへの理解を求める声明を発信しました。

2. 過去の炎上事例から考える炎上が起きた後の対応策について

(1)会社として対応するか、しないのかについても判断が必要

上記過去事例でもA社とC社は炎上後に企業としての対応を行いましたが、B社は対応を行いませんでした。
このこと自体の是非は難しいところがあり、一概に対応していないB社を非難することはできません。(対応しないということは肯定していると思われてしまうため、世間からは当該投稿を企業としても認容していると思われてしまうリスクはあります。)
もっとも、炎上事例が生じた際に、安易に謝罪を行うことは控えた方が良いことは確かです。なぜならば、炎上といっても全ての炎上が企業に非があるものではないですし、安易な謝罪が火に油を注ぐことになるかもしれないからです。

また、一度、企業として世の中に発信した以上、その内容について炎上したからといって何も考えずとりあえず謝罪するという姿勢では、後にも同じ様な炎上を生じさせる危険性があるため、炎上時には自社を振り返るいいチャンスと考えるべきです。
そのため、企業アカウントを運用する担当者のリテラシーが重要であることは前回のメルマガで取り上げたとおりです。

(2)炎上の理由を分析してから対応する必要がある

過去事例を見ても明らかなように、炎上の理由は様々です。
A社事例については、「ハラスメント」というネガティブワードを販促に利用するというスタンスへの批判が主だったものです。差別用語等はもちろんですが、利用に際し気をつけるワードへの感度の低さが関係者にあったのではないでしょうか。

また、B社事例については、企業の公式アカウントとして個人の意見をフリーで投稿できる状況というものが適切ではなかったでしょう。やはり従業員の立場であるならば組織の中で一定のルールのもと企業アカウントを運用する仕組みにしておくべきだったと考えます。
C社事例については、炎上対応としては適切な対応だったと考えます。新サービスが自社理念に沿ったものであると説明した上で、少子化対応という大義もあるということを伝えて、理解を求めるという姿勢が広く世間に伝わりイメージアップにも繋がったのではないかと考えます。

3. 過去事例をもとに炎上を防ぐ

上記のとおり、過去事例は多数存在しており、現在進行形で炎上事例は起こっています。そのような炎上事例をもとに自社のSNS運用や広報において過去事例と同じ原因で炎上するリスクはないか、投稿フロー・炎上時の対応について事前準備をしておく必要があります
コンプライアンス意識が求められる昨今、法的責任以上の道義的社会的責任を追及されることが常になっています。(某芸能事務所も法的責任以上の社会的責任を含めて連日追及されています。)
炎上可能性を限りなく低くするためにも、皆さんの会社が炎上防止への対応体制が整っているかご確認ください

▼次回について▼
次回は、「炎上・不祥事対応のリスク~炎上・不祥事対応の社員の過重労働」についてをお伝えします!


【未来創造弁護士法人】 www.mirai-law.jp

神奈川県横浜市西区高島1-2-5横濱ゲートタワー3階
弁護士 野村拓也(神奈川県弁護士会所属)
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