見出し画像

SNS規程およびSNS研修について~人事労務と広告規制〜 #13

今回は、『SNS規程およびSNS研修について~人事労務と広告規制の観点から』についてお伝えします!

【事例】 
食品会社X社は、新商品の広報のため有名インフルエンサーに費用を支払って、新商品をPRしてもらうことにしました。
インフルエンサーの投稿内容については食品会社Xが指示しています。 
また、X社広報担当Aは、X社の公式アカウントの中の人として、新商品のPRや採用のためにアカウント運用をしています。就業時間中にとどまらず夜間や休日もフォロワーとの対話を行っていましたが、ある日、公式アカウントで投稿した写真にX社商品のレシピが映り込んでしまっていました… 


1. 広報のためにSNSを利用する際の注意点~広告規制~

ステマ規制の概要  2023年10月1日から 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」 がステマ広告として景品表示法上の不当表示の対象となりました。
また、具体的な運用基準としては、
① 商品やサービスを提供する事業者による表示であること
②事業者による表示であることを一般消費者が判別することが困難であること
の2つの要件をみたす表示をステマとする旨が定められています。 

要件について
① 商品やサービスを提供する事業者による表示であること
投稿内容に事業者が関与しているとこの要件に該当します。 
事業者が何ら関与せずインフルエンサーが自分の使用感を投稿している場合にはこの要件に該当しません。 
→ 事例では、X社が費用を支払い投稿内容を指示しているため1.の要件はみたします。

② 事業者による表示であることを一般消費者が判別することが困難であること
インフルエンサー等の投稿が広告であると一般消費者が認識できるようにしなければなりません。 
・「#PR」と記載していても他のハッシュタグにまぎれてしまっている場合
・「広告」と「個人の感想です」という文言が両方含まれている場合
・動画の最初や最後にのみ「広告」と記載する場合
→ 2.の要件をみたすことになります。 
したがって、終始「広告」であることを示す表示を行っておくが必要です。 

③ 他の注意点~自社従業員の投稿~
インフルエンサー等の第三者に依頼した投稿でなく、事業者自身が行う投稿であってもステマ規制の対象になる可能性があります。 
事例でも、X社広報担当のAさんが、X社の従業員であることを隠してプライベートアカウントを使ってX社新商品について好意的な投稿をおこなった場合もステマ規制の対象となり得ますので注意が必要です。 

2.広報のためにSNSを利用する際の注意点~労務関係~ 

■労働時間規制 
SNSのゴールデンタイムは、
平日7時~8時の出社時間、平日12時~13時昼休憩、20時~24時の就寝前
と一般的に言われています。 
これらの時間、特に出社時間と就寝前の時間にSNS運用を行おうとすると時間外労働となってしまう可能性が高いので注意が必要です。 平日夜間や土日にも公式アカウントをSNS運用する場合には、労働時間規制に反しないようにする必要があります。 
→ 事例でも、Aさんは夜間にも土日にもX社公式アカウントの運用を行っているため、労働時間の管理が重要になります。

3. SNS規程および研修の重要性 

企業アカウントでの広告運用には、

★ 広告規制の問題
★ 労務管理の問題
といった法的リスクがあります。
また、SNSを利用することでクレーム対応やブランドイメージに関わる問題も発生するおそれがあります。 

SNS運用を始めるにあたってルールとしてのSNS規程およびルールを徹底するための社内研修の両方を行い、企業イメージを上げるSNS運用を実行するように心がけてください。 
弊所では、ヒアリングに基づく企業ごとのSNS規程の作成および研修の実行が可能ですので、検討されている場合には何なりとお問い合わせください。 

【未来創造弁護士法人】 www.mirai-law.jp
神奈川県横浜市西区高島1-2-5横濱ゲートタワー3階
弁護士 野村拓也(神奈川県弁護士会所属)

いいなと思ったら応援しよう!