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三島に行っていました その1

旅の目的は桜でした。
三嶋大社は桜の名所でもあると知り、今年の春は三嶋大社の桜を見ようと決めていました。いつ決めたのかは覚えていませんが、たぶん冬のどこかだったような気がします。

今回も新幹線は使わず、小田急ロマンスカーとJRを乗り継いで行ったのですが、電車が遅れていました。そのため大きな荷物を持って待つ時間が多くなり、宿に到着する頃にはすでにやや疲れていました。
チェックインをすませて、少しだけ休んでから三嶋大社へ向かいました。

三嶋大社の大きな鳥居は、道路と並行に立っています。その鳥居を正面からくぐるためには車道を危険なやり方で横切らなくてはならず、そんなことはもちろんできないから、いつも鳥居の真横からくぐっています。
その、真横の鳥居からはみ出してくるのではないか、という勢いで桜が咲いておりました。ようやく来られたなあという気持ちでいっぱいになりました。安堵感すら覚えていたかもしれません。

境内には、ここもここもみんな桜だったのか、という景色が広がっていました。参道を歩きながら空を見上げると視界が桜でふさがって、胸が少しだけ別の世界に染まるような心地がしました。
同時に、現実の桜は記憶の桜を連れてきますね。いちばん覚えている桜は、いつかの散りはじめの桜です。その日は風が強くて、空は曇っていました。どんよりと薄暗い曇りではなく、白く光る曇りでした。そういう光の中にいると桜は色を失くすのですね、失くして、散る花びらが降る雪に見えて、私は一瞬だけ季節が本当に分からなくなりました。
たとえば、そういう記憶です。

桜はどんな光にも映える花ですが、午後と夕方の境目あたりにいると、避けられない別れをただ待っているような、切ない花に見えました。
低いところへ伸びている枝の、ちょうど私の目の高さに咲いている花に強く近づいて見つめてみると、満開の時期だからでしょうか、花はとても清潔な様子でした。

境内には屋台もたくさん出ていました。じゃがバター、たこ焼き、チョコバナナ、わたあめ、焼きそば、いか焼き、フライドポテト……夕景が始まるくらいの時間帯だったので、しっかり売っている屋台もあれば準備中の屋台もあり、それぞれのやり方で夜を待っているように見えました。
桜は、祭なのですね。
今年は開花が早く、雨もあり、間に合わないかもしれないと思っていたので、会えて本当によかったです。

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