第四回 本日はケアマネ日和
ケアマネジャーの人材不足が叫ばれる中、ケアマネジャーの仕事をいきいきと楽しまれている方からお話を伺い、未来のケアマネジャーのあり方をヒントを得られたらと思い、始めた連載です。
今回お話を伺ったのは、沖縄県浦添市で居宅介護支援事業所のケアマネジャーをされている与那覇涼さんです。
Qこれまでのキャリアについて教えて頂けますか?
地元の高校を卒業後、日雇いでとび職をしていました。若い頃は何をして良いか分からない、何を目指して良いのかも分からない、友達同士で力自慢という感じで仕事をしていました。28歳で独立してとび職の会社を設立。2008年北京オリンピック後に建築業界が下火となり、会社をたたむ事になりました。自分自身が困った時に知人や友人が助けてくれたり、いつも大事にしていたのは仲間の存在でしたので、「人と向き合う仕事がしたい」と思うようになりました。36歳の時にヘルパー2級の資格を取得し、病院のデイサービスに入職。その後介護福祉士を取得し、45歳の時にケアマネジャーを取得しました。ケアマネジャーとしては、地域包括支援センターで1年勤め、現在は居宅介護支援事業所で2年目を迎えています。
Qケアマネジャーの仕事の中で、心に残るストーリーや気づいた事があれば教えて下さい。
ケアマネジャーの仕事は、本人と一緒にその人の生きがいを見つける仕事でもあると思います。本人が何をやりたいのか、信じて寄り添い支援をすることがケアマネジャーだと思います。介護保険から卒業して就労に繋がったケースや入院から旅立ちまで支援したケースなど、色々なことがありました。
Qケアマネジャーの魅力や働き方、キャリアについて思う事はありますか。
最初はケアマネジャーの仕事に魅力を感じませんでしたが、今はこの仕事に魅力を感じています。例えば「沖縄の海を見に行く」といったプランを作れるのもケアマネジャーですから。この仕事は人です。人が良い人は、ケアプランも違うと思います。
ケアマネジャーになっても、ここまで来たプロセスを忘れずに初心に返ること、自分のバックヤードを忘れないことです。介護福祉士であればその強みを活かしたケアマネジャーであることが大切だと思います。
Q本来業務以外に取り組んでいることはありますか?どんな相乗効果がありましたか?
自分達が考える介護の魅力を発信出来る場が必要なのではないかと考え、有志で「うらそえ介護福祉士会」を発足しました。来年10周年を迎えます。
うらそえ介護福祉士会ではカフェを開催したり、ローカル番組ですがラジオの番組も持っています。ラジオは利用者の方が聴いてくれる事が多く、仕事で知っているケアマネジャーの顔ではないところを知ることが良い効果を生んでいます。距離感が縮まるという感じですね。ラジオでは介護の話は2割程であとは違う話が多いですが、会話の中で介護を語るという感じです。
Qご自身の事も含めて、今後はどんなプランを考えていますか?
令和6年6月に株式会社を設立しました。令和7年4月には居宅介護支援事業所を開設する予定です。居宅介護支援事業所で様々な繋がりを作りつつ、次の段階に進む計画をしています。会社の理念は、「社会を楽しく 会社を楽しむ」です。年を重ねても楽しく仕事が出来る会社を作りたい、ずっと笑っている事業所になると思います。
介護現場で感じた違和感や素朴な疑問をストレートに発信してきたことで様々な繋がりが生まれ、今では自分達の考える形で介護の魅力を発信し続けている与那覇涼さん。この仕事を「魅力ある仕事」と笑顔で力強く語って頂く姿が印象的で、ケアマネジャーである前にベテランの介護福祉士であることも伺えました。これまでの知識や経験を活かし、これからを見据えて新しい事にチャレンジしていかれる姿は本当に楽しそうで、介護の魅力を大いに発揮されるのではないでしょうか。最後に、「この仕事は魅力ある仕事なので、初心に返ること、インプット、アウトプットすることを忘れずにみなさんには邁進していって欲しい。」というメッセージも頂きました。
☕☕☕☕☕☕☕☕☕☕☕☕
記事執筆 中尾 由佳里
ケアハウスや特別養護老人ホームの相談員、居宅介護支援事業所の管理者を経て現在は在宅医療・介護連携支援センターに勤務。高校生の頃から相談援助の職に就くことを目指し、今もなおこの職に魅力を感じている。散歩をすることが好き。