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実質賃金3.8%減 11月、物価高で8年半ぶり下落幅~日本の現状を知らなければ~【日経新聞をより深く】
1.実質賃金3.8%減
厚生労働省が6日発表した2022年11月の毎月勤労統計調査によると、従業員5人以上の事業所の1人あたり賃金は物価変動の影響を考慮した実質で前年同月比3.8%減だった。減少は8カ月連続で、下落幅は消費増税後の14年5月(4.1%減)以来8年半ぶりの大きさになった。物価上昇の加速に賃金の伸びが追いつかない状況が続いている。
名目賃金に相当する1人あたりの現金給与総額は0.5%増の28万3895円だった。増加は11カ月連続。伸び率は1~2%台だった10月までと比べると縮んだ。
基本給にあたる所定内給与は1.5%増、残業代などの所定外給与は5.2%増だった。ボーナスにあたる特別に支払われた給与が19.2%減となり、全体を押し下げた。
前年の11月は新型コロナウイルスの流行第5波が収束した後で、ボーナスが持ち直していた。今回はその反動が出たとの見方がある。
就業形態別にみると正社員などの一般労働者は0.2%増の36万8358円、パートタイム労働者は2.2%増の10万1888円だった。産業別では飲食サービス業や運輸・郵便業などの伸びが大きかった。
1人あたりの総実労働時間は139.1時間で0.2%減った。そのうち所定内は0.5%減の128.6時間、所定外は2.7%増の10.5時間だった。労働者総数は5172.1万人で1.1%増えた。パートタイム労働者比率は31.77%でほぼ横ばいだった。
賃金の実質水準を算出する指標となる物価(持ち家の家賃換算分を除く総合指数)は11月に前年同月比4.5%上がった。名目賃金の伸びを大きく上回り、実質賃金の下落幅が拡大した。
実質賃金の落ち込みが続けば家計の購買力が低下し、景気の下振れ圧力となる。23年の春闘(春季労使交渉)が当面の焦点になる。連合は5%程度の賃上げを求めている。
岸田文雄首相は経済3団体が5日に開いた新年祝賀会のあいさつで「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」と要請した。参加した経営者も基本給を底上げするベースアップ(ベア)を含む賃上げに強い意欲をのぞかせた。世界経済の失速で先行きが不透明な状況でどこまで踏み込めるかが試される。
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物価は上昇しましたが、賃金は上がらない。これが政府、日銀が望んだインフレ2%達成後の姿なのでしょうか。
そもそも、名目賃金が下落しているのですが、実質賃金が上昇するには物価はマイナスにならなければ、実質賃金上昇はありません。実質賃金下落も問題なのですが、名目賃金さえも下がっているのですから、大問題といわざるを得ないでしょう。
2.経済成長しない日本
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自国通貨建ての名目GDPの推移をみても、過去30年ほとんど変化していません。
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米ドル建てで日本の名目GDPの推移をみると、1995年に比べて下がっています。成長どころかマイナス。
経済が成長していないのですから、賃金が上昇するわけもありません。
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一人当たり名目GDPも同じ傾向であり、米ドル建てでみると、減少しています。
日本経済の強さは30年以上も昔の話ということです。
3.高齢化は進む
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日本は現在も人口が減少していますが、この先、さらに減少幅が広がります。そして、問題は生産年齢人口が減少していることです。現在、日本は労働参加率は非常に高いです。それは、女性と高齢者が労働参加してるからです。先進国NO.1。
今後も女性と高齢者の労働参加は続きます。しかし、2025年あたりから労働参加者もピークを打ちます。すると、労働人口が減少しますから、経済も縮小せざるを得なくなります。もし、経済の縮小を食い止めることができるとすると、それは一人当たりのGDPを上げることですが、それも上がっていません。
日本は何よりも成長戦略に真剣にならなければ、豊かな未来はないということです。人口が増えることはまず考えられない。ということは、日本に残された道は生産性向上のみ。成長戦略が必須です。
確かに旧統一教会の問題も大変な問題ですが、それよりも大問題なのは、成長戦略が描けていないことではないでしょうか。
成長戦略を明確に打ち出していける政権の誕生が必須です。
私たちも一人一人が成長を目指してイノベーションしていく必要がありそうです。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】
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