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実体経済VS金融経済

米国を中心とした西側社会のロシアに対する経済制裁が、世界に大きな変化をもたらしています。しかし、それは米国が意図したものとは真逆に動いており、制裁した側のシステムの崩壊が起きているということです。

臨時G20サミットでのオンライン演説で、世界経済は一部国の賢明でないマクロ経済政策によって引き起こされた圧倒的なストレスで苦戦していると述べています。

「経済や銀行システムへの数兆ドルとユーロの注入は、最終的に世界的なインフレの急上昇、食料とエネルギーの価格の急速な上昇を引き起こした。 これはまさに私が言及した出来事(世界経済の混乱)の中心にあるものであり、私たちの行動やウクライナで正義を達成しようとする私たちの試みではありません」

「ロシア政府は、国連憲章と「協力的かつ相互に尊重するチームワーク」の原則に基づいた、オープンで互恵的な国際経済協力の再構築を支持している」

米国主導の世界経済のシステムからはロシアは独立しつつあります。ロシアは米ドルの決済システムであるSWIFTから排除されましたが、困るどころか、ロシア友好国、中立国との貿易を増やし、経済は好調となっています。

米国のシステムは金融経済、ロシアのシステムは実体経済といえるのではないでしょうか。米国はリーマンショック、そしてコロナパンデミックにより大金融緩和を行い、資金を注入してきました。次いで、ウクライナ戦争でも湯水のごとく、資金を流し、それはインフレという形で返ってきました。

そして、何よりも巨額の政府債務を抱えることになり、その膨張はパンデミックが収まっても、とどまるところを知りません。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国政府債務)

米国は国債の利払いだけで約1兆ドルとなっています。FF金利は2024年は下がるという見込みはありますが、それでもパンデミック前の0.25%と比べると仮に4%台になったとしても明らかに高い水準です。すると、低金利時代の国債の借換債の金利上昇は免れません。

そして、対GDPの債務比率はパンデミックにより一気に高まりましたが、比率が減る兆しはありません。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国・対GDP債務比率)

なぜこのような赤字経済が続いてきたのか。それはドルが基軸通貨であったからにほかなりません。

ドル基軸通貨の歴史は以下を参照してください。

一方、ロシアはどうでしょうか。

(出典:TRADING ECONOMICS/ロシア政府債務)

ロシアもやはりパンデミックでは債務が膨らみ、ウクライナ戦争での債務は膨らんでいますが、現状は横ばいとなってきています。

際限なく膨らんでいる米国に比べ、コントロールが効いているように見えます。そして、債務の対GDP比は膨らんだものが縮小し始めています。それも戦争の当事国でありながらです。しかも、比率は10%台です。

ここにプーチン大統領の経済政策が表れているように思います。豊富な資源を活かした経済政策は「健全」といえるのではないでしょうか。ここには、実体経済を離れた金融経済で国を回していく思想は見えません。

(出典:TRADING ECONOMICS/ロシア・対GDP債務比率)

ドル基軸通貨体制が傾き、ドル離れが加速すれば、米国に資金の還流は縮小し、米国はその赤字を埋めるために高金利にせざるを得ません。しかし、高金利になれば、利払いが増え、さらに財政を圧迫していきます。

ロシア、中国はドル離れを加速しています。両国間の貿易はすでにドルを使用していません。

世界におけるドルの流通量は間違いなく、低下していくでしょう。

ロシアはBRICSにドルから離れることを求め始めています。金融により実体経済を大きく上回るマネーで成り立つ国は、着実な実体経済を超えて繁栄を続けることができるのかどうか?

答えは明白な気がしますが、いかがでしょうか。


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