日本が保有するドルとドル建て証券は必要な資産だろうか?
日本には対外債権が1,479兆円あるとされています。日本にとっては海外工場投資を除いて、1,000兆円程度がドルと証券(持ち手は政府、銀行、企業)でしょう。
これらを資産として保有しているのですが、これだけのドルや証券は必要なのでしょうか。
ドルを買うということは、円が下がるということです。円よりも金利の高いドルを買うということは、一見すると利益があるように見えます。
しかし、一方で円を売ることになりますから、円の価値は下落します。円預金1,735兆円(世帯117兆円、企業344兆円、金融機関274兆円)の実質価値が、1995年以降、60%の円安で下がったので、1,735兆円×60%=1,041兆円の実質価値を失っています。
つまり、日本は2023年まで1,000兆円のドル買いがもたらしたドル高ー円安で大きな実質損をしてきたのです。
もし、個人でこれだけの資産を運用していたらどうでしょう。私ももちろん、そうしますが、恐らく大半の人が、ドルや米株が高いうちに売却して利益確定をしようと思うのではないでしょうか。どう考えても活用の方法のないドルや証券は一番は売却しての利益確定、そう思うのは私だけではないはずです。
もちろん、それをすれば、米国債は大暴落しますが。
ここで、言いたいのは、果たして、設備ではなく、ドルや証券にこれほどの資金を積み上げておく必要があるのかどうか。誰が考えても、ノーではないでしょうか。
ならば、なぜ、これほどまでに積み上げるのか。。。
答えは一つしかなさそうです。米国の要求を飲まざるを得ない。。。
もし、米国で債務危機が起こり、米国債が暴落すれば、日本が資産と思っていたものは吹き飛びます。もしも、脱ドルが進展していき、ドルの価値が暴落すれば、日本の資産は吹き飛びます。
それほど不安定な資産を抱えているということを、そろそろ私たちは自覚しなければならないのではないかと思います。