伝わらない報告 vs 伝わる報告
■報告が伝わらない原因
報告がうまくいかないということがありませんか?
自分がやっていることを報告しているのですが、上司から「何を言っているのかわからない」というようなことを言われてしまいます。そして、一生懸命伝えようと思って、細く自分がやっていることを伝えるのですが、なかなか上司に報告内容が伝わらないというような状態です。このような状態が続くと、報告については別の人にお願いしようということで、その人の評価がどんどん下がっていくという悪循環に陥ります。
なぜ一生懸命説明しているのに報告が伝わらないのでしょうか?
根本的な原因というのは、報告を受ける側の目線で報告をしていないということです。つまり、会社の上司やマネジメント層というのは、仕事や案件やプロジェクトがどのように進んでいて、重要な問題はないのかということを知りたいのです。ですから、シンプルに進捗状況や問題を適切に伝えればいいのです。 このようにいうと、「進捗状況や問題を伝えているのに、上司は理解してくれないのです・・・」という声が聞こえてきそうです。
そうなんです。報告をしている側というのは、進捗状況や問題を正しく報告していると思っています。しかし、受け取る上司の側はそのようには感じていないということなのです。その理由が上司の目線に立った報告ができていないからということになります。
■伝わる報告のポイント
ではどうすれば、進捗状況や問題を上司の目線に立って報告することができるのでしょうか?
そのためには、上司になったつもりで自分の仕事を見返してみることが必要です。つまり、上司であれば、知りたい進捗状況や問題とは何かということを想像することが必要です。例えば、システム導入において、開発された機能についてテストする担当者であったとしましょう。テストの状況について中間報告を求められています。このときに、以下のような「分かりにくい報告」をしたとします。
<分かりにくい報告>
12本のテストが終了しました。また、NGとなったテストが3本発生しています。
このような報告を受けた場合、あなたはどう感じるでしょうか? おそらく、下記の二つのような疑問が出てくるのではないでしょうか?
・結局、テスト全体は予定通りに終わるのかどうか?
・現時点で大きな問題はないのかどうか?
そうなのです進捗状況というのは、プロジェクト全体が予定通りに終わりそうなのかどうか。それに向けて、スムーズにプロジェクトが進んでいるのかということを知りたいのです。そして、大きな問題というのは、プロジェクトの予算やスケジュールを見直すような必要性はないのかということです。プロジェクトの全体の責任を持っている立場であれば、当然把握したいと思うはずです。 ですから報告をする時には、これらの点を踏まえて報告をしていくということが重要になります。それを踏まえた「分かりやすい報告」は以下のようになります。
<分かりやすい報告>
全体30本のうち、本日までに終わっていなくてはいけないテストは15本です。それに対して現時点で終わっているテストは、12本にとどまっています。予定よりも進捗が遅れているのは、NGとなったテストが3本発生しておりそれに対する対応をしているからです。なお、これらの3本のNGのテストについては、明日までに対応ができる目処が立っています。予定よりも一週間ほど進捗が遅れていますが、テストの期間においてバッファーの期間を2週間設けております。ですから、テストについては予定通り完了する見込みです。
このように報告をすると、上司は進捗状況がはっきりと分かります。また、NGの項目はあるもののリカバリーができることと、そしてスケジュールにおいてもテスト完了までには終わりそうだなということが分かります。このように、分かりやすい報告には、上司の目線に立った進捗状況と問題の共有が必要となるのです。
■報告資料に含めるべき項目
最後に報告資料のポイントについても触れておきたいと思います。 報告資料には色々な形式があります。しかし、突き詰めると上司目線の進捗状況と問題の記述があれば良いということになります。進捗状況についてはあまり細かく一つ一つの仕事を説明していても意味がありません。仕事やプロジェクトのゴールから逆算して、マイルストンをどこにおくのかということを明確にした概要スケジュールを掲載するというのはよくあるやり方です。そして、その概要スケジュール上で進捗が遅れているのか、それとも進捗通りなのかを示すのがオーソドックスな報告資料の一つです。
また問題については、上司が把握して意思決定しなくてはいけない問題は何かということを考えて、記載していくことが必要です。問題の記述においては、作業レベルの問題を細かく記載しても意味がありません。作業レベルの問題というのは現場で解決すべきことです。上司に報告すべきは、組織全体やプロジェクト全体に関わるような問題で、且つ上司が意思決定しなくてはいけない問題です。
以上がわかりやすい報告を行うためのポイントとなります。 繰り返しになりますが重要な点というのは、報告を受ける上司やマネジメントの視点に立って、報告を行うということです。 そして、報告で求められるのは大きく2点あります。進捗状況の報告と問題の報告です。この二つを上司の目線に立って簡潔に説明することで、わかりやすい報告が可能になるはずです。
(第23回 2021/8/24)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?