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新しい時代のフラタニティ教育

■教育の変遷
 今回はこれからの新しい時代に必要となる、フラタニティ教育についてお話をします。フラタニティ教育は、岡田斗司夫氏が 2014年に大学で講義した内容です(参考動画参照)。この動画の内容を土台にして、少し情報を解釈・整理してお伝えしていきます。はじめにフラタニティ教育に至るまでの教育の変遷からお話をしていきます。

教育の変遷

 かつて中世の頃は、今のような組織だった教育は行われていませんでした。あえて言うならば世襲教育というような教育がなされていました。この時代は王族や貴族が治める封建制度、もしくは部族社会で、支配層は世襲による王族や貴族でした。このような社会における教育は家庭の中で親が子に行う、しつけのようなものが中心です。教育の目的は自分の一族を反映させることでした。
 その後ヨーロッパで産業革命が起こり、帝国主義の時代において国同士が資源を奪い合い、国家間で競争する時代となりました。このような時代に必要となっていたのが国民教育です。国民教育では服従心と団結心を持たせて他国に戦争で勝って国を豊かにすることが目的となっていました。国民教育における支配者層は試験を勝ち抜いたエリートでした。
 その後、資本主義と相まって個人の自由競争と上昇志向による豊かさを追求する時代がはじまりました。このような時代に必要となってくる教育が市民教育でした。市民教育は個人が個性を生かして競争に打ち勝って豊かになることが目的です。このような時代の支配者層は選挙、経済、能力の競争に打ち勝った人達です。つまり政治家、経営者、スポーツ選手やアーティストといった人たちが活躍する社会です。講義当時(2014年)はこの市民教育の末期の時代であると岡田氏は述べています。
 そしてこれからは、世界の人口が100億人を超えると予想され、資源の限界感が出てきています。また経済の停滞や先進国においては国民数が減少していきます。結果、皆で分け合い社会全体が豊かになることを目指すしかない状況になりつつあります。このような時代に必要なものがフラタニティ教育です。フラタニティ教育の目的は人間関係を豊かにして共生をすることで社会を豊かにすることです。別の言い方をすると分配と共生を志向する友愛民を育てることです。フラタニティ教育における支配者層は、個人の能力が秀でている人ではなく、その人がつながっている層全体が友愛民に近いリア充層であるとしています。
 
■フラタニティ教育の内容

各教育の内容

 次に教育の内容についてみていきます。まず世襲教育というのは親が子を好きなように教育します。例としては、農家や商家における家庭内のしつけ、そして王族や貴族など支配層であれば帝王学が世襲教育にあたります。
 国民教育は画一的な集団教育です。現在の日本における義務教育もこの国民教育に当たります。
 市民教育は、個人が競争に打ち勝つために、個性を伸ばし、上昇思考を奨励する教育です。 具体的には学習塾や各種スポーツ教室、音楽教室のようなものです。 またキャリアアップのための資格や学位の勉強などもこの市民教育にあたります。
 新しい時代のフラタニティ教育では周りと繋がり、繋がりの中で自分を目立たせて周りの共感を得る方法を学ぶことになります。 岡田氏が提唱している評価経済の中で、活躍できる人材となることを目的としています。具体的には、ブログや YouTube 等のネットの世界の表現力やクラウドファンディングの経済学への落とし込み方です。また、近くにいる人たちとの人間関係を大切にする姿勢や、「脱恋愛」、「脱家族」、「脱組織」の時代における道徳やメンタリティなども含まれるのかもしれません。
 
■現状の教育の問題点
 現代の教育の問題点は言うまでもなく、フラタニティ教育というものが全く整備されていないということです。これは農業革命、産業革命といった大変革よりも大きなインパクトがあると言われている情報革命における巨大な変革の真っ只中にいるからです。つまり変化の途中であり、どのような社会になるのかということすら明確になっていません。当然ながら新しい社会の教育の整備がなされていないというわけです。特に小学校や中学校などの義務教育においては二世代前の国民教育が土台となっています。一部プライベートサロンのような形で近い教育はあるのかもしれません。しかしスタンダードなフラタニティ教育が整備されているわけではありません。ですからこの5年10年という期間においては自分たちでフラタニティ教育に近いものを、自分や自分の子供などに行なっていく必要があります。
 
■フラタニティ教育のやり方
 では具体的に何をやればいいのかというと、今のところ明確な解を持ち合わせていません。やはり個々人が色々とチャレンジをしてみるということが必要なのだと思います。一つ言えることは行動することが大切だということです。行動してみると上手くいくことと、上手くいかないことが見えてきます。自分の適性というものも分かってくると思います。ですから記事や動画などで情報を発信することや、興味があるコミュニティやサロンに参加をしてみて人との繋がりを増やしていくということを地道に行っていくというのこと大切なのではないでしょうか。その中で見えてきた「気づき」を周りの人達に教えていくということが新しい教育の形を模索することにつながっていくのではないでしょうか。
 
 以上のように現在は大変革の時代です。新しい時代にはフラタニティ教育という新しい教育が必要になります。それは国民教育、市民教育とは全く違った形の教育です。現在情報革命が進行中の中、新しい社会の形というのも確定的ではありません。そのような中で フラタニティ教育の教育内容も整備されていません。ですから個々人が手探りで色々試してみて、その中でこれはというものを周りに伝えていくということが必要になってくるというふうに思います。
 
【参考動画・参考記事】
岡田斗司夫. (2014). 【特別無料公開】岡田斗司夫の頭が良くなる教育論~東京学芸大学講演. YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=OqrMU3piJhI
 
OGAWA. (2022). 岡田斗司夫さんのいう「フラタニティ教育」をそろそろはじめませんか. note. https://note.com/ogawa2010/n/n906b713eb90d
 
(第83回 2022/11/8)

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