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【ミラツナ会議を受けて具体的施策へ!】「移住コーディネーター」と「ベコシェアハウス」の方向性 

福島県柳津町は町民参加のまちづくりを目指し「ミライツナガル会議(以下、ミラツナ会議)」を開催しています。第2回ミラツナ会議を受けて、「移住コーディネーター(仮称)」やベコシェアハウス、地域おこし協力隊の運用をテーマに議論を深めていきました。その議論の方向性について、お届けします。


第2回ミラツナ会議議論を受けて

第3回目の議論スタートにあたり、前回のミラツナ会議の振り返りが青森大学の石井重成先生によって行われました。前回は、どのような移住施策案があるかを出し合い、特に「べこシェアハウス(仮)」については「移住コーディネーター(仮)」を配置するとよいのではないかとアイデアが出されました。シェアハウスは、「地域住民自身が行きたいと思う場所にすること」や、「定期的に通う機会を設けていくこと」が重要である意見が出されました。

挙げられた意見をヒト・モノ・カネで整理

・ヒト(人材の活用・登用)
 …ソフト部分。モノができた後でも創意工夫によって様々なアレンジが可能
・モノ(空間・設備の設計)
 …コンセプトや設備といったハード部分は後からは動かしにくいので建設前に確定する必要がある
ex.)キッチン機能、シアター機能
・コト(アクティビティ開発)

移住コーディネーターの役割イメージ

移住コーディネーターを設置するならば、どんなことを行なってもらうとよいか、前回の議論をもとに時間軸で整理しました。
①情報発信機能
②相談窓口・マッチング機能
③よろずや的機能(サポート、声掛けなど)

また、専任の移住コーディネーターを配置するケースもあれば、地域住民が兼業的に担う方法も考えられます。

べこシェアハウスについて柳津町役場の方向性

柳津町役場の樋智人さんより、べこシェアハウスの検討状況について報告がなされました。

【スケジュール案】
令和6年度 先進事例・長野県長和町への視察
令和7年度 施設の整備・機能を確定
      移住コーディネーター要綱を整備し、募集
令和8年度 移住コーディネーター着任
令和9年度 べこシェアハウス入居スタート

べこシェアハウス企画における、ミラツナ会議への期待
①併任の移住コーディネーターとなる
②どのような機能を持たせるかを検討する
③べこシェアハウスの活用を検討する

移住コーディネータ制度概要・活用イメージ

専任の移住コーディネーターは特別交付税措置の上限350万円で、業務委託型か雇用型かの2パターンで任命できます。また、併任の場合は上限40万円なので月額33,000円の支給で担当していただくことになります。なお、西会津町や釜石市では併任の移住コーディネーターが活躍しています。

地域おこし協力隊から専任の移住コーディネーターになっていくイメージとして、3年間のステップで役割を検討しています。1年目はシェアハウスの管理をしつつ、柳津町の特徴と空き家の状況などを学ぶことからスタートします。柳津町が宅建協会と連携を結んでいるので、宅建協会の方が無償で希望者とともに空き家を見学してくれるので、そういった制度も利用しながら進めていきたいと考えています。

2・3年目はイベントやSNS発信など対外的なPRを行なっていきます。現在、移住者同士の会合は開催できていないので、地域おこし協力隊の定期ミーティングを活用しながら集まれる機会を設けていきたいと思っています。また、移住者の御用聞や相談相手になることは継続的に行なっていってほしいことです。

西会津町の移住コーディネータ事例

西会津町では、「にしあいづ暮らしサポーター制度」が運用されています。職員が間に入り、相談希望者とコーディネーターの都合を調整し、西会津の暮らしについて気軽に聞ける仕組みを設けています。

移住者ミーティングは年2回開催。地域おこし協力隊に限らず参加したい人が参加できる”開かれた場”にしているそうです。また、にしあいづ暮らしサポーター設置要綱を軸に運用しています。

柳津町における移住コーディネーター運用イメージ

①町が移住コーディネーターを募集
②応募
③応募くださった方へ委嘱

④協力依頼が入り、日程調整を行う
⑤現地案内やイベント参加

⑥さまざまな活動を実施し、報告
⑦謝金の支払い

また、柳津町における設置要綱案も作成しています。専任・兼任問わず、移住コーディネーターであれば、一つの要綱をベースに運用をしていくとよいのではないかと考えています。

なお、移住施策の一覧も、前回お伝えをした西会津町の資料を参考に作成しています。

まとめと補足(石井先生)
・移住コーディネーターは専任と併任の両方を運用する方向性でよいのではないか
・専任・併任どちらも、地域住民でも他地域から来ていただいた方でもOK
・併任は月3万円なので重い業務は渡せないが、「イベントをする際に一緒に盛り上げてくれる」「SNS発信を随時行なってくれる」といった役割は依頼できる

(参考)釜石市の副業移住コーディネーター制度

2020年に副業型の移住コーディネーター制度を策定。4人でスタートしました。
【初期メンバー】
・自然学校を開催し、エコツーリズムや自然体験へ関心が高い方
・震災後に移住してきた会社員の方
・震災後に地域おこし協力隊的のような立ち位置で地域に入った方
・大学3年生

【取り組み内容】
・「オープンシティ釜石」というFacebookページを立ち上げて、毎週1人1回はなんらかの町の発信を行う
・年に数回イベント企画を行う
・釜石に移住してきた人のオンライン報告会などミニイベントの開催
・役場職員が出られない首都圏での移住イベントに、交通費を支給して移住コーディネーターとして参加
※月報を書くくらいで、なるべくメンバーの負荷を下げる運用とした

柳津町役場で実施した地域おこし協力隊についての勉強会について

ミラツナ会議の前に、石井先生により地域おこし協力隊についての勉強会が柳津町役場で実施されました。主な参加者は役場職員。目的は「協力隊制度運用の量的・質的向上」です。ミラツナ会議では、その内容や参加者の感想が共有されました。

勉強会後のアンケートからは、「柳津町に100人の協力隊がいてもおかしくない」といった声も挙がり、熱量あふれる感想が見て取れました。こうした声は、「1400人規模の岡山県西粟倉村では50人ほどの地域おこし協力隊が活動している」という石井先生の話から、「3,000人の柳津町であえれば100人いてもおかしくない」という思いに至ってのものでした。

本勉強会をきっかけに、各人が様々なモヤモヤを抱えていることが明らかになりました。まずはそれをテーブルの上に出して、共有できたことに価値があります。そこから、原因を分解して解決していこうという前向きなエネルギーが生まれていきます。

柳津町では、地域おこし協力隊を会計年度任用職員として雇用しています。そのため、他の会計年度任用職員の水準と足並みを揃えていかなければいけないといった調整が起きています。

総務省が地域おこし協力隊の制度をスタートした時点では、ひとりあたりの予算上限は200万円でしたが、現在はそこから値上げされてきています。しかし、柳津町ではそのアップデートされた分をうまく活用できていない現状があります。この部分は、”伸びしろ”として、今後変更の余地があると考えています。

また、役場主導で行うことに限界があることも事実。円滑に地域おこし協力隊の運営を行なっていくために、中間支援組織の重要性も話し合われました。

そもそも320万円の上限まで使えていないという課題もあり、募集しても地域おこし協力隊として応募してくれる人がいないという問題意識も出されまた。それに対しては、各自治体において上限320万円をこえて、町の予算で上乗せしている自治体も少数ながら存在すること、あるいは活動日数を週4日などに減らし募集する自治体も出てきていることをお伝えしました。こういった具体的な運用については、より深く話し合っていく必要があるでしょう。

以上の議論を受けて、第2期第3回ミラツナ会議では、移住コーディネーターと地域おこし協力隊運用について話し合われました。そちらの記事もぜひ併せてご覧ください!

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